先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】知っておきたい女性と鉄分。メンタル不調にも効果的?

なつ

ねえ、鉄分のサプリメント持ってない?

ゆき

あるある!
でもどうしたの?

なつ

ここ数日、何かイライラが止まらなくて…。睡眠も食事もしっかりできているから、あとは気休めに鉄分でも補っておこうかと思って。

ゆき

イライラには鉄分なの?
カルシウムの方が効くんじゃない?

なつ

それは固定概念ね!もちろんカルシウムも効果がないわけではないけど、女子のメンタルには鉄分も効果的なのよ。

ゆき

そうなんだ。知らなかった。

なつ

でも、効果も知らずに、どうして鉄分のサプリメントを持ち歩いてるの?

ゆき

この前、生理不順で婦人科に行ったときにもらったの。飲んでたら調子がいいから、定期的に処方してもらってるんだよね。血に関係しているのは何となく分かるけど、メンタルにも効くのかぁ〜。

なつ

ゆきが楽観的でイライラしなさそうに見えるのは、日頃から鉄分を摂っているからか〜。納得!?

ゆき

失礼な!

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

女性に多い「鉄欠乏性貧血」は貧血の8割を占めるといわれます。鉄不足から酸素が全身に行き渡らなくなり、さまざまな症状を引き起こします。

なつ

元気に生活するためにも、女性特有と分かっている症状には予防策を取りたいですね!

大量消費される鉄分

酸素を全身に運ぶためには、赤血球にあるタンパク質「ヘモグロビン」を正常値に保つ必要があります。このヘモグロビンをつくるために欠かせないのが、鉄分です。

私たちの体内では、毎日2,000億個もの赤血球が生まれては壊され…を繰り返していますが、そのときに鉄がどんどん消費されていきます。特に女性は生理で血液を失うため鉄の減るペースは早まり、妊娠や授乳でもっと加速します。これが、女性に貧血が多い理由です。

ゆき

2000億個??
女子…大変…。

婦人科疾患と鉄分

生理の重い女性や産後女性には、鉄剤が処方されることがあります。月経がある女性は、適正容量を守っていれば鉄分の摂りすぎにはなりません。それより不足しないように心がけることが大切です。鉄分が十分に身体に行き渡れば、PMSや慢性的な不調が改善するケースも多くあります。

また、激しい運動でも鉄分は失われていきます。胃潰瘍や大腸ガンなど、大量の出血が起きる病気でも、当然ながら鉄分はどんどん流れ出て行きます。

なつ

運動と病気に関しては、男性の場合も同様ですね!

メンタルと鉄分

うつ病やパニック障害の男女比は、女性の方が高いとご存じでしょうか。これは鉄不足と関連があるとされています。

鉄は脳内ホルモンのセロトニンやメラトニンを生成する手助けも担っています。「幸せホルモン」として有名なセロトニンが不足すれば、抑うつ状態になりやすくなりますし、メラトニンの不足は不眠につながります。

ただし、メンタルクリニックでは鉄分の検査は行われません。そのため、本当の原因が鉄不足にあるのに向精神薬や抗うつ剤を処方され、「なかなか治らない」と悩む方も多くいらっしゃいます。

ゆき

メンタルクリニックで採血されたらビックリするけど、栄養補給でメンタルが整うならぜひチェックしてほしい!

女性は食事とサプリメントで鉄分補給を

何もしなくても鉄分を失う機会が多い女性は、男性以上に鉄分が多い動物性タンパク質などを食べる必要があります。しかし、ダイエットやカロリーセーブを理由に食事を制限し、ますます鉄分不足を招く女性が多いのが現状です。

鉄は生命維持に欠かせないミネラル分。コラーゲン生成、メラニン分解、皮膚や骨、粘膜の代謝の役にも立つため、美容観点からも欠かせません。ただし鉄はまずは酸素運搬に使われますから、不足すれば爪や肌などの衰えにも直結します。

まずはバランスのよい食事で、基本的な鉄分を補いましょう。そのうえでサプリメントなどを補助的に活用してください。

ゆき

鉄分、めちゃくちゃ大切なことが分かりました!

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、今回は鉄分の重要性と、メンタルとの関係性を改めて知りました。メンタル不調のある女性は、どうやって自分の鉄分欠乏を調べたらよいでしょうか。

先生

鉄不足が、頭痛や倦怠感、うつ症状に関係しているというのは本当です。フェリチン測定結果から鉄剤を処方された結果、これまで悩まされてきた頭痛や倦怠感、うつ症状が改善される女性の患者さんはたくさんおられます。

もう一点、重要なことがあります。検査をして貧血がなくても上記のような症状が起こることがあります。そういう場合は貯蔵鉄の指標であるフェリチンを測定することをおすすめします。通常の検査ではフェリチンまで調べることがないので、見逃されることが多いので、「隠れ貧血」といったりもします。

私は女性ではないので、知らんけどねといいたいところですが、鉄分が大切なことは誰よりも知っていますよ。

先生のこぼれ話…

気をつけていただきたいのは、症状があるからといって誰にでも鉄剤が効くわけではないということ。当然ですが、同じ症状でも原因は異なりますから、鉄剤を「万能薬」のように思って飲むことはよくありません。

貯蔵鉄が不足していない方が鉄剤を必要以上に摂ると、活性酸素が増える場合もあります。自己判断でサプリを飲むのではなく、フェリチンを正しく測定しながら内服し、回復に合わせて一時的に休むことも大切です。

鉄剤を摂るかどうかの判断はフェリチン値が30-40程度あればいいと思いますよ。100以上を保つように書いてある本もあるようですが、女性の場合はそこまで必要はないのではないかというのが、私の意見です。

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