先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】ケトジェニックダイエット、栄養学的に見てどうなの?

しんじ

今日のお昼ご飯は、パスタにしないか?

さとみ

あら?糖質制限は?
こんにゃく麺も買ってあるわよ。

しんじ

最近頑張っているから、たまにはいいかと思って。思いっきり、ボンゴレとかカルボナーラとか食べたいよ。

さとみ

カロリー面でコントロールできていれば、食べるのはいいと思うけど…ケトジェニックダイエットにはほど遠いわね。

しんじ

ケトジェニックってなんだ?

さとみ

究極まで糖質制限して、身体がどんどん脂肪を燃やせるようにするダイエット法よ。あなたくらい適当だと、そこまで到達するのは難しそうだけど。はい、チーズたっぷりのカルボナーラどうぞ!

しんじ

そんなんいわれたら、せっかくのパスタがまずくなるじゃないか〜!

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

糖質を制限すると、身体は脂肪を燃やしエネルギー源にしようとします。溜まった脂肪を分解してエネルギーにできる身体になるとき、「ケトン体」が出てきます。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

さとみ

先生、ケトジェニックダイエットが話題ですが、栄養学的にみてどうなんでしょうか。

先生

最近は糖質制限をする方が一気に増えましたが、糖質制限の究極形が、ケトジェニックです。

私たちの身体には、数十キロ以上の体脂肪が蓄えられています。しかし生命活動のエネルギー源になるべきこの脂質は、うまく使われていません。なぜかというと現代人は糖質を摂りすぎだからです。

さとみ

これは耳が痛いですね。糖質を減らそうと思っても、なかなかうまくいきません。

先生

だから、身体は脂質ではなく糖質をエネルギー源にしてしまい、脂肪が消費されにくくなっています。そこで糖質を制限し、脂質を原料とするケトン体を多くつくるようにすれば、体脂肪をうまくエネルギー化できる…というのが、ケトジェニックダイエットのあらましです。

ケトジェニックダイエットは、昔ながらの考えの医師たちからは「あり得ない」と思われてきました。それは、糖尿病の患者さんで高血糖が続くと代謝が悪くなり、尿にケトン体が増えていたからです。「ケトン体の増加は、健康に悪いこと」というイメージを持たれがちだったのですね。

しんじ

お医者さんによって意見が違うのは、そういうことなんですね。

先生

しかし、糖質つまり炭水化物を究極まで制限することで脂肪が燃え始めるのは事実です。エネルギー効率が上がることも分かってきました。

もはや、今と昔の栄養学では糖質に対する概念は違います。昔の糖尿病の治療では、糖質やカロリーもある程度必要だという方針が主でしたが、ケトジェニックが出てきて、大きく変化しました。究極まで糖質を減らすなんて、今までの栄養学的常識からは外れていますから。

さとみ

ケトン体は、活性酸素を抑制するという説もあります。これは健康において大きな発見ではないでしょうか?

先生

そうですね。ただし抗酸化作用については、まだ研究レベルだと思います。さまざまなデータが揃って、医学の常識がどんどんアップデートされていけばいいですね。助かる患者さんも、いっぱいいらっしゃるでしょうし。

しんじ

なんだかやる気が出てきました。

さとみ

でも、あなたのように自己流でやっても無理よ、きっと。

先生

ケトジェニックで、本当にダイエットなり健康改善なりの結果を求めるのなら、定期的なチェックを受けないといけないですね。流行っているといっても、まだまだ確定的な結論は出ておらず、議論の余地もあるでしょう。

ケトジェニックダイエットは、今は「ちょうど真ん中」の位置にいると思います。肯定も否定もしきれないけれど、よい結論に向かって進む意義はあると捉え、自分の身体に合わせてやってみてはどうでしょうか。

さとみ

人間の身体についても、まだまだ未知数ですね。

先生

それから体質も重要です。他の治療もそうですが、100%の人に当てはまる治療などありません。誰かさんのように、「健康にいいと雑誌に書いてあったから」という理由で、自己流の(ケトジェニック)ダイエットをするのはおすすめめしませんよ(笑)

急なケトジェニックダイエットには、さまざまな副作用のリスクもありますから、本気で行うなら経験のある専門医の元でされることを推奨します。

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