正しい知識

うつ病とリーキーブレイン

うつ病は、気のせいや心の病ではなく、れっきとした病気です。しかし、ほんの数十年前までは、人にはいえない隠すべき心の病だと思われていました。

世界史上の偉人にも、うつ病は多かったといわれています。新渡戸稲造も「神経症」を患い長く悩んでいたといいます。当時はうつ病という言葉がまだ存在していませんでしたが、病態は変わりません。

ストレスの多い現代社会では、うつ病が増えるのはある意味当たり前です。心身に負担をかけて生きている人が増えているからです。

しかし、昔よりはその病態と治療法が知られるようになり、一度かかったからといって、社会からドロップアウトするような病気ではなくなりました。

なお良い傾向なのは、うつ病の「根本原因」が少しずつ解明され始めたことです。
まずは自身を追いつめてるストレス源から距離を取ること。そして、脳内で何が起きているかを知り、正しく対処することで、うつ病の治癒率は大きく上がるでしょう。

今回は、うつ病の原因になり得ている「リーキーブレイン」について学んでみたいと思います。まだ馴染みのない症状なので、ここから先は、専門医に教えてもらいましょう!

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました! ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

ストレスの源は、人間関係や金銭問題などの分かりやすいものから、幼少時代に受けた心の傷、また災害や家族の死などの避けられないできごとまで、大小さまざまです。

しかし心身にかかるストレスは、うつ病の直接原因ではありません。ストレスからくる不眠、食生活の乱れ、暴飲暴食や薬の乱用、気の落ち込みなどがすべて絡まりあい、身体機能に影響を及ぼします。その結果、悪影響が脳に到達し、脳内エラーが起きてしまうのです。

うつ病の原因①「セロトニンの分泌不足」

脳内では情報を伝達するためにセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質が働いていますが、主にストレスによる分泌バランスの乱れが、エラーにつながると考えられています。

脳内ホルモンの乱れはうつ病だけではなくさまざまな心身疾患の原因になりますが、うつ病の原因としては、セロトニンの低下が知られています。これは、「セロトニン仮説」と言われます。SSRIという抗うつ剤がありますが、これはセロトニンの分解を抑えて濃度を上げることで、鬱の治療をしようとするもので、「セロトニン仮説」に基づいた治療薬です。

しかしうつ状態であっても、セロトニンが低下していない場合や、SSRIを飲むとかえって体調が悪くなる場合もあります。すべてのうつ病を、セロトニンで説明することには、無理があるでしょう。

うつ病の原因②「リーキーブレイン」

脳のエラーは、ホルモン分泌の乱れだけでは説明しきれません。最近では「リーキーブレイン」という病態が知られるようになってきました。

脳には「血液脳関門」というバリア機能があり、有害物質を脳内に侵入させないようブロックしています。しかしバリア機能が損傷し、有害物質が脳内に流れ込むことがあります。この状態をリーキーブレインと呼び、うつ病の根本原因である可能性が指摘されています。

リーキーブレインは、うつ病だけではなく、認知症やパーキンソン病などさまざまな病気の原因になり得ます。

リーキーブレインは腸内から

セロトニンの分泌不足も、脳のバリア機能を損傷も、原因は脳ではなく腸にあります。腸は第2の脳といわれています。腸脳相関の概念も、以前よりはよく知られるようになりました。

まずセロトニンの分泌不足ですが、セロトニンのレセプターの大半は腸壁に存在しています。腸壁が損傷し有害物質が血中に漏れることを「リーキーガット」といいますが、その状態になれば、セロトニンのレセプターも機能不全に陥り、脳内で十分なセロトニン分泌が行われなくなります。腸内のセロトニンが直接、脳へと移行するのではありませんが、腸内の状態が脳内のセロトニンにも影響を与えていることが知られてきています。

血液脳関門の損傷も、腸に原因があります。リーキーガットが起こると腸内の細胞と細胞の間の「タイトジャンクション」が開き、毒素や細菌、ウイルス、毒素などの有害物質が血液に乗り、身体中へ広がります。

腸から放出された有害物質は脳にも到達します。そして血液脳関門から有害物質が脳内に入り込み、脳のエラーを引き起こし、うつ病をはじめとする病気につながるのです。

腸内環境の改善が、全身の改善につながる

脳と腸は、機能的に相互作用を起こすため、リーキーガットがあれば、リーキーブレインも起こります。

脳内の状態を改善したければ、まずは腸内に目を向ける必要があるでしょう。腸内の悪玉菌やカビ菌(カンジダ菌など)に増加により放出された毒素は、脳だけではなく、全身の機能に影響を及ぼしています。

根本的改善が必要

うつの初期症状を、対症療法でごまかしていてはいけまん。専門医にかかるのはもちろん、原因となったストレス環境から抜け出すことも大切です。うつ病は再発する疾患ですから、同じストレスがかかり続けては、意味がありません。

生活改善は腸内環境にもよい影響を与えます。メンタルと身体機能は、腸と脳のように、密接に関係しています。

うつ病の原因にリーキーブレインがあること、それはリーキーガットから始まっていることが分かったら、腸内環境に目を向けてみましょう。うつ病の改善はもちろんのこと、未来の健康にも大きな意味をもらたすはずです。

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