困ったときは?
心臓・腎臓・肝臓・更年期…さまざまなむくみの原因とは
むくみの原因は、身体に残留した余分な水分です。医学的には「浮腫」といい、血液中の体液が血管外にもれるなどして、皮下組織に溜まることを指します。
分かりやすいのは、たくさん飲酒した翌朝。体内に水分が残ったまま横になると睡眠中に水分が頭の方に移動し、朝には顔が膨れてしまいます。これは、外部からの水分量が多すぎたうえにアルコールで水分代謝が鈍化し、次の日まで持ち越して起きた現象です。
一時的なむくみの原因は他にもたくさんあります。
・立ち仕事が続き、重力によって下半身に水分が溜まってしまった
・締め付ける服を着ていたため、血管が圧迫されて血液の循環が悪くなった
・長時間同じ姿勢でいたため血液の循環が悪化し、水分が血管から多く流出した
このような一時的なむくみは、リンパマッサージや運動で解消できます。普段から足腰をよく使い、筋肉をつけるようにも工夫しましょう。
しかし、単なるむくみで済めばいいのですが、その裏には大きな病気が潜んでいる可能性があります。むくみは、心臓・腎臓・肝臓という、身体を動かしている重要な臓器からのSOSかも知れません。
\\\ むくみの原因について、専門医にもっと詳しく聞いてみましょう! ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
むくみには心臓、腎臓、肝臓という重要な臓器がかかわっていますが、これらの機能低下は全身のポンプを詰まらせる状態を招き、老廃物を排出しにくくしてしまいます。
心不全で身体がむくむのは、十分な水分を動脈血として送り出すことができなくなり、静脈相に血液が溜まるからです。腎臓に流れる血液量が減ると尿の量も減り、体内に水分が溜まって、体重が数日で2〜3キロ増加したり、ふくらはぎや足の甲がむくんだりします。
特にむくみが慢性的に続く場合は、腎臓機能の低下が疑われます、もしかしたら腎不全、急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群などの疾患が隠れているかも知れません。肝硬変などの肝臓障害も、全身のむくみの原因になり得ます。
アルブミン量の低下
腎臓や肝臓が原因のむくみには、アルブミンという物質の関連性が指摘されています。アルブミンは血液中(血清)に含まれるタンパク質のひとつで、アミノ酸を運搬し、血液の浸透圧をコントロールする働きを担っています。
アルブミン量が減ると(低アルブミン血症)、血管の中に水分を取り込む圧力が弱まってしまいます。その結果、血管から細胞の中に水分が漏れ出て、むくみが発生するのです。
アルブミンは、食事から摂取されるタンパク質を原材料にして肝臓で合成され、腎臓でろ過されます。肝機能が低下し肝硬変になると、肝臓でのアルブミンの合成が低下するので低アルブミン血症となります。また、腎機能が低下すると、腎臓でアルブミンが尿中に漏れるため、やはり低アルブミン血症になります。
女性のむくみには更年期も関係する
むくみは男性よりも女性に多く見られますが、これは女性は男性より筋肉量が少なく、心臓に血液を押し戻す働きが弱いためです。
また更年期には、エストロゲンの減少により女性ホルモンのバランスが崩れ、血管の拡張・収縮を調節している自律神経の乱れから血行が悪くなり、むくみが起こりやすくなります。
女性ホルモンの急激な減少は、脂質代謝と水分代謝の低下も招きます。生理中のむくみも、女性ホルモンが関係しています。生理前に黄体ホルモンの分泌量が増えることで、余分な水分が体に溜まりやすくなるからです。
加齢によるリンパの流れの悪化もむくみの原因になり得ます。
病気の可能性があれば、診察を
自分の心臓・肝臓・腎臓の機能を、自分で見ることはできません。自己流の対策を取るより、体の状態を検査で把握し、栄養や運動などに気を配ることが、むくみ改善への近道です。
「私はむくみやすい体質だから」という方は、大きな病気が潜んでいる可能性もありますから、不安があれば病院で受診してください。全身の機能バランスを整えるためにも、医師のアドバイスを受けて生活を見直してみてはいかがでしょうか。
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