先生に聞いてみた!
【先生に聞いてみた!】ゲルソン療法と、コーヒー浣腸
てっとり早くデトックスしたいよね。
なんかいい方法ないかな。
このサイトで散々デトックスについて学んでいるのに、まだそんな短絡的な方法を探しているの?
だって、体内の要らないものがスルスルスル〜!って出て行くと考えると、めちゃくちゃ気持ちよさそうじゃない。
そりゃあそうだけど…ちょっと前にコーヒー浣腸とか流行ったけど、まさかそれに喰いついてたりしないよね?
コーヒー浣腸!?
なにそれ。
ああよかった。知らなかったのね。
お願いだから、安易にやってみたりしないでよ。
さすがの私も、コーヒー浣腸という言葉には恐れをなすわ。それってどういうものなの?
浣腸でコーヒーを腸内に入れて、カフェインを吸収させて便秘を解消させたりするんだって。
へ〜。なるほどね、賢いね〜。いくらでできるんだろう〜。
なに納得してるの!?
賢い方法なのかどうか、もっと調べましょう。もしかして私、ゆきに教えてはいけない知識を入れちゃった…?
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。
コーヒー浣腸って聞くとあやしさ満点だけど、ゲルソン博士って聞くとなんだか信頼できそうな気もしてくる…
それは単なるイメージでしょう!
ではコーヒー浣腸の前に、ゲルソン療法について少し調べてみましょうか。
ゲルソン療法
ゲルソン博士は、自身の片頭痛を治すために厳格な食事療法を取り入れました。その食事療法はガンや結核の治療に役立つとされ、広く知られるようになります。
ゲルソン療法では、ガンの原因を体内の有毒物質が細胞代謝に影響したせいだとしています。特に肝臓に負担がかかりカリウム不足が起きるとガンになるとされ、肝臓をいたわり代謝を正常に戻せば、人は健康になると考えています。
ゲルソン療法での毒素排出は、食事と補助食品で行われます。そして、浣腸は毒素排出の一環として取り入れられています。
ゲルソン療法の食事制限はとにかく厳しくて、本格的に行うときは塩も食べてはダメなんですって!
コーヒー浣腸はデトックスになるのか
ガン治療ではなく、美容や健康を求めてコーヒー浣腸を行うときも、デトックスが大きな目的とされます。確かに腸内をきれいに洗って便がたくさん出れば、体内がクリーンになったような気がするでしょう。しかし果たしてそれは治療になり得るでしょうか。
もし本当にきれいになったかどうかは、自分では見えないというのがネックですね。
コーヒー浣腸で便秘が解消する理由は、腸壁からカフェインが吸収され、腸を刺激して動きを活発化するからです。この機序は、コーヒーを飲んだときと変わりません。普通に口からカフェインを体内に入れても、腸の動きはちゃんと活発化します。
カフェインに敏感な方がコーヒーを飲むと下痢気味になることがありますが、それが飲んでも腸に影響を与える証拠です。
やっぱり、わざわざ浣腸で腸にカフェインを入れる理由はないのね…
コーヒーに限らず、高圧浣腸という手法はあります。ただしそれが医療現場で活用されているかというと、そうではありません。たとえば潰瘍性大腸炎などの病気で、腸の奥まで薬を入れたいときに使うことはあるでしょう。しかし今健康な方が、わざわざ腸管洗浄をする必要はなさそうです。
それなら、食事や生活習慣の改善で腸内環境を整える方がよさそうですね。
合併症があることなどを考えると、高リスクみたい。やっぱり遠回りでも、地道にデトックスのできる身体をつくっていきます。
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
先生、率直にお聞きしますが…腸内環境の専門家として、コーヒー浣腸をどう思われますか?
ゲルソン療法でも、腸内環境を整えることの重要性をいっているようですが、その方法としてコーヒー浣腸を選ぶのは、ちょっと極端ですよね。浣腸では、直腸やせいぜいS字結腸までくらいしかコーヒーは届きませんから、それで腸内環境が整うというのはまったくあり得ません。
コーヒー浣腸とコーヒーの内服を比べたとき、便秘の改善効果に有意差はなかったという文献もあります。科学的なエビデンスはないと思いますよ?
先生のこぼれ話…
標準治療でガンが治らず、ゲルソン療法ににたどり着く患者さんも多いようです。しかしゲルソン療法では塩分も極端に制限することから、ミネラルバランスが崩れて体調を崩すケースも多く、医療界からは非難の声もあがっています。
ゲルソン博士が「解毒に効く」とした作用機序も非常に眉唾で、現在では通用しません。
一部の方には効果があるから実行されているのでしょうが、万人に効く治療などありません。自身にゲルソン療法が合っているのかを無視して、健康なのにコーヒー浣腸などを行うのことは、無意味ではないでしょうか。