先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】免疫力と、腸内の悪玉菌の関係性とは

しんじ

免疫力を高める…って、いろいろな方法が紹介されているけど、結局何が一番効果的なんだろうな。

さとみ

免疫力って不思議よね。笑ったら高まるともいわれているし。

しんじ

そんなカンタンなことで免疫力アップできるなら、毎日笑うぞ〜!

さとみ

笑うだけじゃダメだと思うけど…?
それより、腸内環境を整えることが大切みたいね。

しんじ

それも聞くけど、やっぱり何だか実体のない、フワッとした話に思えてしまうんだ。腸内環境の改善って、結局何をどう改善すればいいんだ?

さとみ

珍しく論理的な結論を求めているじゃない。でも、素人2人でしゃべっていても仕方ないから、先生に聞きに行きましょう!

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

「免疫力が高い方がいい」というのは周知の事実です。腸内環境の重要性もかなり認識されてきました。しかし免疫力と腸内環境の関係を説明できる方は、少ないと思われます。

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教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

さとみ

先生、腸内で何が起きているか、教えてください。

先生

腸管は人体最大の免疫器官といわれています。一般の方にとって「免疫力」は謎の力かも知れませんが、免疫力は、ミステリアスパワーではありません。医学的にも説明が可能な、機能が証明されている力です。

さとみ

そうなんですね。腸と免疫の関係性は聞いたことがありますが、これもイマイチ理解しにくいです。

先生

「腸管免疫」という言葉があります。腸管は内臓器官ですから、身体の外の世界には接していません。しかし人間を1本の消化管だとすれば、腸の入口には「口」があり、出口には「肛門」があります。

しんじ

確かに、腸は身体の真ん中に位置して、入口と出口をつなげる役目を持っていますね。

先生

その通り、腸は、寄生虫、細菌、ウイルスなどの敵や、食品添加物や化学物質など、私たちが口にした人体に悪影響を及ぼす異物に絶えず対応し続けています。

腸管免疫系は、このような体外異物から身を守るために発達したといえます。腸は、決して「消化吸収のため」だけにあるのではありませんよ。

さとみ

腸には敵がどんどん入ってくるから、強い免疫力が必要ということですね!

先生

医学的に腸管免疫の特徴をあげるとすれば、「免疫細胞の数が多い」ということが挙げられます。

腸内には、身体全体の免疫細胞の70%が存在しています。免疫細胞が一番多い場所を、「骨髄」や「リンパ節」だと勘違いしている方も多いのですが、そうではありませんよ。

さとみ

私もてっきり、リンパ節などに多いと思っていました。

先生

腸管の上皮細胞内には、リンパ球が塊になって存在しています。口から入ってくる「異物」に対処するためには当然といえる布陣ですね。

さらに「さまざまな病原体に対して免疫を活性化し、身体を守る一方で、腸内の善玉菌に対しては免疫を抑制して共生している」という特徴を持ちます。つまり腸の中の細菌を何でもかんでも排除するのではなく、必要な菌とそうでない菌とを見極めているのですね。腸には人体の不思議が詰まっています。

さとみ

「腸管は人体最大の免疫器官」という言葉の意味が、分かってきました。

先生

腸内にいるのは、免疫細胞だけではありません。およそ100兆個以上もの腸内細菌が存在し、「腸内フローラ」と呼ばれる花畑にも見える状態を形成しています。

この腸内フローラは、それ自体がまるでひとつの臓器であるかのような多様な機能を持ちますが、特に腸管における免疫系の成熟に、よい影響を与えていることが分かり始めています。

さとみ

腸は、多くの免疫細胞と、その機能を強化しながら共生する腸内細菌による、「バリア機能の砦」のような場なんですね。

しんじ

その腸内細菌に、善玉と悪玉がいるということでよいでしょうか?

先生

その通りです。腸内には「善玉菌・悪玉菌・日和見菌」という3種の細菌がいて、それぞれの役割を果たしています。

ここで注意してほしいのは、「善・悪」という名前のイメージだけで、菌を判断してはいけないということです。

しんじ

悪玉菌は、悪い菌だから、減らした方がいいのではないですか?

先生

そうではありません。悪玉菌には、免疫細胞を刺激して、防御機能を高める働きがあります。腸内から悪玉菌がいなくなってしまえば、免疫力が下がってしまうということですね。

適当な量の悪玉菌は免疫機能を高める上で必要ですよ。あくまで「バランス」が大切です。善玉菌だって、増えすぎれば悪さをしますから。

さとみ

このバランスが崩れた状態のことを、「腸内環境が悪化した」というのですね。

先生

そうですね。だから私も含め、医師は、食事や睡眠、ストレス管理などを通じて「身体のバランスを取ってください」とお願いしています。

それからもうひとつ、過剰な清潔思考も免疫力を下げると知っておいてください。

さとみ

どういうことでしょうか。

先生

生活の中の菌に敏感になり、必要以上に「除菌」をする方が増えています。最近はウイルスのリスクもあり、ますます除菌に神経質になっているのではないでしょうか。市販の除菌商品」が溢れていることからも、それが分かりますね。

 

さとみ

ついつい買ってしまいますね。

先生

しかし、人体に悪影響を及ぼさないような程度の量の雑菌に対しては、私たちの「免疫力」がきちんと免疫力を発揮してくれます。

必要以上に神経質になる必要はありません。適当な量の「雑菌」は必要でさえあるのです。あまりにクリーンな生活は、かえって免疫力を下げてしまいますから、気を付けてください。

しんじ

コロナのために、免疫力を上げたいけど、除菌もしたい…というのは、相反する行動でしょうか。

先生

もちろん、ウイルスに対する正しい除菌はしてくださいね。
しかしウイルスが怖いからと、必要以上に神経質になったり、効果のない除菌スプレーをふりまくことは、かえって免疫力を下げてしまいますよ。除菌スプレーなども、過剰な使用は人体に悪影響を及ぼす可能性があることを知ってください。

自分自身の免疫力を上げるためには、腸内細菌のバランスを改善し、保つことが大切です。結果、腸管免疫力が上がり、コロナに限らずさまざまなウイルスに対して抵抗力が高まります。結局これが、一番の近道で確実な方法ではないでしょうか。

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