先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】どう選ぶ?知って納得、鉄分サプリメントの種類と違い

なつ

うーん、やっぱり生理前は貧血気味になるわね。

ゆき

わかる!私も毎月フラフラしています…。

なつ

鉄分サプリメントを買おうかと思っているけど、サプリオタクのゆきとしては何かおすすめある?

ゆき

ところが、私もいろいろたくさん試してきたんだけど、これだ!っていう鉄分サプリメントに巡り会えていないのよ。

なつ

でも、選ぶときの基準くらいはあるでしょう?容量とか成分の違いとか、経験値から教えてよ。

ゆき

選ぶ基準ね。まずパッケージがかわいいこと。それから、インスタでよく見かけること。あと海外セレブが飲んでるというやつは絶対買ってみます!

なつ

ごめん、ゆきに聞いた私が悪かった。
自力で探すから、もういいわ。ありがとうね〜

ゆき

ちょっと待って、私も知りたいよ〜!

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

ミネラルの一種である鉄分。体内には約3〜5gほど存在しますが、貧血の原因の9割はその「体内の鉄不足」だといわれてます。サプリメントも多く市販されていますが、どの商品がいいのかをすぐに判断しにくいこともあります。

ゆき

これからはパッケージや宣伝に惑わされず、ちゃんと探したいです!

自覚症状がなくても、鉄分は必要

体内の鉄分の約70%は「機能鉄」、30%は「貯蔵鉄(フェリチン)」に分けられ、体内の機能維持には、まずは機能鉄が使われます。

貧血などの自覚症状がある場合、基本となる機能鉄が不足していると考えられます。

それでも鉄が不足すると、身体は緊急手段として貯蔵鉄から鉄を運び出して使います。このように、血液中ではまだ貧血は起きていないのに貯蔵鉄が減ってしまうことを隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)といい、注意が必要です。

ゆき

自覚症状があってもなくても、生理のある女性と妊婦さんは、しっかりと鉄分を摂る必要があります。

ヘム鉄と非ヘム鉄

食材から摂る鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。

ヘム鉄とは、肉など動物性食品に多く含まれる鉄で、タンパク質と結合した状態の鉄。タンパク質が吸収されるときに同時に吸収されるため、吸収率は約30%と高くなっています。

それに対して非ヘム鉄は、野菜などの植物性食品や卵・乳製品に多く含まれ、タンパク質に結合していないため吸収率は約7%と低くなっています。「ヘム鉄」「非ヘム鉄」は有機鉄、無機鉄と表現されることもあります。

なつ

牛肉やレバーに含まれているのはヘム鉄、ほうれん草やアサリ、大豆に含まれているのは、非ヘム鉄ですね。

ゆき

吸収率が高いならヘム鉄の多い肉類を食べた方がいいんだろうけど、毎日レバーを食べるわけにはいかないなぁ〜。だからこそのサプリメントなのか。

鉄分サプリメントを選ぶときには

鉄分サプリメントを選ぶときは、ヘム鉄なのか、非ヘム鉄なのかを確認してみましょう。

一般的には非ヘム鉄の方が、安価で買いやすくなっています。また鉄分が欠乏しがちな妊婦さんは、ヘム鉄に葉酸などが加えられたサプリメントを飲むことが多いようです。

ゆき

鉄分のサプリメントを調べていたら、キレート剤というのもあるみたいなんだけど、これって何だろう?

キレート剤とは

「キレート鉄」とは、キレート加工して非ヘム鉄の吸収を高めた鉄分サプリメントで、吸収力アップのためにクエン酸やアミノ酸を結合させてつくられています。吸収性は上がりますが、摂取量には気を配ってください。

鉄剤の過剰摂取で肝臓に鉄が溜まってしまうと、「ヘモジデローシス」と呼ばれる肝臓障害の原因になってしまいます。

なつ

本当に貧血の治療をするときは、血中の「血清鉄」と「フェリチン」の量のバランスを見ながら鉄剤の量と期間を調整していきます。自己判断はいけませんよ。

鉄分サプリメントの前に、食事も気を付けて

サプリメントを飲むだけで安心してはいけません。日々の食事にも引き続き気を配ってください。体内での吸収率が低い鉄分は、サプリと違って普通の食事で過剰摂取になることはありません。

ちなみに日本人の一般的な食事では、ヘム鉄が不足しがちです。バランスよく動物性タンパク質、ビタミンC、クエン酸を加えましょう。吸収率を上げることができますよ。

ゆき

よく噛んで食べることも、胃液の分泌によって吸収率を上げるそうです!

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、鉄剤のは3種類あることが分かりました。自分にどの種類が合うのかは、どうやって決めればいいでしょうか。

先生

ヘム鉄、非ヘム鉄をサプリメントや薬で摂取するときに、知っておいた方がいいことをもうひとつ。非ヘム鉄はタンパク質に包まれていないため、胃の粘膜を刺激しやすく、胃重感や胃痛を感じる人の割合が増えるということです。病院で処方される鉄剤の大半はこの非ヘム鉄です。

その点、ヘム鉄やキレート鉄は胃の不快症状が起こりにくいことが特徴です。病院で採血をしてもらい、血清鉄とフェリチンをきちんと測定した上で鉄剤を飲んでみて、胃の症状が強くなる場合はヘム鉄やキレート鉄のサプリメントを選んでみられてはどうでしょうか。

先生のこぼれ話…

貧血について書かれてある本などには「フェリチンの値は100以上にするのが望ましい」と書いてあることが多くあります。ですが、特に女性でフェリチンが100以上になることはほとんどなく、100に達するまで鉄のサプリを摂ったら、それは摂りすぎになると思います。

どうしてそのようなことが書いてあるのかは私も知りませんが、おそらくは最初に海外の参考文献をそのまま引用されたか、実際の臨床を知らない人が書いたかではないでしょうか。

鉄分の過剰摂取はヘモジデローシスの原因になるだけでなく、活性酸素を増やす原因にもなり、かえって身体に炎症を起こすことも知っておいてください。ちなみにフェリチンは貧血の指標としてだけではなく、炎症の指標としても重要です。

私の臨床的な感覚ですが、フェリチンの値は20〜30以上をキープできていればいいのではないかと思いますよ。

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