正しい知識
ガンを防ぐ、免疫の働きの話
免疫力とは、私たちの身体が、感染症やウイルスに対して抵抗力を獲得することをいいます。インフルエンザなどの感染症も、かかる人とかからない人がいるのは、「免疫力が高いか」どうかによって決まります。
さて、若いうちは免疫力も高く、せいぜい風邪の引きやすさ程度でしか差は出ませんが、歳を重ねるにつれ気になってくるのが免疫力とガン予防の関係ではないでしょうか。
親世代のガン罹患、同年代が健診で引っかかった…そのような話は、早ければ40代から身の回りに溢れ始めます。そして「免疫」というキーワードに触れる機会も増えてくるはずです。
免疫力が高ければ、ガン罹患率が下がることは実証されています。ガンは恐ろしい病気ですが、決してクジ引きのように無作為でかかるわけではなく、免疫力を上げることができれば罹患率を下げられるのです。
まずはガン細胞と免疫力の関係を知りましょう。免疫細胞が私たちの体内で、どうやってガン細胞の増殖を防いでくれているのかが分かれば、身体を思いやる気持ももう少し生まれるはず。その気持は、きっと数十年後の自分を救いますよ!
\\\ 免疫力について、専門医に聞いてみました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
私たちの身体には60兆個もの細胞があり、必要に応じて分裂して増殖したり、新しい細胞をつくり出しています。機能が落ちた細胞は死滅し、新しい細胞にどんどん入れ替わっていく仕組みです。ところが新しい細胞の増殖時にエラーが起きると、ガン細胞が生まれてしまいます。
ガン細胞は健康な人でも1日に3000〜6000個も生まれているといわれます。私たちの身体は実はガン細胞だらけ…というと、驚かれるでしょうか。
増えるガン細胞を監視し、ある程度以上増えないように見張っているのが、ガン免疫です。ガン免疫はガン細胞を見つけると、その都度退治していきます。しかしガン細胞も元は正常な細胞から発生したものですから、ガン免疫が異物と判断できなければ、見逃されてしまいます。
体内の戦いの勝敗を決める免疫力
ガン免疫の警備網をかいくぐったガン細胞が増殖し、塊となったのが「ガン」です。エラー細胞たちが免疫の「第一関門」をかいくぐって増殖できるかどうかは、ガン免疫の強さ次第といえるでしょう。
さらにガン細胞は、ガン免疫の目をくらませるだけではなく、免疫の働き自体を抑え込むような物質を出すこともあります。
このように身体の中では常にガン免疫とガン細胞の攻防戦が繰り広げられています。基礎体力や年齢にかかわらず、免疫力の強さが、ガンにかかるかどうかを分ける大きな要因になり得ます。
ガン治療にも活用される免疫
これまでのガン治療では、手術・放射線治療・薬物療法の「三大治療」が中心でした。しかし近年では、免疫とガンの関係についての研究も進み、免疫療法も行われるようになってきました。
免疫療法には、免疫力の働きを強めて免疫細胞がガン細胞を攻撃できるようにする方法と、ガン細胞が免疫の働きを抑制している原因を探り取り除く方法があります。
ガンに限らず、病気は免疫力の低下から起こることがほとんどです。しかし残念ながら、今の段階では、個人の免疫力は数値化できません。免疫細胞自体を調べることはできますが、コストがかかりますし、病気予防には直結させられないでしょう。何らかの検査で免疫力を測り、その人のガン罹患リスクを判断できればいいのですが、それはまだ先になりそうです。
ガンになる前に取り組む 予防医学
ガンを防ぎ、回復を早めるために私たちにできるのは、予防医学の観点から免疫力を向上させることでしょう。まずは生活習慣を整えてください。免疫力は、ストレスや精神的不安でも低下しますから、健全なメンタルが維持できていることも大切です。
免疫力は、スポーツジムで鍛えて手に入る筋力や体力とは別物です。筋肉が多い方でも、風邪を引きやすければ、免疫力は低いといえます。
当医院では、誰でもまず最初にできる免疫力向上の手立てとして腸内環境の改善をおすすめしています。免疫細胞の70%は腸管内にあるといわれており、近年の研究では免疫における腸内環境の重要性に注目が集まっています。腸内環境の改善にあわせ、ガン免疫力を低下させる炎症物質や環境毒素のデトックスも必要です。
強い腸内環境は免疫力を高め、ガンをはじめとする大きな病気の防波堤となります。ガンになってから治療法を探すのではなく、ガンなどの病気になりにく身体を手にする行動こそが、本当の「予防医学」ではないでしょうか。
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