先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】オゾンセラピーと血液クレンジング

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さとみ

はぁ〜!
せっかく美容クリニックに行ったのに、何だか疲れちゃった。

しんじ

揉み返しか?

さとみ

そうじゃないけど…。
血液クレンジングのメニューを始めたからって、強引にお試しをすすめられちゃって。断るのにエネルギー使い果たしちゃったのよ。

しんじ

血液クレンジング!?
女性は美容のために血を洗うのか…すごいな。

さとみ

うーん、静脈血にオゾンを入れて、免疫力を上げる…っていうんだけど、私はまったく信じられないのよ。

しんじ

でも美容クリニックがメニューとして提供しているんだろう。
血がきれいになるならいいんじゃないのか?

さとみ

本当に短絡的ね。
私は、納得できない施術にお金は使わないわよ!

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

「血液クレンジング」とは、採血した血液にオゾンを反応させて再び体内へ戻すことにより、免疫力向上や体内への酵素取り込みができるといわれる、主にアンチエイジングを目的とした施術です。多くの芸能人がSNSなどで発信していますが、ネットでは賛否両論が見られます。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

さとみ

先生、血液クレンジングは、私には危険な施術に見えて仕方ないのですが…。

先生

血液クレンジングには賛否あるようですが、そもそも美容業界の取り上げ方に問題がありそうです。

一般的な美容クリニックで施術されている「血液クレンジング」は、いわゆる「オゾンセラピー」というものでしょう。オゾンセラピーは歴史ある治療法で、これまでに多くの論文が出ていますし、一定の効果が認められています。

しんじ

えっ、そうなんですか!?

先生

酸素は酸素分子が2つくっついているので「O2」です。酸素分子が3つくっついたものは「O3」、つまりオゾンです。

伝統的なオゾンセラピーとは、このオゾンを体内に入れて活性化させる、ショック療法のようなものだと思ってください。

オゾンは元々、人間の体内にはない物質です。そのオゾンを血液のヘモグロビンに付着させて体内に入れると、身体がオゾンを炎症物質として認識し、弱ってしまった免疫機能が刺激され、自己治癒力が復活するという説に則った治療法です。

さとみ

治療法といっても…一般的な病院では行われていませんよね?

先生

現在の日本で保険診療ではできませんから、そのような意味ではレアな治療ですね。

しかし、伝統的なオゾンセラピーには論文も多くあり、体内の反応についての作用機序は科学的に分析されています。もちろん未知のことはまだあると思いますが、現段階では免疫系が復活し、身体によい影響があることまでは、ある程度分かっていると思いますよ。

しんじ

ではオゾンセラピー、つまり血液クレンジングは、トンデモ医療ではないということですか?

先生

まあまあ、すぐに白黒を求めず、考えてみましょう。
大切なのはここからです。

まずひとつめは、美容業界で流用されている名称です。正当なオゾンセラピーであれば、なぜわざわざ「血液クレンジング」という呼び方をするのでしょう。オゾンを医療に利用しようという動きは、1800年代からありました。その流れを汲む正当な研究者たちは、血液クレンジングとは名乗らないのではないでしょうか?

血液クレンジングという名称は、かえってオゾンセラピーのイメージを悪くする気がしますけどね。「オゾンセラピー」では皆さんピンとこないので、マーケティング的な意味合いで命名されたのでしょうが、本当に作用機序を理解して取り組んでいる方からすると、邪道かもしれません。

さとみ

クレンジングという単語に、いいイメージがあるのでしょうね。

先生

私から見れば、限りなく「いかがわしいイメージ」ですけどね(笑)。

それはさておき、ふたつめです。これはあくまで仮定での話ですが、もし血液クレンジングの現場で正当なオゾンセラピーが行われていない場合、意味がまったく失われるということです。

しんじ

どういうことですか?

先生

正当なオゾンセラピーでは、静脈血にオゾンをくっつけて、血液内に戻します。その時、黒い静脈血は真っ赤になります。

しかし、静脈血を採血し、オゾン発生器ではなく酸素発生器を通すと、その血に酸素がくっつきますよね。ヘモグロビンは酸素により赤く変化しますから、採血時には黒かった静脈血が真っ赤に変わるわけです。しかし見かけ上はオゾンセラピーと見分けがつきません。

さとみ

これは、知っておくべきですね!

しんじ

正しいオゾンセラピーであればO3が使われますが、万が一「ほら、血がこんなに赤くなりました」といいつつ、オゾンではなく酸素をくっつけているとしたら…それはトンデモ医療どころか詐欺になりますよね。

これは、実際にそういうことをしているクリニックがあるという意味ではなく、やろうと思えば可能であるという、あくまで仮定の話ですけれど。

さとみ

それを一般人が見分けられないのが問題なんですよね…。

先生

オゾン発生器は高価ですから、施術にもそこそこお金がかかるはずです。施術を受けるときは正しく見極めたいものです。

さとみ

よく分かりました。ありがとうございました。

先生

私も活性酸素はあらゆる病気の原因となると考えていますから、オゾンセラピー自体には興味あります。

本当に活性酸素が減るのか、ガンが治るのか。またサプリメントの内服ではなかなか活性酸素の数値が下がらない人がオゾンセラピーを受けたら、効果があるのか。そのあたりも含めて、より具体的なエビデンスが知りたいですね。とにかく、お金になる目新しい治療を追求するような、詐欺まがいのクリニックが減ることを願っていますよ。

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