先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】病院や医師の未来はどうなる?医療とテクノロジーについて考える

しんじ

今日病院に行って思ったんだけどさ、先生も看護師さんもどんどん年下になっていくよな…

さとみ

何を当たり前のことをいっているの?

しんじ

昔は「お医者さん」ってすごく大人に見えたんだ。看護師さんたちも年上で、それで妙に安心していた気がするけど、自分がその歳を追い越してしまったんだな…と。

さとみ

変なことでしみじみするのね。
若くて知識豊富な人たちに治療してもらえて、いいじゃない。

しんじ

それはそうだけど。

さとみ

私たちが本当に歳を取ったときに病院で治療してくれるのは、お医者さんじゃなくてAIロボットだと思うわよ?

しんじ

そ、そんな…。病院がますます怖くなってしまうよ。

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

医療分野におけるテクノロジーの発達には、目を見張るものがあります。ヘルステック企業の成長を見ても、たった数十年後の未来は大きく変化していると予想できます。病院や医師は、これからどう変わっていくのでしょう。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

しんじ

先生、私たちが歳を取ったとき、病院はどのように変化しているのでしょうか。

先生

「病院」という場所そのものがなくなっているかも知れませんね。遠隔治療のノウハウはどんどん溜まってきています。お年寄りがわざわざ病院に行かなくても、いい治療が受けられる時代になると思いますよ。

しんじ

それは…いいことなのでしょうか。少しさみしい気もします。それでなくても医療分野にもAIが導入されていくわけで、自分が病気になって気が弱くなったときに、機械に囲まれるのはどうもイメージが付きません。

先生

今まさに「気が弱くなったとき」というセリフが出ましたね。
結局、医師と患者の間に最終的に残るのはコミュニケーションなんです。

しんじ

どういうことでしょうか。

先生

まず、AIが人から仕事を奪うなどいわれていますが、そんなことはありません。そもそも診断の正確性はAIが上です。新しい論文がビッグデーターとして蓄積され、エビデンスに基づいた診断が可能ですから。正しい検査方法だってピッと教えてくれますよ。

昔のお医者さんが経験を頼りにして治療をするよりも、科学的にエビデンスのある治療法が受けれるようになるということです。

さとみ

人間のお医者さんが最新情報を追い続けるのは大変だけど、AIならすぐにできそうですね!

先生

最終的な診断は主治医に委ねざるを得ませんが、AIはデータ判断ができます。最終チェックは人がするにしても、そのような技術は実現可能でしょう。

だからこそ、これからの医師は「自分に何が残るか」を考えるべきです。医療から人間味が失われていくという批判もあるかもしれませんが、AI技術の利用方法次第です。

さとみ

そこでコミュニケーションの話につながるのですね。確かにそれはAIでは無理ですね。

しんじ

そうだな。AIに「安心してください、治りますよ」と語り掛けられてもなあ…。

先生

科学的な判断の部分をより信頼性の高いAIに任せることで、コミュニケーションに今まで以上に時間がかけれるようになると、前向きに捉えたいと思っています。
これからは正しい診断を下せる人ではなく、患者さんのメンタル面から治癒を支えられる人が名医と呼ばれるでしょうね。技術が進歩しても、医者にしかできないことは、ちゃんと残ります。むしろ、医者にしかできないことに注力できる、いい時代になるはずです。

さとみ

主治医に「心配ないですよ」といってもらえたら、それだけで治る気がしますよね。プラシーボ効果も決してばかにはできません。

先生

それから、医療の進歩というと「治すこと」にばかり目が向きますが、それだけではありませんよ。ブロックチェーンという技術がありますよね。

しんじ

仮想通貨やビットコインに使われている技術ですよね。

先生

これは単に、現金が仮想通貨などに置き換わっていく話ではありません。社会におけるお金の価値が変わるということは、信用創造の世界がやってくるということです。これを貨幣資本主義から信頼資本主義への転換という人もいます。

さとみ

信用で新しい価値が生み出される社会は、クラウドファンディングなどを見ていると、何となく理解できます。

先生

では医療の世界に信用創造という価値観が持ち込まれたら、どうなるでしょうか。この信用は個人に紐付きますから、患者さんとのコミュニケーションができていない医師の信頼度は、どんどん下がってしまいます。

しんじ

なるほど。確かに社会から信用されていない医師に、命を預けるのは怖いな。

先生

これから価値を生むのは、お金ではなく「人としての信用」なのは確かです。

逆に信用があれば、「こんな研究を進めたい」「新しい検査を導入したい」という医師のチャレンジがプロジェクト化でき、信頼関係で結ばれた人たちに仮想通貨で応援してもらうことなども可能になるはずです。

さとみ

仮想通貨などには、ネガティブな話もありますが…。

先生

新しい概念は、そうそう社会に浸透しませんよ。日本はAI対してネガティブなイメージを持ちがちで、AIに対するリテラシーが低いともいわれています。
しかし価値を見出し始める方も増えています。

さとみ

確かに、新しいプロジェクト進めるには新しい価値観が必要です。怖がってはいけないということですね。

先生

AIの進歩で新しくできた時間で、何をする?
患者さんに向き合い、いい仕事をするために、何をする?

それを常に考え、人間だからこそできることだけに注力していけば、信用はあとから付いてくるのではないかと考えています。

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