正しい知識
スムージーを朝に飲まない方がいい理由
手軽な栄養ドリンクとして人気の、スムージー。野菜や果物を凍らせて砕きシャーベット状にしたものが一般的ですが、常温の材料を使用して1年中楽しむ方も増えています。
スムージーには、たくさんのメリットがあるといわれています。
- 野菜や果物を丸ごと摂れる
- 食物繊維も摂れる
- 食物酵素も摂れる
スムージーファンからは、便秘解消や肌荒れ改善など「飲んでいて良かった」という声も多く聞かれます。
見た目のフレッシュさ、ライトさからか「朝に飲んでいる」という方が多いようです。生野菜や果物の酵素を取り入れるため、朝に飲めば代謝が上がるという説もありますし、朝ごはんをスムージーに置き換えて摂取カロリーを押さえれば、ダイエットにも役立つ…ともいわれています。
しかし、朝スムージーにはメリットがあるように、デメリットも存在します。妄信的に飲み続けるのは、どうやら危険なようですが…
\\\ 朝スムージーのデメリットを、専門家に聞いてみました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
そもそもの話ですが、野菜や果物の皮を剥き、凍らせるという手間をかけずとも、そのまま食べる方がよいに決まっています。わざわざスムージーにしなくても、旬の野菜や果物はあなたの健康の役に立ちますし、ミキサーを洗う手間も省けます。
朝スムージーのデメリットを、あえて医学的に説明をするなら、以下のようなことになるでしょうか。
朝に食事を摂り、食材を噛むという行動は、アンチエイジングホルモンの一種である「パロチン」の分泌を促します。パロチンは唾液と一緒に分泌される100%人間由来の天然成分で、皮膚や髪の新陳代謝を活発にして肌の細胞のターンオーバーを促進することから、若返りホルモンともいわれています。
しかしスムージーを飲むだけでは唾液が分泌されませんから、パチロンの分泌が不足します。
朝から血糖値を上げてどうしますか?
「血糖値問題」も無視できません。スムージーに砂糖を入ない代わりに、バナナやリンゴなどの甘いフルーツを入れていませんか?それらに入っている果糖も、立派な糖分です。
果糖の含まれた甘い液体を一気に飲むと、血糖値は急上昇し、肥満の原因となるインスリンが大量に分泌されます。上がった血糖値が急降下すると、空腹を感じやすくなるため、間食が増える可能性もあります。朝から血糖値を上げ、空腹を招くようでは、スムージーは身体にいいとはいえないでしょう。
寝起きに冷たい飲み物はNG
朝スムージーの問題点は、その温度にもあります。寝起きの冷たい飲み物は、代謝を上げるどころか下げてしまいますから、「果物の酵素で代謝アップ」という宣伝文句を信じてはいけません。
起床直後の身体が動きにくいのは、内臓の温度が上がりきっていないからです。
身体をスムーズに起こすためにも、冷たいスムージーではなく、内臓の温度を上げる温かい飲み物が必要です。
飲み方の工夫が必要
たとえば朝食が「パン、チーズ、ゆで卵と紅茶、スムージー」という構成なら、固形物を噛むことで唾液も分泌します。
どうしても朝にスムージーを飲みたければ、常温で飲むという手もあります。仕上げにオリーブオイルや黒胡椒を加え、野菜スープとして飲めば、求める栄養は十分に摂れるでしょう。ゆっくり飲めば血糖値の上昇も抑制できます。
朝にスムージーを飲まない方がいい、という話ではありません。あくまで補助的な栄養ドリンクの位置付けにとどめ、飲み方を工夫してはいかがでしょうか。