正しい知識

日米サプリメント事情2020

2021年のアメリカのサプリメント市場は、10年前と比べて1.5倍に成長するという見通しだそうです。アメリカは今や、昔のイメージのような「ジャンクフード大国」ではありません。国民の健康意識は日本よりはるかに高く、それがサプリメントの市場拡大に影響を与えています。

アメリカ国民の意識を変えるきっかけとなったのは、1975年の「マクガバンレポート」です。当時アメリカの社会問題であった生活習慣病に対し、「それは食生活によってもたらされたものであり、薬での治療には限界がある」という発表は、当時の社会に大きな影響を与えました。

その4年後の1979年には、食事療法や東洋医学などを予防医学に位置づけ、国の政策として取り入れることが決定。社会的なキャンペーンと啓蒙活動が実を結び、現在のアメリカの食生活はとてもヘルシーで、実際アメリカはで30年前ほどから、ガンは激減しています。

そのアメリカの食生活の下支えをしているのが、サプリメントです。単に美容やダイエットのためではなく、栄養バランスを保ち病気を防ぐ目的で、積極的に利用されているのです。

日本とは何だか位置づけが違う、アメリカのサプリメント事情。
もっと知りたいと思いませんか?

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみましょう! ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

アメリカには保険診療がなく、病気になれば破産してしまうほどの医療費がかかります。オバマ大統領が「オバマケア」を提唱するまでは、自分で自分を守るしかありませんでした。

そのため、近年のアメリカでは「治療」よりも「予防」への意識が高まっています。健康的なライフスタイルが重視され、病気になりにくい身体を作ることに注目が集まっているのです。

サプリメントはその大きな柱です。

日本人の健康への意識の低さ

それに対し日本におけるサプリメントは「おまけ」の位置にあり、いまだ医療現場への導入は進んでいません。

その理由は、日本人の病気予防意識の低さにあります。日本の西洋医学の医師たちも、病気のリスク管理という観点から、「栄養管理をして、健康的に暮らしてください」とはいうでしょう。しかし2018年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」では、1日2回以上バランスの取れた食事をしている人の割合は、男女とも半数以下。運動習慣を持つ人の割合は、3割未満と低い状況です。

しかし現状では、病気予防のためのサプリメント活用は完全に個人判断で、なおかつ結果に対しても自己責任の状態です。

日本のサプリメントでは身体が変わらない

もっとも、日本のサプリメントは医薬品ではなく、あくまで「健康食品」です。処方薬のように、何らかの医学的根拠に基づいたものではありません。成分含有量も少なく、本当に身体を変化させるには物足りない商品ばかりになるのも仕方ないでしょう。

だから、健康効果を求めて日本のサプリメントをたくさん飲んでも、大きな変化は期待できません。成分含有量がそのように制限されているからです。自己責任でアメリカからサプリメントを個人輸入する方がいるのは、そのためです。

進化するアメリカのサプリメント

アメリカのサプリメント開発は、マーケットニーズに合わせて年々進化しています。2020年では「植物性プロテイン」「プレ・プロバイオティクス」「グミタイプ」などのニーズが生まれているようです。

特に、腸内細菌コントロールのためのプレ・プロバイオティクスサプリメントは、腸内環境と健康の関係性が知られるようになったことで、ますます需要は高まっていくでしょう。

日本で効果の高いサプリメントを飲むには

予防医学を標榜するクリニックは、日本では非常に少ないとはいえ、少しずつ増えてきています。サプリメントと西洋医学の知見をうまく組み合わせて治療を行う医師も、探しやすくなってきました。

特にサプリメントを使う治療では、含有量や品質についての専門性が必要です。気休め程度に市販のサプリメントを飲む分には問題ありませんが、本当に健康を考えるなら、専門医の元で医療用サプリメントを処方してもらうという選択肢も知っておいてください。

残念ながらサプリメントの広告宣伝の中には、根拠持たず健康不安をあおるだけのものも存在します。日本に正しい知識が広がり、予防医学が一般的になる日がくればよいと願っています。

予防医学.jpでは、専門医によるサプリメントのご相談を受け付けております。

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