正しい知識

亜硝酸ナトリウムが気になるあなたへ

サラダやお酒のつまみに欠かせない生ハム、子どもが大好きな赤いソーセージ、朝食の定番のベーコン…。私たちの食卓に上がる加工肉は、どれを見ても鮮やかで食欲をそそる色をしていますね。しかし加工肉の色は、亜硝酸ナトリウム、いわゆる発色剤といわれる食品添加物によって出されています。

亜硝酸ナトリウムには発ガン性があるといわれています。食品添加物は毎日少しずつ体内に蓄積し、いずれ病気の要因となりますから、完全排除できるなら、した方がよいに決まっています。

でも、そんな生活って、楽しいでしょうか。食事は命をつなぐ栄養補給であると同時に、人生を豊かにする大切な楽しみ。「ハムやソーセージを一切食べない」という選択肢は、食卓をピリピリさせ、外食の選択肢を奪います。

亜硝酸ナトリウムを含む加工肉と、どう付き合っていけばいいのかを正しく理解できれば、意味なくおびえる必要はなくなります。私たちの身体は、少しの食品添加物が入ってきたからといってすぐに壊れてしまうような、やわなものではないはずですから。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

実際、亜硝酸ナトリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定される、人体にとって害となる物質で、決して安全なものではありません。

それが日常的に食べるハムやソーセージに使用されているのは、どうしてでしょう。商品の発色をよくするという理由はもちろんですが、O157やボツリヌス中毒を防ぐためです。

ボツリヌス毒素は、かつては生物兵器として研究されていたほどに強い毒性を持ちます。肉を加工して大量に流通させるときに、多少の添加物が入ること自体は、仕方がないともいえます。

亜硝酸ナトリウムが添加されていない商品もあるけれど…

亜硝酸ナトリウムが入っていないハムやソーセージ、イクラ、たらこなどは、時間が経つと鮮やかな色が抜け、黒ずみます。見た目だけの話でいえば、まったく美味しそうに見えません。

一般的なワインにも、カビ毒素を減らすために亜硝酸ナトリウムが添加されます。一時「ビオワイン」が流行しましたが、ビオワインには添加物が含まれない反面、カビ毒素が入っている可能性があるということも知っておいてください。

一概に善悪を決めることはできませんが、メーカーが商品を流通販売させる過程において、発色剤は今後も使われ続けるでしょう。

亜硝酸ナトリウムはどれくらい食べていいのか

皆さんが気になるのは、「どれくらい摂取すれば危険なのか」ということでしょう。

亜硝酸ナトリウムのADI(生涯毎日摂取しても大丈夫な量)は「0.06mg/kg体重/日」と、とてもわずかです。ハムやソーセージには、1kgにつき最大70mgの亜硝酸ナトリウムの使用が認められていますから、せっせと市販のハムを食べ続ければ、意外とあっけなく上限に達してしまうでしょう。

ただしこれは極端な例です。最近はソルビン酸カリウムなどの安全性の高い添加物が使われることも増えました。メーカーも亜硝酸ナトリウムの使用を最小限にする工夫を行っています。たとえ「今日、規定値以上にソーセージを食べてしまった」からといって、すぐに健康被害が出るわけではありません。食べ過ぎてしまったなら、今後減らせばいいだけです。

食品添加物からストレスを受けるのは本末転倒

神経質な方は、「無塩せき」と書かれた亜硝酸ナトリウムが入らないハムなどを購入されていると思います。それは、食品添加物の総量を減らすという意味ではとてもよい心掛けです。

ただし亜硝酸ナトリウムに限らず、私たちの生活から食品添加物を完全排除することは不可能です。では何ができるかというと、量を減らすことも含め、自分の食べている食材についてもっと関心を持つことです。

安いから、宣伝が気に入ったから…という理由で選択し続けた方の身体が、将来健康を維持できるかどうかは、誰も責任が持てません。

デトックス力の重要性

あわせて、自分自身の解毒能力と抗酸化能力を高めることも大切でしょう。
解毒とは、体内に蓄積した不要物をデトックスする身体の仕組みです。

体内に溜まる不要物には、マグロなどの大型魚に含まれる有機水銀や、古い水道管の鉛、フライパンや缶詰のアルミニウムなどだけではなく、食品添加物も含まれます。

それら不要物は、本来は尿や便、汗などで排出されます。しかしその力が弱まれば毒素が腸から全身を巡り、肌荒れや体調不良を引き起こします。自身のデトックス力を上げ、多少の不要物が入ってきても、さっさと出せる強さを身に付けてください。

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食の安全を守り、自分の身体を強くする

食の安全は、自分自身で守るものです。

食品添加物としての亜硝酸ナトリウムを避けても、野菜にも硝酸塩や亜硝酸塩は含まれます。野菜の硝酸塩や亜硝酸塩にガンのリスクはないとされてはいますが、食品にいくら気を配っても、完全排除はできないのです。

また「天然」「有機」と書かれた加工肉であっても、亜硝酸ナトリウムの含まれた商品と同じくらい高濃度の亜硝酸塩を含んでいる可能性も、否定できません。

これらを原材料ラベルだけで判断するのは、一般の消費者には難しいでしょう。だからこそ、神経質になりすぎずに、多少の食品添加物に影響されにくい身体をつくることに注力することをおすすめしたいのです。

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