先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】マーガリンは悪者?トランス脂肪酸との付き合い方

ゆき

たまに食べる喫茶店のモーニングは、美味しいねぇ。

なつ

サクサクの食パン、剥きやすいゆで卵に深煎りコーヒー。食べ終わっても洗い物しなくていいし、最高。

ゆき

でもひとつだけ、こだわりたいことがあります…
マーガリンではなくバターを出してほしい。

なつ

へえ、そこが気になるんだ。

ゆき

だってマーガリンって、「食べるプラスチック」とかいうじゃない。

なつ

マイナスイメージがあるのは確かだけど、たまにだし、それ気にしていたら都会で生きていけなくない?

ゆき

いつもは、なつの方が添加物にうるさいのに…。

なつ

そうだけど、自炊のときはバター使っているし、外食で食べる程度なら仕方ないかなって。ゆきも、家ではバター派なんでしょう?

ゆき

ちがーう。自炊なんてしないから、外食時もバターがいいなって思っているの!

なつ

それ、喫茶店のモーニング以前の問題じゃない?

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

マーガリンが発売された当初は、「動物性脂肪のバターより植物性油のマーガリンの方が健康によい」とされていましたが、近年はマーガリンの健康への悪影響が指摘されています。

ゆき

よく聞くのは、マーガリンには「トランス脂肪酸」が大量に含まれているから身体に悪い、という話です。

トランス脂肪酸とは

市販の油の多くは、ヘキサンという化学溶剤を使って油分を溶かし出し、溶剤だけで蒸発させる製法が取られています。効率的で、腐敗しにくく保存がきくためです。しかしこの製法では、油が「トランス脂肪酸」に変化してしまいます。

トランス脂肪酸は、牛肉、羊肉、牛乳、乳製品などの天然の食品にも含まれますが、私たちが気になるのはマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、マヨネーズなどの市販製品に含まれるものでしょう。

平均的な日本人よりも摂取量が多い国のデータから、トランス脂肪酸を大量に食べれば、心筋梗塞などの冠動脈疾患になる可能性が高いとされています。

なつ

しかし厚生労働省によると、トランス脂肪酸は肥満やアレルギー性疾患についての関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症などについての関連は分かっていない、とのことです。

ゆき

うーん、食べていいのか悪いのか、判断できない!

外国と日本は違う?

その危険性について、WHOは心疾患リスクを減らし、健康増進のための勧告(目標)基準として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう提示しています。

なつ

WHOが2003年に行った注意喚起で、マーガリンやショートニングなどの加工油脂のトランス脂肪酸が健康への悪影響を与える…としたため、一気に社会的な不安が大きくなったわけですね。

これらの勧告を受け、トランス脂肪酸をたくさん食べる国では規制も行われています。しかし厚生労働省によると、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値で総エネルギー摂取量の0.3%程度。通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられています。

ゆき

ちょっと食べたくらいでは死なないか…。

リスクとベネフィットは隣り合わせ

確かにトランス脂肪酸は身体にいいものではありません。蓄積すれば病気リスクは高まるでしょう。しかしマーガリンを避けただけで、健康が手に入るかというとそうでもありません。私たちはそれ以外にも多くの食品添加物を摂取しながら生きています。

何よりマーガリンは便利です。保存性も高く、安価です。その利便性をうまく使えば、メリットが生まれる場面はあるはずです。その上で、添加物全体のリスクを理解して、自分の食生活のマネージメントを行えるとよいですね。

ゆき

マーガリン以外にも、トランス脂肪酸が豊富なショートニングは市販のお菓子やクッキーに大量に使われているのか…。

なつ

でも知っておきたいのは、トランス脂肪酸の含有量は徐々に減っているということです。平成22年度のマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングの検査では、トランス脂肪酸の含有量は減少傾向が認められたそうですよ。メーカーも原料や加工方法に工夫をこらし始めているようですね。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、マーガリンは完全悪ではなく、私たちの付き合い方の問題…と理解しましたが、それでいいでしょうか?

先生

バターがいいのか、マーガリンがいいのかという話題が上ること自体は、健康に対しての関心が高まっている証拠なのでとてもいいことだと思います。それだけ健康情報に敏感な方が増えたということでしょう。

しかし、いつもいうことですが、要はバランスなんです。

まあ私なんかは、そんなことをあれこれ議論しなくても、自宅であればバターを食べればいいんじゃないの?と思っています。なんたってバターの方が、絶対に美味しいですからね。

先生のこぼれ話…

「トランス脂肪酸」の是非についてはよく耳にするようになりました。確かにトランス脂肪酸が心疾患のリスクを高めることには、はっきりとしたエビデンスがありますし、それを理由に使用を禁じている国があることも事実です。

日本では禁止されていませんから、行政を非難するような意見の人もいますが、本文でも触れてあるようにバランスのある食生活をしていれば、健康被害が起こるほどの大量のトランス脂肪酸を長期間摂ることの方が難しいのではないでしょうか。

人気記事

新着記事