正しい知識

どうして?女性が便秘になりやすい理由

女性に便秘が多いのは、どうしてでしょう。

外出先や仕事場で、トイレを我慢することが多いから?
母親ゆずりの便秘体質だから?

便秘な日常が当たり前になりすぎて、あまり深く考えていない方も多そうですが、便秘は立派な「病気の元」。そのまま放置していいわけ、ありません。

しかし、便秘だけの理由で病院にかかったことがある方は少ないのではないでしょうか。余程の症状がなければ診察は受けませんよね。そもそも忙しく、たかが便秘に気を取られているヒマはない!という女性も多いでしょう。

「ヨーグルト食べてるしね」
「まあ、1週間に1回は出ているから、大丈夫じゃない?」

今日はそんなあなたに、慢性便秘症のアレコレをお話させていただきます。結論、特効薬はありません。が、女性に便秘が多い理由を知り、自分で便秘対策を取ることの重要性を理解していただきたいと思います。

\\\ 専門医に、女性と便秘について聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

便秘とは、単にお通じの回数が少ないことではありません。身体の排便システムに異常が起きエラーが出ている状態ですから、安易に考えてはいけません。

胃腸の機能性疾患に関する世界的な診断基準「ローマⅢ」によると、便秘の三大症状は①排便回数の減少②排便困難感③残便感となっています。毎日出ているのにスッキリしないという方も、立派な便秘です。

上記の分類は、さらに慢性と急性に分けられます。
中でも悩みを持つ人の多い慢性便秘症は、以下の五つに分類されます。

  1. 機能性便秘・・・原因が特定できない便秘
  2. 過敏性腸症候群の便秘・・・お腹の不快感や腹痛をともなう便秘
  3. 薬剤性便秘・・・薬の副作用として起きる便秘
  4. 症候性便秘・・・糖尿病などの病気の症状によって起きる便秘
  5. 器質性便秘・・・大腸の腫瘍などによって起きる便秘

生活習慣からくる短期的な便秘は、機能性便秘に当てはまるケースが多いでしょう。それ以外の便秘は治療が必要です。思い当たることがあれば医師の診察を受けてください。

女性が便秘になりやすいのはなぜか

女性に便秘を訴える方が多いのには、理由があります。女性は出産があるため、男性よりも骨盤が広いという身体的特徴を持っています。骨盤が広いと大腸が骨盤内に食い込みやすくなり、大腸が湾曲すれば排便しにくくなってしまいます。横隔膜や腹筋の筋力がない女性は、排便力が弱くなることも分かっています。

ホルモンバランスも無視できません。生理前には便秘になりやすい女性が多いはずです。生理前、黄体ホルモンは排卵に備えて水分や塩分を体内に溜め込もうとします。すると便の水分が大腸壁から吸収されてしまい、便が硬くなり、排出しにくくなってしまうのです。妊娠初期の便秘も同じ理由です。妊娠中は子宮の緊張から腸の動きが悪くなるため、ますます便秘になりやすくなります。

軽く見てはいけない便秘

便秘を放置すれば、身体に具体的な症状として現れます。
以下に多く当てはまっていれば、早めの改善が必要でしょう。

  • ニキビや吹き出物がなかなか治らない
  • お腹が張って辛い
  • ガスが増えた、匂いが気になる
  • 原因もなくお腹が痛くなる
  • 吐き気がする
  • 食欲がなくなる
  • めまい、頭痛、肩こりに悩んでいる
  • イライラすることが多く、メンタルが不安定
  • ぐっすり眠れない

便秘とは腸内に不要物質が残留し、腐敗した状態です。不要物とは単なる食材のカスだけではありません。本来、体内に入ってきた食品添加物や化学物質、重金属などは便でデトックスされますが、便秘状態ではそうはいきません。だからガスの匂いもきつくなりますし、そのままにしておくと不要な有害物質が腸壁から漏れ出て血液に混ざり、全身を巡ってしまいます。

さらに便秘は自律神経のバランスも狂わせますし、その先には乳がんや動脈硬化などの大病につながる可能性も秘めています。

生活習慣を整えて便秘を改善する

残念ながら、慢性便秘症をすぐに治す方法はありません。緊急対策として便秘薬を使うこともあるでしょう。しかし薬に依存ぜず、並行して便秘になりにくい身体をつくる必要があります。

まずは食事の見直しでしょう。たとえば食物繊維は便の材料になります。スカスカの腸にジャンクフードばかりが入っていくような状態では、決して快便にはなれません。ダイエット中こそしっかり食べるべき理由はここにあります。

乳酸菌、ビフィズス菌など、善玉菌を増やす食材も積極的に摂ってください。ヨーグルト、チーズ、ぬか漬けや味噌納豆などの大豆発酵食品がおすすめです。

合わせて運動です。筋肉量が落ちれば便を押し出す力も弱くなり、便秘は解消できません。適度な運動は腸の活性化だけではなく、自律神経も整えてくれるでしょう。

女性の健康は、腸からつくる

自分の便の状態は、自分でしか確認できません。だからこそ、日々の排便がスムーズになるよう対策を取ってください。便秘が解消されると、関係ないと思っていた全身の不調が知らずのうちに直ることもあります。腸と便は、それぐらい全身の健康に関与しているのです。

女性は、一般的な男性よりも美容と健康への意識が高いはずです。また食事に関する改善も、比較的しやすいでしょう。自身の健康を守るため、今日から生活の中でひと工夫してみてはいかがでしょうか。

人気記事

新着記事