先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】カロリー30%オフが人類を長生きさせる?長寿遺伝子の活性化方法とは

なつ

元気に長生きしたいな〜。

ゆき

え、どうして?
私は若いまま華やかに散りたいけどね…パッとね…。

なつ

そんな中二病みたいなこと、いわない方がいいわよ。人生100年時代、長く豊かに生きることこそが「美徳」になりつつあるんだから。

ゆき

まあ、健康が確約されているなら、長生きも悪くないけどね。

なつ

そこが難しいところで、どんなに健康に気を使っても、病気になる人はなるしね。何かいい方法はないのかしら。

ゆき

やっぱり、好きなものをたっぷり食べて、栄養をたくさん摂るとか…?

なつ

うーん。でも最近は、食べ過ぎは寿命を縮めるという説も出始めているみたいだし、それはどうかしら。ちょっと調べてみましょう。

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

人生100年時代を目前にし、どうすれば健康で長生きができるかに改めて注目が集まっています。あわせて、「長寿遺伝子」の研究も進みつつあります。

ゆき

そういう研究結果、どんどん私に教えてください!

体内時計をコントロールするための、カロリー制限

最新の研究では、30%のカロリー制限で身体がエネルギー代謝を維持し、老化防止にもつながることが分かってきました。

これには「体内時計」が関係しています。体内時計(生物時計)は、概日リズム(サーカディアンリズム)をつくるための信号をコントロールする機能です。

ゆき

体内時計…概日リズム…なんだか難しくなってきた…?

「概日リズム」とは、地球の自転に合わせた24時間周期のリズム。私たちの身体は、無意識のうちに、太陽が出ているうちは活発に、夜は休息状態にスイッチが切り替わっています。夜になると自然に眠くなるのは、概日リズムのおかげです。

なつ

体内時計は、朝に日光を浴びるとリセットされます。当たり前のことですが、私たちの生命活動は、地球のリズムに従っているんですよね。

サーチュイン遺伝子

この体内時計は、年齢とともに機能低下していきます。しかし年齢が高くなっても、低カロリーの食事を続ければ体内時計の機能を維持できることが、実験などで分かってきました。

さらに、体内時計には「サーチュイン遺伝子」(長寿遺伝子)がかかわっていることも明らかになりつつあります。長寿遺伝子は、私たち全員が持っている遺伝子です。うまくコントロールできれば、寿命を延ばすことも不可能ではないかもしれません。

なつ

すでに持っている遺伝子なら、うまく働かせたいですね…。

低カロリーが人間を救う?

サーチュイン遺伝子を働かせるには、条件があります。簡単にいえば、「低カロリーの食事と、適度な運動」です。

うまくサーチュイン遺伝子を活性化できれば、細胞内のミトコンドリアが増え、細胞内で新陳代謝が進みます。

なつ

この「オートファジー(自食作用)」という新陳代謝機能が働き始めることで、細胞の若返りが進み、老化が食い止められるそうです。

それだけではありません。サーチュイン遺伝子の活性化は、動脈硬化の予防、脂肪燃焼、活性酸素の除去、細胞修復、シミやシワの防止、認知症予防など、私たちが「かかりたくない」と思っているほとんどの症状や病気に好影響をもたらします。

暴飲暴食、高カロリーの食事は、せっかくのサーチュイン長寿遺伝子のスイッチをオフにしてしまいます。人生100年時代、健康寿命を維持したいのなら、毎日の食事からカロリーを30%オフしてみてはいかがでしょうか。

なつ

カロリーセーブは、体内時計の機能を維持して、さらにサーチュイン遺伝子も活性化させるんですね!

ゆき

運動も、サーチュイン遺伝子のスイッチをオンにするよい方法か。結局、健康は「食生活の改善と運動」に集約されると思うと、本気で気を付けなきゃって思い始めてきました…。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、「長生きをしたいならカロリーセーブ」というのは、本当に正しいのでしょうか。

先生

医学的に正しいです。動物実験のレベルですが、適切なカロリー制限は実験動物の寿命を長くするというデータが出ています。カロリー制限をすることで、サーチュイン遺伝子が活性化され、損傷した遺伝子の修復する機能や、身体に発生した「慢性炎症」を鎮火する作用が活性化するということがわかっています。

ただ、どの程度のカロリー制限が一番適切なのかについては分かっていません。これまでのデータはあくまで動物実験でのレベルですから、人間でどうかについては全く分かっていないと言っていいでしょう。人間をモデルに20−30%のカロリー制限を長時間にわたって行うということは不可能と言ってもいいでしょう。

ただ、人間でも慢性炎症が、老化や様々な慢性疾患の原因になるということがわかっていて、サーチュイン遺伝子が活性化することで、老化や慢性疾患の原因が抑制するということは間違いがないと思います。その、サーチュイン遺伝子を活性化する一番の方法が適切なカロリー制限と適切な運動というわけです。

何%のカロリー制限をするかという問題は置いておいても、現代は「飽食の時代」と言われています。食べるものに困窮しなくなったこと自体は幸せなことだと思います。ただ、お腹は空いていないけれど、食事の時間だから食べるという生活習慣は、少し見直した方がいいのかもしれません。1日3回食事をするという「習慣」に慣れ切ってしまうのではなく、空腹を感じてから食事するだけで、それほど無理をせずに長生きの切符を手に入れることができるかもしれませんよ。

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