先生に聞いてみた!
【先生に聞いてみた!】全人類に必要!免疫力を高める亜鉛の働き
マスクと手洗いを徹底しているおかげか、ここしばらく風邪をひいてないわね。
私も!
絶対に新型コロナにかかりたくないから、めちゃくちゃ気を付けているよ。
あとは…己の免疫力アップにストイックに取り組むのみ…
おお!なんかカッコいい。どんな取り組みしてるの?
亜鉛です…黙って亜鉛を飲むのです。
亜鉛?
あれってオジサンが飲むサプリメントでしょう?
確かに「強壮!」的な男性向けパッケージが多いけどね、女子も絶対飲んだ方がいいよ。
うーん、買ってワクワクするパッケージじゃないと、お金使いたくないなぁ〜
サプリメントをイメージで選んではいけないって、まだ気付かないの?
レジでのワクワク感より、免疫力向上を優先しなさいね〜!
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。
身体に必要不可欠な亜鉛
亜鉛は、成人の体内に約2gが含まれる補酵素です。補酵素とは、それ自体は栄養にはならなくても、なければ身体機能の歯車がうまく回らない、潤滑油の役割を果たす成分です。
亜鉛は200種類もの酵素反応に関係しているといわれ、不足すれば味覚障害や成長障害、爪や皮膚の異常などがあらわれます。細胞分裂やたんぱく質の再合成、DNAの合成にも亜鉛は欠かせません。そのため不妊治療を行うときは、受精卵の分割を促すためにも亜鉛が重要視されます。
その他、めまいや生理不順などの原因にもなるようです。女性は亜鉛不足に注意が必要ですね。
バランスいい食事で不足は防げるの?
亜鉛の1日の摂取の推奨量は、
- 18~69歳の男性で10mg
- 70歳以上の男性で9mg
- 18~69歳の女性で8mg
(妊婦は+2mg、授乳婦は+3mg) - 70歳以上女性で7mg
とされています。(厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」より)
うなぎや牡蠣などの魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類に広く含まれるため、バランスの良い食事を摂っていれば欠乏することはないといえますが、現代人は意識して亜鉛を摂る必要があります。昔に比べ、野菜の栄養価は下っていますし、100年前には体内に入ってこなかった汚染物質や添加物などの毒素も増えているからです。
なんだか難しくなってきたな…。
汚染物質と亜鉛には、どんな関係あるの?
亜鉛はデトックスの要
私たちの体内にはメタロチオネインというタンパク質があり、カドミウムや水銀、鉛などの重金属排出機能を担っています。亜鉛が不足すれば、メタロチオネインがうまく働かなくなり、デトックス力が弱まってしまうのです。
さらに腸壁に穴があくリーキーガットなどが起きていれば、その修復に亜鉛が大量消費されます。そうなると食事だけでは足りなくなるでしょう。
うなぎと牡蠣は大好物だけど、毎日食べ続けるのは現実的ではないのが問題ね。
亜鉛は免疫力を高める
昨今の亜鉛人気は、新型コロナの影響もあるでしょう。亜鉛は免疫力を高め、ウイルス感染を防ぐことが知られたため、サプリメントなどの需要が一気に高まりました。
すでにワクチンがある感染症でも、予防接種で「獲得免疫」を得るときは亜鉛が必要になります。そして、まだワクチンの普及していない新型コロナのような未知の病原体の予防には「自然免疫」が必要になりますが、その主役は「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」です。NK細胞は亜鉛がなければ成り立ちませんから、いかに亜鉛が重要なのかお分かりいただけると思います。
ただし過剰摂取は禁物です。かえって免疫力を下げてしまう可能性があるので、注意してくださいね。
亜鉛は男性が飲むイメージがあったけど、全人類に必要な栄養素ってことね!購入決定〜
亜鉛は、1日に多くても10~20ミリグラムで十分です。食事からの摂取分があるのならば、サプリメントからは5~10ミリグラムで間に合いますよ。
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
先生、亜鉛がこんなにも身体に重要な栄養素だとは、まだあまり知られていない気がします。
新型コロナ対策の栄養素としてはビタミンDが知られていますが、同様に亜鉛も免疫力を高めますから、今後は注目度も上がるのではないでしょうか。
亜鉛は細胞分裂に欠かせない補酵素です。リーキーガットで傷んだ腸管粘膜も、亜鉛が欠乏していると修復できませんし、アトピー性皮膚炎の人の傷んだ皮膚を修復するときにも必須です。とにかく「傷んでいる細胞の修復には亜鉛が必要」と覚えてくださいね。
先生のこぼれ話…
ただし、闇雲に亜鉛を摂ることはおすすめしません。本文にも書いてあるように、必要以上の亜鉛を取りすぎると副作用が起こり得ます。
理想は、病院で亜鉛を測定してもらうこと。そのときは亜鉛単独ではなく、銅も一緒に測ってもらうといいでしょう。亜鉛と銅はバランスして動くため、亜鉛単独の値ではなく、銅との比率が重要だからです。
このようなことはまだあまり知られていませんが、せっかくこの記事を読んでいただいたのですから、健康のヒントとして役立ててくださいね。