先生に聞いてみた!
【先生に聞いてみた!】プロテインで肝臓の数値が悪化するのはどうして?
健康診断の結果がおかしいの!
いや、体重が増えたのは事実としてデータを信じなさいよ…。
そうじゃなくて、急に肝臓の数値が悪くなっているの。私、お酒飲まないのに…。
肝臓数値イコールお酒じゃないわよ。私が原因をズバリ当ててあげましょう〜!
えっ、なに?こわい!
あなたの肝臓数値悪化の原因は…サプリメントです。肝臓はお酒だけじゃなく、薬剤やサプリ、ストレスなんかでもダメージを受けるのです…。
でも去年と今年で、サプリの量は変わらないか、むしろ少なくなっているはずよ。
厳選して飲むようになったし。
そうなの?
筋トレ始めてから、ストレスも減った気がするしね。
ジャーン!見て見て、新しいプロテインシェイカー買っちゃった。
それだ〜〜!
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。
身体に必要不可欠な亜鉛
大豆やホエイなどを原料とするプロテインサプリメントを飲む方が急増しています。女性誌やテレビなどでの露出も増え、プロテインが健康にいいというイメージが定着してきましたが、デメリットもあるようです。
私の肝臓数値悪化はお酒のせいだけど、お酒を飲まず筋トレをするタイプの方も、肝臓ダメージには注意が必要なようです。
大量のタンパク質摂取で悪化するALT
トレーニングを行い、健康に気を使った生活をしているのに、健康診断の血液検査で「肝機能の数値が高い」と出ることがあります。
血液検査ではALT(アラニントランスフェラーゼ)という代謝酵素が調べられます。ALTは、アルコールや化学物質、ストレス、薬剤などで肝臓細胞が痛めつけられたときに増加し、血液中に放出される酵素です。
そこで気を付けたいのは、サプリメントなどでのタンパク質摂取。大量のタンパク質が体内に入ると腎臓がダメージを受け、血液が酸性に傾きます。結果、肝臓に負担がかかりALTが増加するのです。
すごく思い当たります…。
あなたにプロテインが必要かどうかは分からない
筋トレの前後や、置き換えダイエットとしてプロテインを常用している方は、次の血液検査の1週間前から、飲むのをやめてみてください。肝臓の数値は、ほんの少しのことで上がり下がりします。
これはお酒と一緒ですね
本来であれば、特定の栄養素を日常的に飲む場合は、専門医のアドバイスのもとで飲むべきでしょう。栄養療法のクリニックでは、低血糖や炎症の修復にプロテインサプリメントが処方されることもありますが、それはその人の体質や不足栄養素を調べたうえでの指導です。素人判断で飲み続ければ、当然ながらデメリットも生まれます。
うーん…とはいえ、わざわざ病院にプロテインの相談に行くのも敷居が高いよね。
添加物にも注意
タンパク質は食事からも補えます。まずは日々の食事に気を配り、そのうえでプロテインを飲むのであれば、品質にも目を向けてください。
たとえば、粉末プロテインをつくる過程で行われる熱処理は、栄養価を下げたり、消化しにくくする可能性があります。また飲みやすさのために添加物が大量に含まれている商品がほとんど。バナナやココア風の甘さは、人工甘味料です。
正規基準を満たした工場で生産され、品質管理が万全で健康被害がない商品であることは大前提。自分の身体にとって無駄なものが入っていないかを意識して、プロテインを選ぶようにしてください。
プロテインはあくまで補助的なものであって、万能なサプリメントではないということですね。
甘くて飲みやすいものばかり選んでいました。反省!
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
先生、昨今のプロテインブームは目を見張るものがありますが、栄養学の専門医として、どうお感じですか?
筋肉を壊して修復して…というボディメイキングにはプロテインは必要でしょうけど、それは健康とはまた別のお話。雑誌やスポーツジムのおすすめ商品があなたの体質に合うかというと、必ずしもそうではないはずです。
やめる必要はありませんが、胃腸が弱くて吸収力自体が低下している方がプロテインを常用すれば、健康を害します。プロテインより先に、プレバイオティクスなどで腸内環境を整えたり、炎症を改善するためのサプリメントを飲むべきではないでしょうか。腸が元気になって、はじめてプロテインの効果が発揮されますからね。
先生のこぼれ話…
最近は、うつ病にもプロテインと鉄分が効果的などといわれていますが、すでにタンパク質や鉄が足りている人がせっせと飲んでも意味はありません。プロテインの摂りすぎは肝機能障害にもつながりますし、合わない治療は症状を悪化させることもあるので、見極める目が必要だと知ってください。