正しい知識
フッ素と甲状腺機能低下症
歯によいとされているフッ素ですが、実は大量に身体に取り込まれると、甲状腺機能低下症の原因になることがあります。
「そんなこと、歯医者で聞いたことがない」
とお思いでしょうか?
当然、歯磨き粉を販売している会社や、フッ素を治療に使っている医院では、そのようなことをわざわざアピールしませんよね。市販の歯磨き粉には「高濃度フッ素配合」などの宣伝文句も書かれていますから、何となく身体にいいものだ、とイメージしてしまうのも、無理はありません。
もちろんフッ素を多少体内入れたからといって、すぐに死に至るようなことはありません。だから、家にある歯磨き粉を必要以上に恐れることはないでしょう。
しかし、医療に関する情報が氾濫している現代だからこそ、危険性については知っておくべきです。今回は、フッ素と甲状腺機能低下症についてと、生活の中にあるフッ素とどう付き合っていけばいいかについて考えてみましょう。
\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
歯磨き粉のCMなどで「フッ素配合」といわれると、さも効果的な成分のように感じますが、少し注意が必要です。フッ素には賛否両論があり、危険性を知らずに常用することはあまりおすすめできません。
フッ素を「危険」としている学者や医者は、発ガン性、催奇性、甲状腺機能低下、アレルギー、難聴、胃腸障害などの危険性があると訴え、実際にさまざまな検査や実験が繰り返されています。
逆にフッ素推進派の方は、洗口剤や歯磨き粉をわざわざ大量に飲まない限り、フッ素中毒などあり得ないと主張されます。
これでは一般消費者の方は、どちらを信じてよいか分からないのではないでしょうか。
機能性医学から見たフッ素
機能性医学の立場からお話させていただくと、フッ素は元素の周期表ではヨード(I)と同じになります。化学的に考えると、フッ素はヨードに置き換わって身体に入るということです。これは心情やポリシーにかかわらず、化学的な事実です。
通常、体内に入ったヨードは甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンの材料になります。フッ素がヨードに置き換わると、正常な甲状腺ホルモンが作れなくなり、甲状腺機能低下症のリスク要因となり得るのです。
フッ素の許容範囲は?
この事実を知ったうえで、「どの程度のフッ素であれば、甲状腺に悪影響を与えないのか」という議論が必要だと考えます。
フッ素の安全性について、まだ明確になっていないのであれば、摂取量は控えた方がいいというのが、常識的な判断ではないでしょうか。
ネット上でも「少量なら安全」という記事が散見されますが、果たしてその実験が科学的根拠をあらわすものなのか…までは、なかなか判断できません。たった数回の実験で何も起きなかったからといって、エビデンスが確立したとはいえないからです。
偏った情報を信じないことが大切
確かに「歯への効果」という部分だけを取り上げれば、フッ素が歯の再石灰化を促し、酸に強い歯を作る成分であることは、分かっているのでしょう。
しかしフッ素推進派の方は、結局は大樹の葉しか見ず、フッ素が全身に及ぼす影響を軽視している可能性があります。
大切なのは、歯の健康以上に、全身の機能維持です。すでに甲状腺にリスクがある方はもちろんのこと、健康な方も、フッ素の安全性についてネットニュースを信じ込まず、なるべく体内に入れない工夫をしてみてはどうでしょうか。