先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】トマトジュースの栄養を考える

なつ

世界で一番多く栽培されている野菜は、なーんだ?

ゆき

えっ、何だろう? 大根?にんじん?

なつ

正解はトマトでした。

ゆき

そうなんだ。でも私、スーパーでトマト買うことあまりないよ。

なつ

自炊しない人はそうかもしれないけど、ケチャップやトマトソースが世界中で食べられていることを思い出して。あなたイタリアン好きでしょう?

ゆき

そういうことか!
トマトソースとニンニクとオリーブオイルの組み合わせは、悪魔的に美味しいからね。トマトさまさまだよね。

なつ

トマトには栄養もたっぷり含まれているからね。
健康だけじゃなく美容にもいいと思うわよ。

ゆき

そう聞くと、トマトをもっと食べないといけない気がしてきた!
でも自分で買って料理するのは面倒だから、トマトジュースでもいいかな?

なつ

いいと思う!

ゆき

でも、トマトジュースって何だか地味だよね。写真映えもしないし…。それより毎日美味しいイタリアン食べる方が美容にいい気がしない? ねえ、そう思わない??

なつ

思いません!
地道に自炊するか、トマトジュースを飲んでなさい!

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

トマトの栽培量は、なんと世界で約3,700万トン! 日本でも約4万トン栽培されているというから驚きです。ジュースをはじめ、さまざまな加工食品として流通しています。

ゆき

私がトマトジュースを飲みたくなるような、有益な情報ください!

トマトジュース、買うときに知っておきたいこと

トマトジュースという表記ができる商品は、農林水産省によって定義付けられています。


トマトジュース  次に掲げるものをいう。
1.トマトを破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子等を除去したもの(以下「トマトの搾汁」という。)又はこれに食塩を加えたもの
2.濃縮トマトを希釈して搾汁の状態に戻したもの又はこれに食塩を加えたもの
出典:農林水産省

中には希釈されていたり味付けされている商品もあります。美容や健康のために飲むなら、成分表示に「トマトジュース」と書かれた商品を選ぶことをおすすめします。

濃縮還元か、ストレートか

トマトを濃縮液にしておき、後で水分を加えて元の濃度に戻したものが濃縮還元。それに対し、トマト果汁を濃縮せずにそのままジュースにしたのがストレートの商品です。ストレートの方が風味が濃く感じるといわれますから、トマト味が苦手という方は、濃縮還元の方が飲みやすいかも知れませんね。

濃縮還元の方が栄養成分が少ないという説があります。しかし搾汁・殺菌の過程でビタミンCや食物繊維が減るのは、ストレートでも濃縮還元でも同じという見解のメーカーが多いようです。

なつ

国産メーカーの商品を選んでいれば、大きく栄養価が変わることはなさそうです。

トマトジュースの栄養

トマトジュースの栄養についてみていきましょう。

【トマトジュースに含まれる主な栄養素】

  • リコピン(トマトジュース200mlあたり約15.9〜27.8mg)
    抗酸化作用が高く、善玉コレステロールを増やします。高血圧や糖尿病にもよいとされます。商品によってリコピン含有量は多少異なるため、リコピン摂取や目的なら高濃度のトマトジュースを選んでみてください。

また、トマトジュースをオリーブオイルと一緒に摂取すると、リコピン吸収率が上がるとか。イタリア料理の定番組み合わせには、予想以上の健康効果があるようです。

ゆき

やっぱりイタリアンは正義ね!

  • ビタミンC(トマトジュース200mlあたり、約12mg)
    ビタミンCは、リコピンと同じく抗酸化作用を持っています。メラニン生成の抑制や、コラーゲンの体内生成などの役割が知られています。
  • カリウム(トマトジュース200mlあたり、約520mg)
    細胞の浸透圧をコントロールし、むくみを予防してくれる栄養素です。
  • 食物繊維(トマトジュース200mlあたり、約1.4g)
    トマトジュースには、便通を改善し腸内環境を整える食物繊維も含まれます。

ゆき

美容によさそうな栄養素も揃ってる!
これは飲むしかないかな…

トマトジュースのデメリットは?

いいことづくめのトマトジュース。しかし注意点もあります。

トマトジュースには200mlで約2.4gの塩が含まれています。塩入りのトマトジュースが人気なのは、トマトの青臭さが消えて味がよくなるからですが、2.4gの塩は、塩分を控えたい方にとってはかなりの量。気になる方は食塩無添加の商品を選んでください。

次は飲み過ぎについて。たくさん飲んでも特に害はありませんが、1日にコップ2~3杯にとどめましょう。特に腎機能が弱い方は注意。トマトジュースにはカリウムが含まれていますから、日常的に飲む前に医師に相談してください。

何ごとも、適量が大切。毎日少しづつ、健康的に飲める工夫をしてみてくださいね。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、トマトは生ではなくジュースでも栄養を取る手段になり得そうですが、どれくらい飲めばいいのでしょうか。

先生

最近はトマトジュースでも「リコピン〇mg配合」のように宣伝をしている商品がありますね。リコピンに抗酸化作用があり、健康にいいことが知られてきているからでしょう。健康意識が高まって、消費者が選択できるようになるのはとてもいいことだと思います。

ただし気を付けてほしいのは、「リコピン○○mg配合」という文句を盲目的に信用するのはどうかということです。

配合数値は、あくまで製品を作った時のもの。実際に消費者が飲む時にそれだけの栄養素が残っているかは別の問題です。栄養素によっては、消費者の口に入る時にはすでに失われている可能性も否定できません。実際に消費者の口に入る時にどれほどの栄養価が残っているかを調べることも可能ですが、メーカーがそこまでの検査を行なっているかどうかは、消費者にはまったく見えないでしょう。

さらに、もう一点。

リコピンが身体によいからと毎日トマトジュースを飲んだところで、どれほどの効果があるかは分かりません。毎日1本飲んでいる程度では、何の効果も出ない可能性もあるからです。「〇mg配合」という記載は、それだけを取れば十分だという印象を与えますが、根拠は乏しいでしょう。

つまり宣伝文句をそのまま鵜呑みにし、栄養(ここではリコピン)を取ることを目的として塩分の高いトマトジュースを飲み続けるのは、デメリットの方が大きくなる可能性があるということです。過度に期待しすぎない方がよいのではないでしょうか?

喉が乾いて、飲みたいなと思う時に飲む。その程度に考えておいた方がいいんじゃないかと、私は思います。喉が乾いた時のトマトジュースは本当に美味しいですからね。ま、知らんけどね。

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