先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】豆乳と牛乳、結局どっちを飲めばいいの?

ゆき

コーヒーに豆乳を投入〜

なつ

そのダジャレ、あまり面白くないけど…豆乳派になったの?
前まで、牛乳たっぷりのカフェオレが最高って宣言してなかったっけ。

ゆき

うん、何かね、牛乳って身体に悪いんだって!

なつ

その「何かね」の部分をもう少し言語化してもらえる…?

ゆき

だから、牛乳を飲むと、何かマズいらしいよ。学校給食にも出さないように…って主張している人たちがいたよ!

なつ

ネット記事の受け売りで、よくもまあ、そんなにコロコロと行動を変えられるわね。

ゆき

だって、私より賢い人たちが書いてる記事でしょう?

なつ

この前までは、コロナ禍で牛乳が余ってるのが大変そうだからって、たくさん牛乳飲んでなかった?

ゆき

そんなこというなら、私が何を飲めばいいかちゃんと調べてよ〜。せっかくの豆乳オレがマズくなっちゃう!

なつ

それもそうね。ちょっと調べてみましょうか。

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

「牛乳が健康に悪い」という説が流れはじめ、最近では代替として豆乳を飲む方も増えています。ただし当然ながら、牛乳にも豆乳にもメリットとデメリットがあります。

ゆき

スーパーにもたくさん並んでいるので、最近はついつい豆乳を買ってしまうけど…

牛乳に栄養が豊富なのは事実

今「大人」といわれる年代の方は、学校給食で毎日牛乳を飲み、「大きくなるためには牛乳が必要」といわれて育ったことと思います。実際、骨を強くするといわれるカルシウムは、100g中で比較すると牛乳110mg、豆乳15mgと、圧倒的に牛乳に多く含まれています。

牛乳に含まれている栄養素は、カルシウムだけではありません。ビタミンA、B1、B2、Eなどビタミンも豊富に含まれています。これらのビタミンは体内合成できないため、牛乳は身体づくりのための飲み物として重宝されてきました。

ゆき

では、どうして牛乳が身体に悪いっていわれはじめたの…?

メディアに注目された牛乳

牛乳に「飲まない方がいい」というイメージがついたのは、メディアや本の力が大きいでしょう。昨今は一般消費者も、身体にいい食材・悪い食材に敏感になっています。そこに、目新しい説が浮上してくれば、注目を集めます。

中でも「子牛のための牛乳は、人間の子どもの身体に合わない」という説が広がりました。牛乳の免疫因子を活かせるのは子牛だけ、という意見ですね。また「発酵乳を毎日飲むと、腸相が悪化する」という説も聞かれるようになりました。しかし両方とも明確なエビデンスはありません。

なつ

なるほど。では牛乳の代わりに豆乳を飲むことは、どうなんでしょう。

豆乳の栄養素

豆乳とは、豆腐を作る過程でおからを取り除いてできる液体です。低脂肪、低糖質で、大豆たんぱく質やイソフラボン、マグネシウム、カリウムを多く含みます。

さらに豆乳には、牛乳にあまり入っていない栄養素が含まれています。鉄分です。
100g中で比較すると、豆乳1.2mg、牛乳0.02mgと、含有量に大きな差があります。

なつ

女性が豆乳好きな理由は、鉄分とイソフラボンを多く含んでいるからですね。

豆乳のデメリット

単純に「牛乳が身体に悪いと聞いたから」という理由で、豆乳をたくさん飲むことはおすすめできません。いくつかのデメリットがあります。

よくいわれるのは、イソフラボンの働きです。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、バランスを保ちながら機能していますが、豆乳に含まれるイソフラボンは、エストロゲンとよく似た構造を持っています。過剰に飲めば胸のハリや生理不順、月経過多が起きる可能性が指摘されています。

ゆき

なるほど、女性ホルモンは多けりゃいいってものではないんですね。

牛乳も豆乳も、飲み過ぎはNG

加齢に伴い、女性ホルモンは自然と減少します。豆乳は女性機能を維持するために、ある程度必要な飲み物ではあるでしょう。ただし過剰に信じてしまうのは、よくないといえます。

豆乳に含まれるマグネシウムは下痢の原因になる可能性もありますし、大豆アレルギーを持っている人が飲めば、当然ながらアレルギー反応が引き起こされます。市販の豆乳には、甘味料や香料なども含まれます。

なつ

完全にナチュラルな豆乳を飲もうと思ったら、豆腐専門店で買うか、自分で作るしかありませんね。

牛乳も同じです。乳糖不耐症といって、牛乳を消化できずおなかが痛くなる方は珍しくありません。牛乳アレルギーの方も多くいらっしゃるでしょう。

どちらにしても、「これを飲めば健康」「これは飲んではいけない」と過信・妄信せずに、必要なときに、ほどほどに飲む程度にしておきましょう。牛乳も豆乳も、「飲まなければ死ぬ」「飲んだら死ぬ」ような食材ではありませんから。

ゆき

確かに、小さいとき豆乳なんて飲んだことなかったけど、生きてるし…。

なつ

牛乳をたくさん飲んできたけど、これまた生きてるしね…。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、牛乳が身体に悪い…という説が流れ始めたのはここ数年のことですが、栄養学的にはどうなのでしょうか。

先生

そもそも牛乳が身体によいと宣伝されたのは、カルシウムが多く含まれるという理由が大きかったのだと思います。確かに成長期にはカルシウムは必要です。しかし大人になってからカルシウムのため牛乳を飲むことには、あまり根拠がありません。逆にカルシウムの摂りすぎはよくないのです。

牛乳がよくないとされるもうひとつの理由に、乳牛にたくさんの牛乳を出させるためにホルモン剤が使用されているということもあるかと思います。

だからといって、毎日コップに1杯程度であれば、健康上は何の問題もないことも事実です。特定の食材のよくない点ばかりを強調して、やたらと恐怖心や不安感を煽るような情報は偏っているといわざるを得ませんね。

健康情報を知ることは大切ですが、あまりにも偏った極端な情報には距離をおいた方がいいと思います。

先生のこぼれ話…

豆乳についてても同様で、極端に大豆製品や豆乳を摂りすぎるのでなければ、心配する必要はないと思いますよ。ありきたりな結論になってしまいますが、「何ごともほどほどに」というのが、健康のためにも最善ではないでしょうか。

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