先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】人類が「病気にならない」未来はくるのか

しんじ

人間ドックの結果が届いたよ。

さとみ

どうだったの?結果を教えてくださいな。

しんじ

いや、でも、怖くて封筒を開けないよ…。

さとみ

分かっていると思うけど、封筒を寝かせても、結果が改善されることはないからね。

しんじ

ば、ばかにするなよ。勇気を出して開封するからさ…ちょっと深呼吸させてくれ。

さとみ

そんなに怖がるなら、日頃から気を付けて生きればいいのに。

しんじ

正論だけど、ぜんぜん響かない!

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

「病気が怖い」と人はいいますが、病気になってからしか本気で対策をしないことがほとんどです。自分の命にかかわることなのに、どうして予防意識が高まらないのでしょうか。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

しんじ

先生、人間ドックを受ける前は「しっかり検査しよう」と思うのに、いざ結果が届くと「大きな病気なのでは」と不安になってしまいます。

先生

健康な方は病気が見つかることをとても不安に思われるようですが…、早期発見できずに、病気が進行することの方が怖くないですか?

しんじ

予想してはいましたが、バッサリ切られましたね。

先生

これだけ健康情報が出回っているのに、病気になってからではないと生活改善ができないのは、危機意識が足りないのかもしれませんね。あえてキツイことを申し上げますと、皆さん、病気になっても保険診療で安く病院にかかれると思って、健康管理を後回しにされていませんか…?

しんじ

スミマセン、と、謝るしかないです。

先生

論理的に考えると、早く見つかった方が、早く治りますよ。それから、病気のリスクを避けるために健康的な生活をおすすめしたいですね。

さとみ

「健康に生きる」必要性は分かるのですが、漠然としていて、具体的に何をすればいいのかが見えにくいです。

先生

病気の原因はさまざまですが、最新の研究では、「病気の原因をあえてひとことでいえば、慢性炎症である」ことが分かってきています。

「慢性炎症」にもさまざまなレベルがありますが、動脈硬化によって起こる疾患も、ガンも、その根底には「炎症」が深く関連しているのです。

しんじ

身体の中の火を、消して回る必要があるのですね。

先生

単に、抗酸化サプリ、抗炎症サプリ」といわれるものを飲むだけではダメですよ。

炎症を抑えることは「根本治療」ではありません。すでにある炎症を抑えるという意味では、「対症療法」と変わらないといえるでしょう。病気が起こってから対処するよりはマシなのですが…。

本当の意味での「根本的治療」は、炎症の原因を探し、それをなくしていくことです。体内の炎症の状態を把握し、系統立てて整えていかないと、結果は出てきません。

さとみ

正しい方法で炎症を消していけば、病気になりにくくなりますか?

先生

その通りです。体内の炎症が減れば、病気にならない身体も夢ではありません。
今はまだ夢物語ですが、いずれは「誰も病気にならない世界」が創造できる可能性もありますよ。

私は、病気が治らないのは、病気になってから治療をしようとするからだと思っています。病気になる前に、病気にならない方法を知って身体のバランスを整えていけば、病気で苦しんだり、悩んだりすることがなくなるはずです。

さとみ

そうなれば、人類の大きな悩みが解消されますね!

先生

医者として病気で苦しむ方をたくさん見てきましたが、本気でそのような方がいなくなって欲しい思っています。

しんじ

でも、先生がどんなに予防医学を提唱されても、気持ちの面で取り組めない方が多ければその世界はやってきませんよね。

先生

予防医学の領域は、保険がききませんから、経済的な面がネックにはなっていると思います。

残念ながら日本の医療制度は、「今、病気の人」を抱えていっぱいいっぱいです。人も予算も、予防医学には回りにくい現状がありますね。

さとみ

国の制度に頼らず、自分の健康を自分でコントロールしたいです。

先生

そのように考える方が、もっと増えたらいいのですが…。本当の意味で健康意識が高い方は、人口の1%くらいではないかと感じています。しかしそのような先駆者の方々が結果を出してくれたら、社会全体の意識も変わっていくでしょう。

しんじ

自分も含め、まだまだ意識が低いなと実感しました。

先生

多くの人に本当の意味での予防医学が受け入れられるのは、まだまだ先かも知れないですね。私が生きているうちには無理かもしれません。しかし社会の変化スピードは上がっていますから、未来をポジティブに見据えていきたいところです。

さとみ

ありがとうございます。よく分かりました。

先生

今日は、普段私が考えていることを率直にお伝えしたので、キツく聞こえたかもしれません。しかし「病気のない世界」が本当に実現することを願っての気持ちだと理解していただけると幸いです。

それはともかく、人間ドックの結果は早く開封して、具体的に改善していきましょうね。

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