先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】あなたの「忙しい」が、社会を不健康にしている

しんじ

まいったな!
最近忙しくてゆっくり昼飯を食べる時間がないぞ。

さとみ

私も、家事に時間を使う余裕がなくて、できあいのお惣菜が増えてきちゃった。

しんじ

夜遅くに、ラーメンやコンビニ食で済ますことが続くと、ちょっとつらいな。

さとみ

仕事が忙しいのはありがたいけど、急に食生活が乱れちゃったわね…。

しんじ

無農薬野菜の通販とか、やめたのか?

さとみ

繁忙期はゆっくり料理する気分になれないから、お休みしてる。あなた作る?

しんじ

うーん…こっちも繁忙期だよ。
で、今夜はどうする?

さとみ

時間がないから、各自適当に済ますこと!
以上です!

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

働き盛りの方々こそ、食生活に気を付ける必要があります。しかし多忙であればあるほど、健康的な食事から遠ざかってしまうというのが現実です。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

さとみ

先生、健康的な食事を考えて日頃からいろいろ取り組んでいますが、忙しくなると継続できません。手間暇かけてぬか床やボーンブロススープを作ってみても、なかなか続かないです…。

先生

身体にいいと聞いてやってみる、買ってみるのはいいことですが、継続できない情報が多いのが問題だと思っています。その健康情報は、実現可能で、長期的に生活の中に活かせそうでしょうか。

飛びつくのではなく、「自分にできるかな、必要かな」という疑問を持ち、正しく選択する眼が必要になってきているでしょうね。

さとみ

健康を求めつつも、安くて早い方法も気になってしまいます。

先生

安くて早い…を求めるなら、食品添加物などを避けては通れませんよ。皆さんは「便利で早くて安くて美味しい」ものを求め、CMや宣伝を見て購入するでしょう。天然で高い商品より、安くて見栄えがよい商品が売れるのであれば、メーカーはそちらに力を入れるのは当然です。

そして「便利で早くて安くて美味しい」を実現するためには、添加物で補うしかないケースがほとんどです。自分たちのニーズの実現と、健康やナチュラルライフは必ずしも両立しないことを、認識してください。

しんじ

忙しい生活と、健康的な食事は、やっぱり両立できないのか…。

さとみ

消費者も生産者も納得できて、健康も手に入る、「三方よし」の社会は来ないのでしょうか。

先生

社会全体がスローダウンすればいいんじゃないでしょうか。

みなさんが忙しく働く部分を、AIが補う時代はやってきます。AIと聞くと「仕事が取られる」と思う方もいらっしゃいますが、逆だと思いますよ。任せられる仕事や雑用を任せて、人間は、人間らしく健康に生きるための時間を作ればいいんです。

しんじ

そんなことが可能でしょうか。

先生

そうなるように、AIを発達させればいいのではないでしょうか。AIを仕事を奪うネガティブな存在にさせないよう、人間がコントロールしながら技術開発することは可能だと思います。

その結果、「徹夜仕事をしてコンビニ食を食べる」という生活を送る方が減れば、社会全体の食に対する意識も豊かになるはずです。メーカーもそのニーズに応えた商品を開発するでしょう。

さとみ

「早く安く美味しく」だけで食事を済まさなければいけない社会が、メーカーに影響を与えているわけで、それをテクノロジーで解決できればいいんですね。

先生

そうですね。技術の進歩はすごいですよ。医療分野でも、AIがデータから診断し、治療法を洗い出すことはじきに可能になります。

人間は最終チェックとコミュニケーションの部分を担うだけで高度な治療が提供できるようになれば、10時間勤務の医師の仕事が3時間で終わるようになるでしょう。その時間を、ゆっくり食事をしたり、学びやリラックスに当てたりできれば、社会も個人ももっと豊かになるはずです。

さとみ

そう考えると、自給自足して、のんびり暮らすことが最終形ということになりますよね。

先生

少し前まで、そんなことは不可能だと思われていましたが、そうではないですよ。
私のクリニックも、今は約8割が遠隔治療です。じきにクリニックという場所がなくても成り立つ時代はやってきます。診察以外の時間を、畑仕事や個人の楽しみに使えたら素晴らしいことです。

さとみ

自給自足までできなくても、もう少し、健康にいい食事がしたいです。私たち消費者が賢くなれば、もっと健康価値のある市販品が買えるようになるでしょうか。

先生

そう思います。すでにそのような商品にネットでアクセスできる時代です。買う側が賢く情報選択ができればいいのではないでしょうか。

食だけの問題ではありません。自分が何に価値を置き、何を大切にするのかの問題です。忙しさに流されながら生きて、口の中にカロリーだけを放り込むような生活では、栄養学的にもメンタル的にも幸せにはなれませんよ。

私も、自然に囲まれた田舎で、午前中は畑仕事、午後は遠隔診療で医者の仕事ができるようになればいいなーなんて思います(笑)
自分の食べるものは全て自分が作れるようになれば、幸せの究極形じゃないかなぁ。

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