先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】ダイエットで脂肪肝のリスクが上がるのはなぜ?

ゆき

来週は健康診断なので、もうコンニャクしか食べません!

なつ

また、極端なこといって…。体重なんて単なる数字なんだから、無理しなきゃいいのに。

ゆき

体重もだけど、私、肝臓の数値もイマイチだからなあ。

なつ

そういえば、プロテインの記事でも似たようなこといってたね。

ゆき

そう、だから最近はプロテインもサプリメントも、もちろんお酒も控えて、いい子に絶食モードに入っています…。

なつ

身体って、そんな急ごしらえで変わるかしら?
プロテインもサプリも、お酒も、悪者じゃないわよ。

ゆき

そうなんだけど、数字で突きつけられると怖いじゃない。

なつ

もっと怖いこと教えてあげましょうか。

ゆき

えっ…?

なつ

実はね…急なダイエットも脂肪肝の原因になるらしいわよ…。

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

アルコールを飲む機会が少なかったり、スレンダーな人であっても、健康診断で「脂肪肝です」といわれる可能性は十分にあります。

ゆき

いやだ〜!
見た目も、肝臓もスリムでいたいです!

脂肪肝とはどんな状態?

脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が30%以上蓄積された状態をいいます。見た目がスリムであっても、2〜3kgの増量で肝臓に脂肪が溜まり始めるため、注意が必要です。 

脂肪肝は、肝機能障害を引き起こし、放置すれば肝ガンや肝硬変にかかる可能性が上がります。人間ドックで「肝機能異常」にあたる人は、日本人男性の約40%、女性では約30%にも及ぶといいますから、他人事ではありません。

なつ

アルコールを飲まない人にもリスクがあるというのは、なぜでしょう。

脂肪肝とアルコール

脂肪肝にはお酒が好きで暴飲暴食をする人のイメージが付いていますが、お酒を飲まない、または1日に1合未満の飲酒をする方の「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:ナッフルディー)」が増えています。

その主な原因は、運動不足と食べ過ぎです。摂取エネルギーの分だけきちんと消費できていればいいのですが、脂質や糖質たっぷり摂り、かつ運動不足の場合、脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に溜まってしまいます。

ゆき

やっぱり、しっかりカロリーセーブしないといけないのね!

注意したい、低栄養性脂肪肝

ただし、食べ過ぎとは逆に、ダイエットや食事制限などによる「低栄養性脂肪肝」についても知っておいてください。最近はベジタリアンや断食なども流行っていますが、健康志向の方でも妙に肝臓の数値が悪いときは、低栄養性脂肪肝が疑われます。

特に注意したいのは、短期集中のダイエット。急激な食事制限をすると、身体が飢餓状態だと感じ、エネルギー源をどんどん放出していきます。その結果、基礎代謝が落ちてエネルギー量が急に減り、低栄養性脂肪肝を招く…という結果になってしまいます。

なつ

短期間のファスティングや激しいダイエットの後、つい食べ過ぎてしまう方は要注意です。脂肪肝が進みやすくなりますよ!

ゆき

健康診断の前後の私だ…。

女性はさらに注意

また女性は閉経後に脂肪肝になるケースが多いとされています。これは閉経後の女性ホルモンの減少によるもので、閉経前と同じような高カロリーの食事を続けていれば、内臓脂肪の量に比例して肝臓に脂肪が溜まっていくのです。

なつ

こわい!こわい!

幸い、生活習慣が原因の脂肪肝は、内臓脂肪と違って取れやすいという特徴を持っています。しっかり食べてしっかり運動をする、そしてアルコールを飲み過ぎないという「よく医者にいわれる、当たり前のこと」を行えば、1年後には大幅改善も夢ではありません。

なつ

食べ過ぎず、食べなさ過ぎず…という、身体にとってのベストバランスを維持することが大切ですね。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、食べないことでも脂肪肝になるとは初めて知りました。身体ってスゴイですね!

先生

よく調べられましたね。

昔は肝障害といえばウイルス性肝障害(B型やC型の肝炎ウイルス)やアルコール性肝障害がメインでした。しかし肝炎ウイルスもアルコール飲酒歴もない肝障害患者さんが増えてきて、注目を集めています。これが本文でも触れられているNAFLDとかNASHとかいわれる、非アルコール性の肝障害なのです。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、再生能力が高く、最後の最後までSOSを出しません。気になったのなら、いい機会だと思って生活習慣を見直してみましょう。

先生のこぼれ話…

もうひとつ医学的な話をしましょう。実は脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まっているだけの状態ではなく、脂肪細胞から放出されるサイトカインによる「炎症」性の疾患であることも分かってきました。「炎症」がさまざまな病気の原因になることは、機能性医学の立場からも明らかになっています。

極端なダイエットを行うと、肝臓の解毒機能の第一段階が過剰に刺激されて、活性酸素をたくさん発生させてしまいます。結果、肝臓にも炎症が起こり、低栄養性の脂肪肝になるということですね。

ダイエットひとつでも、栄養学に基づいて、計画的に行う必要がありますよ。

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