デトックス

健康な身体をつくる、デトックスの意味と方法

デトックスとは、身体に溜まった毒素を排出することです。

日本では昔から「解毒」という考え方が重視されてきました。

江戸時代の儒学者、貝原益軒は、著書「養生訓」の中で、「酢やショウガ、ワサビ、コショウ、カラシやサンショウなどは、食事に含まれる毒を制してくれる」と書いています。今回の記事では、身体に備わった解毒作用と、デトックスへの取り組み方について解説します。

デトックスとは

自然の中には、人間にとって有害な物質も存在します。また、日常生活の中で体内に入ってしまう、食品添加物や化学物質が気になっている方も多いでしょう。

それらは放置することで体内にとどまってしまい、いつしか大きな病気のもととなる可能性もあるため、溜まった有害な物質を排出させる「デトックス」という概念が、一般的になってきているのです。

身体にそなわった、解毒機能

私たちの口から入ってくる食べ物には、栄養素だけではなく、様々な毒素や重金属、環境汚染物質などが含まれています。

身体は必要な栄養素を吸収したあと、肝臓や腎臓を通じて不要物を自然に排出しますが、特に肝臓には毒素を分解する酵素が多く存在し、「デトックス臓器」として大切な役割を果たすことが分かっています。

身体に入ってきた不要な物質や毒素は、肝臓で解毒され、胆汁に分泌され、腸管内を通って便として排出されるのです。

この「腸肝循環」は、身体に備わった大切な「自己治癒力」。

自然治癒力が高く、毒素の入ってくる量と出て行く量とのバランスがとれている状態では、体内には毒素が蓄積せず、クリーンな体内環境が保たれています。

しかし、何らかの要因で「入ってくる量」が多くなったり、「出す力が弱まったり」すると、肝臓や腎臓では処理しきれない毒素が溜まってしまい、身体の持つデトックス機能が低下してしまうのです。

身体に溜まりやすい重金属

有害物質の中でも、スムーズに排出してしまいたいのは「重金属」です。

金属と聞くと人の体とは無関係なものに思えますが、人間も自然の一部。そのため、普通の生活でも重金属が溜まることは避けられません。

【体内に溜まる主な重金属】
鉛・ヒ素・カドミウム・アルミニウム・水銀

これらは汚染された大気や化学肥料、化粧品や洗剤、そして地中の鉱物が溶けだした地下水や、それを使った農作物など、避けたくても避けられないものに入っています。

【重金属が含まれるもの】
タバコ・歯の詰め物(アマルガム)・マグロなど水銀を含む大型の魚介類

これらの重金属が身体に蓄積されてしまうと、アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患、発達障害・慢性疲労症候群などになりやすいとも言われています。また重金属はアルツハイマー病やパーキンソン病などに関係していることも指摘され始めており、決して無視はできないものなのです。

デトックスと腸内環境の関係

では、スムーズなデトックスができる身体とは、どのようなものでしょうか。
実は、そこには腸内環境が大きく関わってくるのです。

腸内環境が悪いとデトックス機能は低下する

腸は、老廃物や重金属などを排出するだけではなく、全身の健康に関わる、中枢的な器官です。そのためデトックスを考えるときは、肝臓・腎臓だけではなく、腸にも注目することが必要です。

たとえば「腸にいい」とされる食物繊維は、便通を良くするだけではなく、腸内の善玉菌のエサとなることをご存知でしょうか。

善玉菌たちが作りだす物質は、身体のエネルギー代謝や血糖のコントロールにも関係し、免疫力を上げる物質をつくってくれています。

また最新の研究では、腸管の粘膜それ自体に、毒素を解脱する酵素があるということも分かってきました。

つまり、腸は肝臓に匹敵する「デトックス臓器」であり、体内の有害物質をスムーズに排出するためには、腸が正しく機能していることが大切なのです。

腸内環境の乱れは、「リーキーガット(腸漏れ)」を引き起こす

腸内環境が乱れると、腸に炎症が起こり、腸の壁に穴があいてしまいます。
これはリーキーガット状態とよばれ、腸の炎症により腸管粘膜が損傷を受け、「バリアー機能」が低下することによって起こります。

