正しい知識

ビタミンB群は、体内生成できる?

疲労回復に豚肉が効く!と聞いたことはありませんか?

豚肉にはたっぷりとビタミンB1が含まれています。体内でエネルギー生産が滞るとエネルギー代謝が落ち、身体機能が低下すると同時にSOSとして疲労を感じるようになりますが、それを改善するのが、ビタミンB1です。

ビタミンB1は、糖をエネルギーに変換する働きを持ちます。肩こりや倦怠感を改善しますから、忙しいビジネスマンにはありがたい栄養だといえるでしょう。
疲れだけではありません。ビタミンB2は唇や口元に作用し、不足は口角炎や唇の荒れにつながります。いつも唇がガサガサで困っている方は、ビタミンB2が足りていないのかもしれません。

ではこのビタミンBたち、どのように補給すればよいでしょうか?
毎日豚肉を食べ続ける?それは現実味がありませんよね。

そこで今回は、ビタミンB群はどうやら体内生成できるらしい…という噂にフォーカスしてみました。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

ビタミンBとは、ひとつの栄養素を指す言葉ではありません。それぞれが密接に関係しあって機能している、8種類からなるビタミン群です。

【ビタミンB群】
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン

ビタミンB群はあらゆる種類の酵素の補酵素として働き、代謝ビタミンとして生命エネルギーの維持に役立っています。補酵素とは、精密機械がスムーズに動くのを助ける「潤滑油」のような作用をするものと考えてください。

ビタミンB群は、細胞活性化と免疫力の維持に欠かせません。少し難しい話ですが、ビタミンB1は、免疫細胞が多く集まっている腸内のパイエル板を維持する働きを持ちます。特にビタミンB1とビタミンB6は免疫に深く関係しています。

潜在的に不足しているビタミンB群

しかしビタミンB群は全年代で足りていません。食事やサプリメントで補えている方はよいのですが、潜在的な不足者が多い栄養素だといわれています。

13種類あるビタミンは水溶性と脂溶性に分かれますが、ビタミンB群は水溶性です。水に溶けやすく熱に弱いため、ビタミンB群の多い食材を活用するときは水にさらす時間を短くして、加熱せずに食べる工夫が必要です。最近では、野菜に含まれているもともとの栄養素の量が減ってきているといわれています。切り刻んだ野菜を水につけて洗ってしまうと、大切なビタミンが水に溶け出して、もぬけの殻になっている可能性があります。

さらに高齢になると食事の量が減り、ビタミンB1、B2、B6、葉酸、ナイアシンなどの不足を招きやすくなります。骨を強く保つ葉酸やビタミンB6は、高齢者ほど気を付けて摂取する必要があるでしょう。

腸内細菌がつくるビタミン

ビタミンB群を食事やサプリメントで補う意識を持つのは当然として、この記事では、ビタミンB群は腸内で生成できることを知ってほしいと思います。

昔は、ビタミンは体内生成できず、食事から摂るしかないと考えられていました。しかし腸内細菌の研究が進むにつれ、人体に必要なビタミンの一部は腸内で作られていることが明らかになってきたのです。

腸内細菌、とりわけビフィズス菌などの善玉菌は、実にビタミンB群の全8種を合成する力を持っています。ビフィズス菌の推定ビタミン産生量(ビタミンB2、B6、B12、C、葉酸)を見ると、所要量の20%以上に及びますから、腸内細菌がビタミン生成に対して大きな役目を果たしていることが、お分かりいただけると思います。

腸内環境が、心身の健康を司る

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の働きは、ビタミン生成だけではありません。よく知られているように、デトックス機能を上げて便秘を解消したり、免疫力を上げて体外から入ってくる病原菌を退治してくれます。

また腸脳相関という言葉も知られるようになってきました。腸脳相関とは、脳と腸がそれぞれに持つ複雑な神経ネットワークが、互いに影響を及ぼしあいながら生命活動を行っている仕組みです。

腸は第二の脳(セカンドブレイン)だといわれています。腸が疲れると、脳も疲れます。逆もしかり、心身を元気に維持するには、何はさておき腸内環境の改善が必要なのです。

ビタミンB群をサプリメントで摂取する

腸内細菌のバランスが取れていれば問題ないのですが、現代的な生活を送っていては、ビタミンB群は不足しがちになるでしょう。そのためビタミンB群をサプリメントで摂取する方も増えています。

サプリメントはあくまで食品扱いで、医薬品ではありませんし、適当に飲んでも意味はありません。安全性の高いサプリメントを、その人の不足量に合わせて適切に飲む必要があります。またビタミンB1やB2を単体で摂るよりも、ビタミンBを全体的に摂る方法(ビタミンBコンプレックス)がよいと考えられています。

確実な効果がほしければ、専門医の元でアドバイスを受けることをおすすめします。栄養学とサプリメントに詳しいプロであれば、単にビタミンBを補うだけではなく、並行して腸内環境を整える手立ても教えてくれるでしょう。腸は一生の健康の土台です。ビタミンB群が気になったついでに、腸内環境にも目を向けてみてください。

予防医学.jpでは、専門医によるサプリメントのご相談を受け付けております。

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