先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】先生、民間治療を信じている患者さんが来たらどうしますか?

さとみ

あの病院、いい先生なんだけど…薬が大量に出されちゃうのよね。

しんじ

わかる、いつも余るよな!

さとみ

慢性的な不調は、アロマや漢方で何とかととのえたいんだけど…、アロマテラピーなんて反対されるだろうな〜。

しんじ

そりゃあ、お医者さんはアロマなんて受け入れないだろう。先生を怒らせると困るから、トンデモ医療については口に出すなよ。

さとみ

でもアロマだけではなく、温泉治療や食養生、メンタルからのアプローチとか…西洋医学を使わなくてもヘルスケアはできると思わない?それはトンデモ医療とはいわないわよ。

しんじ

そうかもしれないけど、そのヘルスケアやらと「ガンは笑ったら治る」レベルのトンデモ医療との違いが、イマイチ分からないんだよな。

さとみ

ますます、先生にアロマのことを伝えにくくなってしまったわ…。

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

民間治療といわれるものには、古くから活用され、実効性のある治療もあります。しかし「西洋医学の主治医にはなかなか理解されにくい」と感じる方が多いようです。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

さとみ

先生、もしトンデモ医療を信じ切っている患者さんがやってきたら、どうされますか?たとえば「ガンは、笑ったら治ります。抗ガン剤は使いません」とか…。

先生

困ったなあ。それはトンデモ医療なのかなあ。
「心理的要因がガン細胞に影響を与える」ことについての論文は、いっぱい書かれていますよ? もちろん笑っただけでガンが完治することはないでしょうけど。

問題は、それをビジネスにしてお金を取ることです。いわゆる「ガン難民」と呼ばれる方々、標準治療で治らなかった方々は、藁をもすがる思いです。エビデンスどうのこうのより、「万にひとつでも可能性があれば」と願っているはずです。

その心理的な弱みにつけ込み、「これを飲んだら治ります」と何かを売りつけるのは詐欺ですよね。

しんじ

難しいな。明らかな黒は分かりますが、微妙なグレーもあります。「一部だけグレー」な治療もあるでしょう。

先生

だから、民間治療を信じている方が来られても、僕はまずはしっかり話をお聞きしますよ。固定概念は捨てて。

さとみ

一般論ですが、自分が取り入れている民間治療を西洋医学の主治医に伝えると、否定されることが多い気がします。だから主治医と決別したり、隠れて通うこともあると思います。

先生

自分の理解できない治療を否定する、保守的なお医者さんもまだまだ多いですからね。しかし、すべての医師がそうだとは思わないでください。患者さんに寄り添える医師なら、民間治療も受け入れるはずです。

頭ごなしに否定する医師は、心の中にトラウマがあるのではないでしょうか。だから理解できない話を持ち込まれたとき、自分の価値観が否定されているように感じて、怒りで反応してしまうのだと思いますよ。

自分とは違う考え方を認めることが、自分の人格そのものを否定されたように感じる人がいます。そういう人は、自分の周りに怒りをぶつけることが多いですね。

さとみ

なるほど。でも主治医に怒られてしまっては、患者側としては困っちゃいます…。

先生

でも、「少しでも治って、心が穏やかになるといいね」と民間治療を支援する医師もいっぱいいると思いますよ。

ただし医師も患者さんも、両極端な方が多すぎる気がしています。

患者さんの例でいえば、「標準治療が一番、民間医療なんて全部怪しい!」という方も、「ワクチン怖い…西洋医学は身体に悪い!」と主張する方も、対極のように見えて横たわる心理はまったく一緒です。

その心理とは「恐怖」です。

「ワクチンの副作用」という仮想敵を勝手に自分の中に住まわせている方は、ワクチンという外部の敵に対抗しているように見えて、実は「自分の中」の敵と戦っています。ご自身が満たされていないのですね。

しんじ

確かに、怒りやすい人は、自分と違う考えを認めないことが多いですね。

先生

医師・患者問わず、小さなことで騒ぎ立てる方がいますが、怒りをぶつける方は自分自身に怒っているわけです。自己肯定感が低く、自分自身が嫌いだからです。

自分に自信があり、愛情的に満たされている方は、自分と違う意見を聞いても怒りません。「そうか、そんな意見もあるんだね、新しい視点だね」と普通に聞けるはずです。

さとみ

そうか…トンデモ医療に傾倒する人と、否定する人は、同じタイプなのかな〜。

先生

その通りです!

スイッチが切り替わったら、まるっと意見が反対になる方、いますよ。たまたまどちらかからスタートしただけで、本質は同じです。困るのは中間がなく、極論から極論へ変わるだけなことですね。

さとみ

大変ですね…。

先生

いや、うちのクリニックには極論を語る方はあまり来られないんですけどね!

もし来られたら…「その治療を止めるか、続けるか、好きにしてください」とお伝えしますね。冷たく聞こえるかもしれませんが、一医師である自分には患者さんの考え方や感じ方を変えることができませんし、僕がコントロールしようとは思っていませんから。

しんじ

でも、主治医に「治りますよ」っていってほしい、信じたい人も多くないですか?

先生

確かに、何をしても治らず、医療不信になっている方はたくさん来られます。

でも僕ができることは、今までの治療と何が違うのかを説明して、納得してもらうことだけです。そして「一緒にやっていけると思ったら、治療をしましょう。やると決めたら、あなたが諦めない限り、僕はずっとサポートします」というお話をしています。

さとみ

私は腑に落ちますが、両極端の人には納得されにくそうですね!

先生

僕に怒りをぶつけてくる方もいます。でも僕は怒り返さないからね。「この人は満たされていないのかな」と思って、それで終わり(笑)

民間医療と標準治療は分断できるものではありませんから、アロマでも、笑う治療でも、怒らずに「一緒に考えてくれる医師」を見つけてはいかがでしょうか?

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