穴があいてバリアー機能が低下した腸壁からは、未消化な食べ物だけではなく、いろいろな毒素や重金属・環境汚染物質といったものも血中に漏れ出してしまうのです。

そうなると、せっかく一生懸命デトックスに気を配った生活をしていても、出す分よりも多い有害物質が体内に流れ込んでしまうことになってしまいます。

「出す」だけではなく「入れない」ことも大切

いつもクリーンな身体の状態を保つには、
・自然治癒力を高め、解毒できる身体をキープしてデトックスを進める
・毒素や有害物質を身体に入れない、溜めない
のふたつが同時に行われていることが大切です。

しかし、今までのデトックスは、身体の中に溜まった毒素を「体外に排出する」という意味だけで語られることが多かったようです。

ただし、いくらがんばって「デトックス」しても、腸内環境のバランスが崩れてリーキーガットがある状態では、デトックスしている量を上回る毒素が体内に入ってきてしまいます。それでは、意味がありません。

腸内環境を整え、リーキーガットを修復することで、肝臓に運ばれる毒素や重金属の量は減らすことができます。

同時に、肝臓のデトックス能力を高めることも重要です。

デトックスしなくては!と神経質になるよりも、「腸管や肝臓のマネージメント」をしっかりと行い、自己治癒力の高い状態をキープすることが大切なのです。

生活の中でできるデトックス

デトックスは、「毒素が溜まりきってしまう前」に、日常的に行うことが重要です。
溜まって体内にこびりついてしなった毒素を排出するには、手間と時間がかかります。そうなってしまう前に、デトックス習慣を身に付けましょう。

解毒効果の高いものを食べる

腸の活性化を促し、身体のデトックス力を上げるためには、食べ物の力を借りることも大切です。

【腸内環境を整えてくれる、解毒効果の高い食べ物】
・長ねぎ、ニンニク、玉ねぎ、ニラ(体内毒素を包み込んで排出してくれる)
・こんにゃく(グルコマナンが腸内でゼリー状になり有害物質を取り込んで排出してくれる)
・エリンギ(食物繊維を含むきのこの中でもカリウムが豊富。体内の余分な塩分を排出してくれる)
・ハーブ(パクチーや紫蘇などの香りの強いハーブには強い解毒作用と整腸作用がある)

野菜類のデトックス効果が高いことがよく分かりますね。ジャンクフードばかり食べている方は、食事の内容を見直してみてはいかがでしょうか。

生活習慣を見直す

わざわざ頑張ってデトックスに取り組まなくても、私たちの身体には自然治癒力が備わっています。その力を発揮するには、人間らしい生活をすることも大切です。

たとえば昼夜逆転の生活をしていたり、運動不足で身体の巡りが悪くなっていると、もともとの生きる力が弱まってしまいます。

そうならないように、ある程度規則正しい生活を心がけてみましょう。

神経質になり過ぎないことも大切

デトックスには腸が重要な役割を果たしますが、食べ物だけではなく、精神的なストレスも腸内環境を悪化させます。

腸は第二の脳とも言われます。一見関係が無さそうですが、腸と脳は神経系を通じて連携しており、ストレスは腸内環境にも影響を及ぼすことが分かり始めています。

仕事や人間関係などの外部的なストレスはもちろんですが、「健康になりたい」あまりに視野が狭くなり、生活の中に縛りを入れすぎるのも考えものです。

デトックスは、一生必要なこと。だからこそ身体のベースを整えて、入ってきたものがスムーズに排出できる状態をを目指しましょう。本当のデトックスとは、出すだけではなく、「身体に毒素が溜まらない仕組み」をつくってあげることなのです。