困ったときは?
フードアレルギーを改善する方法
フードアレルギーには、食べてすぐに症状が出る即時性のものと、数時間から数週間もたってから症状が出る「遅延型」のものがあります。
即時型フードアレルギーの場合、幼少期にはじめて食べたもので急な症状が出たり、特定の食材での体調不良に気付き、病院でアレルギー検査を受けたというパターンが多いのではないでしょうか。
アレルゲンが特定されると、医師から「それを食べてはいけない」という指導を受けたことと思います。その結果、除去食しか食べられないようになったり、自由に外食ができなくなってしまったりと、生活の中に不便が生まれてしまいます。
では、遅延型フードアレルギーはどうでしょうか?
食べてすぐに症状が出ないのであれば、即時型と対処法が違うはずです。
しかし、検査でアレルゲンが見つかったという前提ですが、即時型も遅延型も「それを食べない」という対処が一般的です。結局アレルゲンを避け続け、ビクビクしながら食事を続けるはめになるのです。
そんな生活、もううんざり…
私の身体は、どうしてそんなに弱いのだろう…
フードアレルギーに悩む方々は後を絶ちませんが、もう少し根本的な対策があるのではないでしょうか。
\\\ 本当のことを、専門医に聞いてきました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
即時型であっても、遅延型であっても、アレルゲンは検査で分かります。そのとき、自分では思いもよらなかった食材の数値が高い、もしくは好物に反応が出るなど、驚くような結果が出ることが多くあります。
検査結果が出ると、医師からは「反応の出た食材は、食べないでください」と指導されることがほとんどでしょう。
ただしアレルゲンを「食べない」という方法は、対症療法でしかなく、根本的な解決にはなりません。
確かに、即時型フードアレルギーのように食べた直後に重篤症状が出る場合は、一時的に「食べない」ことも必要です。しかし慢性的な不調の原因に遅延型フードアレルギーが関係しているのであれば、食べないことで一時的に症状が改善しても、再び食べ始めると同じような症状が出てしまうため、単に避けるだけでは根本的解決にはなりません。
原因食材の除去に潜むリスク
検査の結果から「食べてはいけない」といわれた場合、治したい一心でそれを忠実に守ることでしょう。しかしそれはQOLを大きく下げますし、反応の出ている食材を自己流で制限し、かえって体調が悪くする方もいらっしゃいます。
不安から頻繁に検査を行い、反応の出る食材の数がだんだんと増え、食べるものがなくなってしまうケースも見受けられます。特に子どもの場合は、必要な栄養を十分に取れなくなれば、栄養障害を起こす危険性もあるため注意が必要です。
もちろん検査結果をもとにした必要最低限の食事制限で、体調が良くなることもあるでしょう。しかし、不自由な思いをして食事制限をしても効果がなかったり、かえって体調を乱される場合があることも、知っておいてください。
そう言った、対症療法ではなく、フードアレルギーを起こす原因を根本的に治すことがとても重要です。
根本的に解決しよう
フードアレルギーを根本原因は、腸内環境にあります。
私たちの腸の中には100兆個もの腸内細菌が存在し、食べたものを消化・吸収させるために重要な役割を果たしています。そして小腸の中の粘膜がバリアとなり、腸に入ってきた「不要なもの」が血中に侵入しないよう、防御しています。
ところが何らかのストレスが原因で腸内環境が乱れると、腸壁に目に見えない小さな穴があき、その穴からタンパク質やペプチドが血液中に漏れてしまいます。このような状態をリーキーガット(腸管漏出症候群)といいます。
リーキーガットの状態では、十分に分解されていない物質が血液中に漏れ出し、身体はそれを「異常事態」と判断してアレルギー反応を起こします。つまりアレルギー反応自体が問題なのではなく、アレルギーを起こすような「異物」が体中に漏れてしまう腸が問題なのです。これがフードアレルギーの根本原因です。
食事制限なしに改善する方法
どんなに食事に気を使っても、腸壁の穴がふさがらない限りフードアレルギーの根本的解決にはなりません。
必要なのは「食べなくなったら症状が減った」ではなく、「何を食べても元気で健康でいられる」ように、腸内環境を正常に戻すための治療です。ある食材でアレルギーを起こしても、腸内環境を整えてリーキーガットを治療すれば、その食材も食べられるようになります。いつまでも食べられるようにならなければ、それは治療がまだ不十分であることを意味しています。
具体的にどのようにすればいいか?
検査結果で陽性が出たからという単純な理由で、食物除去をしても意味がないと理解できたら、改善へ向けてのアクションを起こしていきましょう。手順としては、以下の流れがおすすめです。
- 検査でアレルゲンとされた食材を2週間だけ制限し、体調を観察する。
- 2週間後、その食材を以前と同じように食べてみる。そして制限した2週間と、再び食べ始めた2週間で体調変化があったかどうかを確かめる。
- もし制限中に体調が良くなり、食べ始めて体調が悪くなったのであれば、根本的治療であるリーキーガットの治療を行いながらしばらく控える。
- 並行して、腸内環境を整えていく。
(食物繊維を積極的にとる、補助としてサプリメントを利用するなど) - リーキーガットの治療を行なっても、アレルゲンへの反応ががなくならなければ、それ以外の原因(カンジダ菌感染や重金属による腸管の損傷など)が関係している可能性があるため、改めて検査を行う。
フードアレルギーは、自分では気付きにくく治しにくい病気です。だからといって、食事制限をしなくてはいけないという思い込みは不要です。専門医のアドバイスを受けて、根本的な改善を目指してみてはいかがでしょうか。
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