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花粉症を読み解く!アレルギーのメカニズム

花粉症のメカニズムは、ネコや蕎麦などのアレルギーと同じです。

人によってブタクサ・スギ・イネなど反応する花粉の種類は違いますが、その理由は未だ分かっていないそうです。分かっているのは、原因は花粉自体ではなく、身体の方にあること…といいますが、本当でしょうか。

しかし本当に花粉が悪いのであれば、一緒に花粉を浴びた10人中、10人全員に症状が出るはずですよね。サリンなどの毒薬なら10人全員が確実に死にますが、全員に目のかゆみやくしゃみなどの症状が出ないのであれば、毒のようなイメージで花粉を考えることは大きな間違いかも知れません。

そこで今回は、花粉症をはじめとするアレルギーの起こるメカニズムと、免疫細胞の働きについてを、調べてみたいと思います。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてきました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

花粉症は、花粉に対し過剰反応を起こす免疫と体質に関係しています。

一般的に使われる「体質」という言葉は、ふんわりし過ぎています。「風邪をひきやすい体質だから」「すぐに疲れてしまう体質だから」と主観で語られることが多く、一種の逃げ場になっている感も否めません。

アレルギー体質を医学的にいうと、「アレルゲン物質が体中に侵入したときに、免疫細胞が過剰反応する体質」となります。どのアレルゲンに反応するかは人それぞれですから、「体質」という言葉が使われています。

免疫細胞の記憶は、出会って1回目に行われる

免疫細胞がアレルゲンを攻撃する反応は大切ですが、その攻撃が過剰になったとき、アレルギー反応が現れます。

免疫細胞は初めて異物と接したときに、その異物に対する反応つまり「くしゃみを出す」「湿疹を出す」「反応しない」などを決め、記憶させていきます。免疫細胞にアレルギー反応がプログラムされるのです。

ここで重要なのは「プログラムされるのは初回」ということです。たとえばハチに刺されてアナフィラキシーショックが起きるのは、1回目に刺されたときではなく、2回目です。最初に刺されたときの毒は身体にとって初めて接するタンパク質ですから、1回目ではショックは起きません。

しかし免疫細胞は「今度入ってきたら攻撃して排除しよう」と記憶します。そして次回に備えて、対抗できる免疫細胞を用意します。だから次に刺されると過剰反応し、アナフィラキシーショックが起きてしまいます。

花粉症も同じです。アレルゲンとなる花粉が初めて体内に入ったときに、プログラミングされてしまっています。

プログラミングされる場所は腸

意外かも知れませんが、そのプログラミングは主に腸で行われています。

少し医学知識がある人に「免疫はどこで作られるか」と聞くと、骨髄と答える人がいます。確かに骨髄でも免疫に関係するリンパ球などが作られますが、骨髄は不正解です。体内に存在しない物質が、免疫細胞と初めて接する機会が一番多いのは、腸なのです。

食べ物だって人間の体にとっては異物です。たとえば豚のタンパク質は人間のタンパク質とは全く異なりますから、いきなり豚のタンパク質をすりおろして血液注入したら、人間はショック死します。では豚肉を食べてもショック死しないのはどうしてでしょう。それこそ、腸の免疫細胞が体内異物への反応をコントロールしている証です。

免疫細胞はその70%が腸に存在し、「この種類のタンパク質には反応します」
「このタンパク質は身体に必要だから、吸収します」という判断を下すための、関所の役割を果たしています。

しかし腸で何らかのエラーが起こり、本来は敵ではない異物を敵認識し、過剰反応することを「アレルギー」といっています。

粘膜から入る花粉も、記憶は腸でされてしまう

花粉は食べ物ではないため、腸へ直接入るわけではありません。花粉は、鼻と目の粘膜から体内へ侵入します。これがフードアレルギーとの違いです。

ただアレルギー反応が起きるメカニズムは、花粉も小麦粉も変わりませんし、「この種類の花粉が鼻の粘膜にくっついたら過剰反応しなさい」という免疫細胞の記憶は、やはり腸で行われます。

アレルギーは免疫細胞の記憶エラーですから、究極的には、その記憶を与えたのは花粉でない可能性もあります。腸内環境の乱れがエラーを増殖させ、不必要な反応を起こしていることも、よくあります。

プログラミングの解除方法は、腸を整えること

イネはNGだけど、ブタクサはOK…という個々のプログラムエラーを、いちいち解除するのは大変です。それよりプログラム現場である腸の免疫バランスを整える方が、アプローチとしては簡単でしょう。

花粉症ではなかった人が急に発症するのは、体内のコップに溜まった花粉があふれるから…などというのはフェイクニュースです。まったく関係ありませんし、身体機能とはそのようなものではありません。突然花粉症になる人は、腸の環境が変わり「この花粉にアレルギー反応を示しなさい」というエラーが新規に記憶されてしまったからです。

花粉症の治し方は罹患歴に関係ない

40年間花粉症で悩んでいる人と、今年初めて発症した人を治療する場合、方法は一緒です。くしゃみやかゆみなどQOLを落とす不快症状には、マスクや薬で応急処置を行います。その上で腸を整え、プログラムエラーをなくす方向性で取り組むしかありません。

別の症状改善を目指して腸内環境を整えた方が、副次的に花粉症が治った…というケースも多くあります。「花粉自体は悪ではない」「避けるだけでは根本原因にならない」ということを理解し、腸内環境の改善から取り組んでみてはいかがでしょうか

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