正しい知識

新型コロナ禍の花粉症と、マスク活用

新型コロナで外出を控えざるをえない、2回目の春。

外出が減るなら花粉症の症状が楽になるはずですが、花粉症に悩む方からは「そんなことはない、いつもと同じ辛さだ」という声も聞かれます。

辛い花粉症。市販薬や病院での治療など多くの対策がありますが、その中でも最も手軽で重要と思われるのがマスクの着用です。

新型コロナのせい(おかげ?)で、全国民の身近になったマスク。花粉症の方も、そうではない方も、ここしばらく「自分の鼻と口に入る何か」に敏感になっていますよね。

そこで今回知りたいのは、花粉症とマスクについて。新型コロナ禍にある私たちが正しくマスクを使い、花粉に過剰反応しない身体をつくるには、どうしたらいいのでしょうか。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

厚生労働省の全体的な調査によると、日本で花粉症を有する人は29.8%であったとの報告があります。これは全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした調査で、もっと多い可能性もありますが、最低でも約3割もの人が花粉症に悩んでいるということになります。

花粉を身体に付着させない

花粉症では、粘膜に付着した花粉により、目のかゆみ、鼻水、全身倦怠感などのアレルギー症状が現れます。花粉が飛ぶのは春だけではありません。スギやヒノキの時期が終わっても、秋にはブタクサの花粉が飛散します。

花粉症を軽く済ませるには、とにかく花粉に触れる機会を減らす必要があります。洗濯物は室内で干す、外で干したときは、取り込み時は十分にはたく、帰宅したらすぐにお風呂に入り、リビングやベッドルームに花粉を持ち込まない…という一般的な工夫は、決して無駄ではありません。

花粉症とマスク

新型コロナウイルスの流行で、マスク生活が定着しました。マスクもさまざまな種類が販売されています。これまで無頓着に購入していた方も、マスクの性能や素材について気にすることが増えたのではないでしょうか。

コロナ予防でマスクをつける意味は、飛沫感染から自分を守る意味に加え、万が一自分がウイルスのキャリアだった場合に、他の人にうつさないようにするという意味が大きいと思います。

しかし花粉症の場合は、そういうことは起こりませんから、まずはご自身が花粉に触れる機会を減らすことが大切です。そのうえでのマスク使用は、花粉の侵入を防げるので有用だと思います。

ヒノキの花粉は直径約30〜40μm、ウイルス飛沫は約2μmといわれています。「ヒノキ花粉を防ぐ」という目的だけであれば、必ずしも医療用の高性能マスクではなく、不織布マスクでも十分ではないでしょうか。

一般的なのは減感作療法

アレルゲン検査で、アレルゲンとなる花粉の種類が特定できれば、「減感作療法」という治療が可能です。減感作療法とは、アレルゲンを少量ずつ体内に入れ、身体を慣れさせて過敏反応を減らすという治療法で、病院のアレルギー科などで受けることができます。

ただしアレルゲンに対する身体の反応は、毎年同じとは限りません。春先の鼻水や目のかゆみだからといって、花粉のせいとはいい切れないこともあります。たとえば黄砂やPM2.5でも、似たような症状が起きるからです。

花粉症、根本解決も考えて

花粉症に悩む方は、花粉との接触を避ける、減感作療法に取り組むという一般的な対策に加えて、根本的治療にも目を向けてみてはいかがでしょうか。主には腸内環境を整え、異物(花粉)が体内に入ってきても異常反応が起きないようにする方法がおすすめです。

当院でも、別の理由で治療を受けられ、腸内環境が整ってくることで、花粉症がおまけのように治ってしまう方もたくさんおられます。

花粉をカットできても、他のアレルゲンに反応してしまえば、異物と身体の追いかけごっこのような人生を送ることになります。新型コロナのようなウイルスも同じ。免疫力や自己治癒力が低くては、感染確率が上がってしまいます。

目指すべきは、多少の異物に触れても自己治癒できるような「強い身体づくり」ではないでしょうか。

専門医に気になる症状を相談してみませんか?以下ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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