ストレス・疲労

【医師に聞く】心と身体の関係①  自律神経は本当に不調を引き起こすのか


身体の不調が気になって病院へ行くも、「ストレスですね」「自律神経ですね」と診断され、どうしていいか分からなくなったこと、ありませんか?
自分では「どこか悪いのではないか」と気がかりに思っているのに、病気ではないといわれてしまうのはなぜ?と疑問を持つこともあるでしょう。
そこで今回は、心と身体の関係と、自律神経・ストレスについて、医師にしっかりと聞いてみました。

自律神経とストレスの関係

「自律神経が乱れる」というセリフをよく聞きますが、それ自体は「病気」とはとらえられません。

しかし、ちょっと体調が悪い、でも血液検査や問診では何も問題が発見できないというケースは医療の現場ではよくあることです。
そのとき、何でもかんでもストレス・自律神経のせいとされてしまう理由は、「はっきりとした原因が分からないから」に他ありません。

ストレスを感じると、副腎皮質ホルモンの分泌バランスが崩れてしまう

では、精神的なストレスを受けると身体はどうなるのでしょう。

まず、私たちが外部からのストレスを受けると、脳の中の視床下部という部分がそのストレスを受けて、下垂体という部分にネガティブな指令を下します。

下垂体とは、副腎や甲状腺などの、身体のいろいろなところにある副腎などのホルモン臓器に「もっとホルモン出しなさい」もしくは「ホルモンの量を減らしなさい」などと、指令を出しているところです。

身体の命令系統は、視床下部から脳下垂体、そこから副腎へと、ひとつの軸となっています。
そして、さまざまなホルモンが正常に分泌されるための連携を取っているのです。

視床下部がストレスを感じると、副腎皮質ホルモンの分泌量が減ったり、もしくは過剰なストレスで、逆に増えたりします。

そして、副腎皮質ホルモンの分泌バランスが崩れると、身体の免疫力に影響を与えることが分かっています。

このように、一般的には「ストレスが原因」とか「自律神経ですね」と言われるような原因が不明の体の不調は、単に気のせいではなく、ストレスが原因となって、自律神経系やホルモン系のバランスが崩れた結果であることが多いのです。

「ホルモン系」と「神経系」

私たちの体のバランスを整えている仕組みには「ホルモン系」と「神経系」とがあるという話をしました。ホルモン系という言葉を初めて聞く人も多いかと思います。

ホルモンといっても、どのようなものかイメージしにくいかと思いますが、ホルモンとは、血液中に溶けている液性の物質のことです。

そして、神経系とは、自律神経のことです。
たとえば、緊張すると顔が赤くなったり、汗が出たりしますね。また異変を察知するとサーッと冷や汗が出たり、鳥肌が立ったりするのも自律神経の仕業で、秒単位で身体を変化させる働きをしています。

自律神経は、一時的な緊張や異変だけではなく、「上司に怒られた」「失敗をしてしまい悩んでいる」「家族関係がめちゃくちゃ」などのストレスにも、同様に反応します。

ホルモン系と神経系はお互いに密接に連携しながら、私たちの体のバランスを整えてくれているのです。

免疫細胞への影響

自律神経系もホルモン系も、免疫細胞の活動に影響を与えています。

つまり、ストレスを感じると
・視床下部が下垂体に指令を出し、副腎皮質ホルモンの分泌異常が起きる
・自律神経がバランスを崩す
という事象が、体内で具体的に引き起こされます。

そして、「ホルモン系」と「神経系」から指令を受け、免疫細胞の機能が上がったり下がったりするのです。

激しいストレスを受けている人がすぐにおなかを壊してしまったり、ボロボロになって風邪をひきやすくなったり、というのは、免疫力の低下が関わっている可能性があるのですね。

風邪をひきやすい人と風邪を引いたことがない人とがいますが、風邪を引きやすい人は、ホルモン系や神経系のバランスが崩れていることで免疫力が低下している可能性があります。

自律神経は「心のストレス」を「身体の不調」に変換させる力を持つ

だから、「体調不良は、自律神経が原因」というのは、あながちハズレではないのです。

たとえば、大きなストレスをかかえていて、いつも動悸がする、心臓が痛いというケースがありますね。

「何か大きな病気なのではないか」と思い、心電図を取って徹底的に調べたけれど、心臓はまったく悪くない。だから「その動悸はストレスですね」といわれてしまう。

しかし、そうはいっても動悸がおさまらない場合、検査に問題がなくても細胞レベルで身体の機能が落ちているということがあるのです。

では、心臓に器質的な問題が無いのに、どうして動悸がするのでしょうか。
ここに自律神経がかかわってきます。

ストレスを受け、脳に緊張が伝わると、交感神経が異変を察知し「もっと早く脈を打ちなさい」と心臓に指令を出します。すると動悸が起きるのです。

もうひとつ、ホルモン系である副腎も関係しています。副腎からはカテコラミン、アドレナリン、ノルアドレナリンというホルモンが出ていますが、ストレスを感じると、アドレナリン、ノルアドレナリンなどが大量に放出されますが、それらのホルモンにも、脈を速くする機能が備わっているのです。

心が受けたストレスは、脳を通じ、神経系やホルモン系に影響を与え、具体的な身体への影響として現れます。
だから、ストレスを単に気持ちの問題として片付けてしまうことは、本当の原因を見逃すことにも繋がり、身体にとって危険なことなのです。

心のストレスを取り除くことが大切

心のストレスは、身体のストレスにもつながり、神経系やホルモン系のバランスも崩れ、芋づる式に状況を悪化せていきます。

心臓の検査で「問題はない」といわれても、やっぱり動悸が治らないと、余計にストレスが溜まってしまいますよね。

そのような場合は、ついついドクターショッピングをしてしまいがちです。
それは、自律神経がどこにあるか自覚ができず、自分でもどうしていいか分からないからです。

しかし、自分で明らかにストレスの原因が分かっているなら、そのストレスが脳下垂体・視床下部から副腎に指令を与えて、自律神経はもちろん、いろいろなホルモン系のバランスが崩れ、身体の不快な症状をつくっていることを知っておいてほしいと思います。

その場合、取るべき行動は、心臓の検査を繰り返すことではなく、ストレスを取り除くことです。

次の記事では、ストレスの原因となる「ストレッサー」というものについて、またストレッサーによって引き起こされる「ストレス反応」についてを、詳しくお話しましょう。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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