先生に聞いてみた!

【先生に聞いてみた!】経皮毒って本当にあるの?デトックス臓器としての皮膚の話

さとみ

洗剤とかシャンプーとか、なるべくナチュラルなものを使うようにしているけど、とにかく高いのが難点ね。

しんじ

特にこだわらないから、安いシャンプーでいいぞ?

さとみ

でも、化学物質をあまり体内に取り込みたくないじゃない。

しんじ

シャンプーは飲まないだろう。

さとみ

経皮毒って知ってる?
肌や頭皮から体内に入る有害物質に注意するのは、ナチュラルライフの基本よ。

しんじ

そうなのか。そう聞くと怖くなるな。シャンプーするたび頭皮から何か入ってきているのか。

さとみ

ネットには「経皮毒は子宮に溜まる」とか「アレルギーの原因になる」とか書いてあるから不安になるわね。

登場人物
しんじ
健康診断の結果と、ラクにできそうな健康情報に敏感な会社員。
メタボが気になりだして最近ジョギングを始めた。
情報源はネットニュース。ラーメンとTVドラマが好き。
さとみ
何より無駄遣いが嫌いな、計画的しっかり主婦。
週に3回、英会話教室の講師をしている。
趣味は温泉旅行とワイン。子どもはいない。

皮膚から吸収された有害物質は、どうなるのでしょう。「経皮毒」として体内に蓄積されるという不安から、化学物質の入らない商品を選ぶ方が多くいらっしゃいます。皮膚と有害物質の関係はどうなっているのでしょうか。

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

しんじ

先生、シャンプーやボディソープは皮膚から吸収され、化学物質が体内に蓄積すると聞いて、怖くなってしまいました。本当でしょうか?

先生

経皮吸収は、人体にとって当然のことですよ。皆さん、皮膚に薬を塗りますよね?薬などの「いいもの」であっても、化学物質などの「悪いもの」であっても、皮膚から入ります。

昔は口紅に鉛が入っていたため、花魁など化粧をする女性たちが鉛中毒になっていたという話などは有名です。

さとみ

そうなんですね。

先生

確かに市販のシャンプーには、パラペンなど有害物質が含まれていることはあるでしょう。

それらは実際、頭皮から吸収されますが、人間にはデトックス機能が備わっています。食品添加物を食べたり、空気中の化学物質を吸ってしまったら、それらは体内で解毒され、排出されます。皮膚から吸収されたものも同じです。デトックス機能がうまく働いている人であれば、そのうち体外に排出されますよ。

しんじ

排出されるなら、あまり神経質にならなくてもいいでしょうか。

先生

そもそも皮膚は身体全体を覆うデトックス臓器です。たとえば便秘のとき、肌荒れしますよね?

さとみ

しますね。肌が荒れてきたら、腸内環境を整えないとな…って思います。

先生

体内に不要物や毒素が溜まっていれば、その一部は皮膚から出るわけです。アトピー性皮膚炎の患者さんが、腸内環境を整えて身体の解毒力を高めたらきれいに改善した…という話は、いくらでもあります。

さとみ

確かにそうですね!

先生

皮膚は日本人の成人の平均で約1.6m²の面積(約畳1枚分)、体重の約16%もの重量を占めています。これだけ大きな臓器は他にはありませんし、だからこそ外界の空気や化学物質に触れやすくなっています。

さとみ

なるほど、皮膚は身体の一番境目なんですよね。

先生

皮膚は、独自に考え、判断して機能する重要な臓器です。身体を覆い守るだけではなく、環境を感じ取り、身体のホメオスタシスを維持しています。

今回のお2人のやりとりを聞いて、「経皮吸収という当たり前の機能にネガティブなイメージを与えて、自然派商品を売りつける手法」が多くあることが分かりました。しかし、いつもいいますが、恐怖心をあおって消費者に購入させる宣伝手法には疑問がありますね。

しんじ

そのような宣伝を見聞きすると、ついつい怖くなってしまいます。

先生

もちろん、香料や化学物質のたっぷり入ったシャンプーや洗剤を使う生活がいいわけではありません。しかし高価なシャンプーやオーガニックコットンの服を選ばなくても、素朴なせっけんなどを使えば、毒素蓄積の不安はある程度解消できるのではないでしょうか。

さとみ

「高価なオーガニック製品を使っていれば問題ない」という刷り込みから、抜け出せていないのかも知れません。

先生

皮膚を経由して入ってくる化学物質に無関心になれといっているわけではありませんが、過敏になりすぎるのもどうかと思います。恐怖心や不安感を煽って商品を売ろうとする「マーケティング戦略」に振り回されないようにしましょう。

できるだけ化学物質が入っていない商品を選ぶことは必要ですが、完全排除できない経皮毒にビクビクして暮らすより、身体の解毒力を高めることを意識したほうがよいのではないかと思いますよ。

人気記事

新着記事