先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】コロナワクチンを打たない人が多ければ、社会はどうなる?副反応と死亡率から考える

しんじ

ワクチンの「打つ打たない」って、本当に個人の価値観によるな。
会社にもいろんな人がいるよ。

さとみ

こんなに多くの人が「同じワクチンを打つかどうか」の判断を迫られるなんて、当面ないでしょうね。

しんじ

ワクチン初期には、副反応やデメリットばかり聞かされてきたからなぁ。

さとみ

あなた、ワイドショーにかぶりつきだったじゃない。

しんじ

怖いもの見たさというか…人はやっぱり、未知の危険なことに対しては好奇心が湧くんだよ…。

さとみ

単なるゴシップ情報に踊らされないでね。

しんじ

そんなこといっても、自分の身体に何が起きるか不安じゃないか。

さとみ

確かにそうね。いったい私たちは、どんな情報を信じればいいのかしら…。

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

ワクチン接種が進んでいます。海外からは感染者数が減ったなどの明るいニュースも届いていますが、現在の日本では、打つ打たないの判断は個人に委ねられています。ワクチンに関する情報をどのように受け止めればよいでしょうか。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

しんじ

先生、新型コロナのワクチンですが、打つ打たないの判断軸をどこに置けばいいか分かりません。

先生

私のスタンスとしては、ワクチンは打った方がいいと思っています。
副反応などのデメリットばかりが報道されていますが、少し極端に思えますね。

もちろん副反応を含む危険情報は、報告されるべきです。しかし同様にワクチンを打たないことのデメリットも公表すべきではないでしょうか?

さとみ

確かに、情報が偏っていることは感じます。

先生

リスクとベネフィットについては何回かお話ししましたね。
ワクチンについても、「打つことのリスクとベネフィット」と「打たないことのリスクとベネフィット」の両方に視野を広げるべきです。

しんじ

では、ワクチンを打たなかったときのリスクについて教えてください。

先生

ワクチンを打たない人が多いと、社会はどうなるでしょう。

初めの感染拡大から約2年が経過し、疫学的な実態がどんどん明らかになってきています。国によって医療レベルの差があるため、重症率や死亡率に差異は出ますが、世界全体で見たときの新型コロナ感染者の死亡率は、おおむね2%くらいになるのではないかといわれています。

さとみ

そこまで分かってきているのですね。

先生

そうですね。つまり、今から誰もワクチンを打たなければ、地球上の2%の人が死ぬということです。2021年7月25日現在の総感染者数は86.6万人、死亡者数は1.5万人です。単純計算では総患者数のうちの死亡者数は1.7%になります。

しんじ

人口の、2%ですか…?
多いのか少ないのか、パッとイメージできません。

先生

この2%を、何と比べるかで多い少ないは変わるでしょう。たとえばインフルエンザは、全世界的には0.1%未満であるといわれています。日本では、年間1000万人の人がインフルエンザに罹患し、直接インフルエンザで死亡する人は2000−3000人程度ですので、死亡率は0.02-0.03%程度になります。それと比べると、死亡率2%の新型コロナウイルスの死亡率は高いといえるでしょう。

さとみ

インフルエンザの死亡率の約100倍と聞くと、リアルになってきました。

先生

具体的な数字に置き換わると、イメージしやすくなりますね。

これを日本の場合に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。もちろん世界の各国で医療事情は違いますが、作業仮設として、日本で誰もワクチンを打たなければ、1億人中の200万人がコロナウイルスの感染で死亡するということになります。

これがコロナワクチンを施策として行わなかったときに予想される、近未来の状況です。打たないことによるデメリットの部分といえるでしょう。

しんじ

脅かさないでください。副反応どころじゃなく怖いですよ。

先生

そうですね。だから、このように、ワクチンを打つことによるデメリットだけを一部だけ切り取って伝えることはよくないんです。少なくとも公平に情報は提供するべきでしょう。
ただしワクチンを打ったり感染症にかかった人がある程度広がると、感染者数は自然に減っていくことも分かっています。

しんじ

聞いたことがあります。

先生

「実効再生産数」といって、1人の感染者が次に平均で何人に感染させるかを示す指標がありますが、感染を防ぐ対策が取られて免疫獲得した人が多ければ、この指標は下がります。これを「集団免疫」といい、疫学的に確実なことです。ワクチンを打つことのメリット、というかワクチン接種の目的ですね。

さとみ

こういう知識をもっと広く広めてほしいですね。

先生

ワクチンを打つ打たないを情緒的に判断するのではなく、数字や事実を俯瞰して、リスクとベネフィットを確認してから判断してほしいと思います。

「200万人が死ぬ」といわれてもしっくり来ないかも知れませんが、それがご自身の身内に起きたら、一気に自分事になるはずです。

さとみ

分かりました。とはいえ、ワクチンへの反対意見もまだまだありそうですが…。

先生

副反応などに苦しんでいる患者さんがいるのは確かです。

だからこそ、ワクチンに迷っているなら「打って苦しむ人が社会全体の何%になるか」と、「打たないことで苦しむ人が社会全体の何%になるか」を客観視して、少ない方に向けた行動を取ってみてはいかがでしょうか。
これは先日ご紹介した、「ファクトフルネス」の考え方でもあります。

関連記事:ファクトフルネスで見つける、正しい健康リテラシー

しんじ

なるほど、広い視野で正しい判断をすべきですね。

先生

一方で、今回のコロナワクチンはこれまでのワクチンと異なり、「核酸ワクチン」といわれるものです。

詳しくは別の機会のお話ししましょう。ただ、予測できないような副作用が起こる可能性についても知っておく必要があります。これらはまだまだ分かっていないことで結論が出ていませんから、今回のワクチンは壮大な「社会的実験」なのです。私たちはそのような世界で、ワクチンをどうするかという選択を迫られているのです。

人気記事

新着記事