正しい知識

腸活にもデメリットがある?
「SIBO」の原因と、おすすめ対策食

話題の「腸活」ですが、腸に効くといわれる食事をしているのに、一向によくなった気がしない…という方、いませんか?

変化が見えないならまだしも、お腹が張って苦しい、ガスが溜まる…という状態が続くなら、その「腸活」のやり方が間違っているかも知れません。

ガスだけではありません。ゲップや胃酸の逆流、下痢、体重減少などの症状が気になれば、それは「小腸内異常増殖症候群(SIBO:シーボ)」の可能性があります。

SIBOは文字通り、小腸内で異常に増殖する症状です。

「…なにが異常増殖するの?」
そう思いましたよね。

日常的にお腹の調子がイマイチよくない…という方は、まだ聞きなれないSIBOの原因と、おすすめの食生活について情報を取っておきましょう。もしかしたら、あなたの腸内で「アレ」が異常増殖しているかも知れませんよ。

\\\ SIBOについて、専門医に聞いてきました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

SIBOとは、小腸で悪玉菌が異常増殖している状態を指します。
一般的にいわれる「腸内環境が悪化している」という状態と、ほぼイコールと考えてもいいでしょう。
腸内細菌のほとんどは大腸に生息しています。逆に小腸の腸内細菌は少なく、せいぜい1万個程度といわれています。ところが小腸機能の低下で、悪玉菌が通常の10倍を超えて異常増殖し、身体に影響を与えることがあります。これがSIBOです。
SIBOはまだ聞きなれない病態ですが、これまで「過敏性腸症候群」であると診断されていた人の中には、SIBOを合併しているケースが多いことも指摘され始めました。

SIBOの原因

小腸内の悪玉菌を増やしてしまうのは、主に、炭水化物、小麦食品、砂糖や添加物の多い加工食品の摂り過ぎが原因です。また小腸内のカビやカンジタ菌が炭水化物を取り入れて、発酵することでも悪玉菌は増殖します。おなかにガスが溜まるのは、細菌が発酵したせいです。

日常的にパンやうどんなどの小麦製品を食べている人は、1−2週間控えてみてください。症状が改善したらSIBOなど腸内の病気が疑われます。変化がなければ、食べるのを再開して大丈夫です。
頻繁な間食もSIBOの原因です。常に何かを口に入れている人がいますが、小腸の動きが悪くなっていないでしょうか。小腸のぜん動運動は、空腹時に活発になります。食べる時間と、空腹の時間のメリハリを持つことも大切です。

プレバイオティクスに注意

近年の「腸活」では、シンバイオティクスという考え方が浸透してきました。

・ヒトにとって有用な生きた善玉菌を摂取する(プロバイオティクス)
・善玉菌のエサになるオリゴ糖・食物繊維を摂取する(プレバイオティクス)

シンバイオティクスとは、この2つを一緒に摂るようにする方法です。プロバイオティクスとプレバイオティクスをバランスよく食べたり、あるいは双方を含む食事や機能性食品を摂取して腸内環境にアプローチする方法が、シンバイオティクスと呼ばれています。

ただし、SIBOを考えるときには、プレバイオティクス(オリゴ糖、発酵食品)の摂り過ぎには注意が必要です。SIBOの人がプレバイオティクス食品を食べ過ぎれば、悪玉菌の異常発酵を促すことになるからです。

オリゴ糖食品を摂ったあとに、おなかが張るという人は、SIBOかもしれません。ただし自己判断は禁物です。

おすすめ食事法

SIBOの予防・改善には、以下の栄養素を控える「低FODMAP」という食事法がおすすめです。


Fermentable:発酵性の
Oligosaccharides:オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖)
Disaccharides:二糖類(ラクトース)
Monosaccharides:単糖類(フルクトース)
And
Polyols:ポリオール(ソルビトール、マンニトール、イソマルト、キシリトール、グリセロール)


健康な人は、これらの栄養素を摂っても問題なく消化できます。しかしSIBOの人では、小腸内に増殖した悪玉菌の餌になり、腹部膨張感やガスの原因になっているケースがあります。

低FODMAPの食事法は、アメリカでは過敏性腸症候群、炎症性腸症候群の患者さんの治療に広く用いられています。

低FODMAPの食事療法は、自己流で行っても意味がありません。栄養学に詳しい医師のアドバイスのもとで行ってください。

SIBOは日常的な病態

軽度のSIBOは自分ではなかなか気付きません。生活に支障のない程度の不快感であれば、「おなかが弱い体質だから」で片付けられることも多いでしょう。

整腸剤やサプリメントで対処している人もいるはずです。もし一向に改善しないのであれば、SIBOを調べる検査がありますから、一度調べてみてはどうでしょうか。

「腸活」は素晴らしい取り組みです。しかしせっかくのプレバイオティクス食品が、逆効果にならないよう、身体の声に耳を傾けながら行ってみてください。

予防医学.jpでは、専門医によるサプリメントのご相談を受け付けております。

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