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腸内に「痩せ菌・デブ菌」は存在するのか

世の中にはダイエット商品が溢れていますが、高いお金を出す前に、ご自身の腸内環境に注目してみませんか?実は腸内には、ダイエットに役立つ痩せ菌がたくさん存在し、育て方次第で痩せやすい身体をつくってくれるのです!

…なんて書くと、怪しい通信販売のサイトのように思えますが…

ネット上で「痩せ菌」と調べると、多くの記事や動画がヒットするのも事実です。しかも怪しいサイトだけではなく、腸内環境について正しく発信されている、信頼性の高そうなサイトも見つかります。

では痩せ菌は、本当にある?
医学的に見て、効果は期待できる?

ネットに散らばっている怪しい情報の中から、正しい知識を拾いあげてダイエットに活用できるよう、腸内環境の専門医に教えてもらいましょう。

\\\ 痩せ菌について、本当のところを聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

「痩せ菌」という呼び方が妥当かどうかはさておき、腸内には私たちの想像を超えた働きをする無数の菌がいることは確かです。

腸内には数千種類ともいわれる微生物が存在しています。その微生物が動き回る様子はまるでお花畑のように見えるため、腸内細菌の生態系は腸内フローラと呼ばれています。

腸内フローラは、善玉菌と悪玉菌、そして日和見菌の3種類で構成されています。日和見菌とは、腸内環境の状態によって善玉菌にも悪玉菌にもなる中間的な存在の菌です。

この3種の菌のバランスは、誰ひとり同じものはありません。親から受け継いだ菌に加え、習慣的に食べている食材や生活環境、ストレスのかかり具合などの多くの要素が絡まり合い、一人一人で全く異なる唯一無二の腸内環境が構築されています。

痩せ菌を増やすも減らすも、腸内環境次第

腸内環境は自分の努力でバランスを整えることもできますが、乱れた生活をしていると悪玉菌が一気に優勢になり、全身の機能に悪影響を与えます。結果デトックス機能が落ちれば、不要な水分や老廃物が溜まり、痩せにくくなります。

あえて「痩せ菌」「デブ菌」といういい方をするのであれば、はじめは日和見菌であったものが、腸内バランスによって身体によい菌・悪い菌に変化するという表現方法が妥当でしょうか。

個別の役割を持っている痩せ菌・デブ菌

たとえば痩せ菌には、短鎖脂肪酸をつくり出す善玉菌「バクテロイデス」があげられます。短鎖脂肪酸が腸から吸収されると、脂肪組織がそれを感知し、脂肪を燃やしてくれるといわれているからです。

一方、デブ菌に当たるものに「ファーミキューティス」があります。この菌は脂肪細胞に栄養を吸収させる働きを持ち、痩せにくい身体にしてしまいます。

しかし、繰り返しますが、バクテロイデスの入っているサプリメントを多く飲んだからといって、そのまま腸で増えて痩せるというような単純な話ではないと理解してください。「バクテロイデスには脂肪を燃焼させる作用がある」という事実と、「バクテロイデスをサプリで摂ると痩せる」ということは、全く次元の違う話です。イメージだけが先行した「痩せるサプリメント」の宣伝には、十分な注意が必要です。

痩せるだけではない、善玉菌の効果

痩せ菌、つまり短鎖脂肪酸を生み出す善玉菌を自力で増やしましょう。
ダイエットだけではない効果が期待できます。

  • 過剰な食欲を抑え、暴飲暴食を防ぐ
  • 女性ホルモンの生成をサポートする
  • 便秘が解消されニキビや肌荒れの改善につながる
  • 免疫力が上がり、風邪をひきにくい健康的な身体になる
  • 髪の毛にハリが戻り、アンチエイジング効果も期待できる

身体を「ダイエット」という狭い視野で見ずに、「健康体になる」イコール「人間本来の無駄のないスリムな身体」になるという考え方を持ちましょう。一番大切なのはバランスです。ヨーグルトだけ、こんにゃくだけ食べればいいなどという一発逆転方法は、かえってデブ菌を増やしてしまいます。

有効活用したいサプリメント

善玉菌を増やす目的でのサプリメントも一般的になってきましたが、単に飲むだけではなく、シンバイオティクスという考え方を活用してください。

シンバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌を体外から入れる」ことと、オリゴ糖や食物繊維など「善玉菌のエサを与える」ことを同時並行で行い、効果を倍増させる方法です。

シンバイオティクスは日常の食事にも取り入れられるメソッドです。ヨーグルトの上にオリゴ糖をかけて食べる、コンニャクに味噌を塗って食べる、などの組み合わせは、まさに食卓でシンバイオティクスを実現する工夫です。サプリメントはその補助として有効活用してください。

何にせよ、腸内フローラはあなた自身が育成しなくてはいけません。痩せ菌をはじめとする「善玉菌チーム」を形成し、全身の美容と健康に役立ててみてください。

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