正しい知識
健康は情報戦!減塩商品の表と裏
「塩分の摂りすぎは、身体によくない」
そんな理由から、食事の中から塩分をカットする人がいます。お味噌汁を飲まないようにしたり、「減塩〇%」と書かれた梅干しを買うようにしたり…。確かに減塩商品は、健康にはよさそうです。しかし、減塩のお味噌や梅干しが実際に血圧を下げ動脈硬化をなくすのか…というと、根拠はありません。
「えーっ!減塩商品を使っているから安心していた…」
もしそうお考えなら、それこそが危険思考!
「〇〇がいっていたから」「ネットで人気だから」という商品で、健康は手に入りません。情報弱者という言葉がありますが、有益で正しい情報を得られず、得たとしてもその情報に対して適切に対応できなければ、意味がないでしょう。
流れてきた情報を鵜呑みにする情報弱者は、「誰か」から搾取されるケースもあります。それが「少額の投資で失敗した」程度で済めばいいのですが、こと健康情報に関しては、損をするのは自分の寿命。「しまった〜」などと悠長なことをいっているヒマはありません。
そう、「気にしたことがなかった」「知らなかった」は、結果的に自分の健康を蝕んでしまう危険をはらんでいます。いまや健康は情報。減塩商品で安心せず、一番の正しい情報源である「自分の身体の声」に耳を傾けてみましょう。
\\\ 情報との付き合い方について、専門医に聞いてみました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
最近では、塩分と高血圧には関連性がないのではないか?という説が出始めています。これは専門家の間でも議論が分かれており、本当のところはまだハッキリしていません。
そう聞くと一般の方は「何を信じたらいいのか…」と迷うでしょうが、塩分に限らず万人に合う健康法などはそうそう存在しません。現時点では、高血圧症ではない人が減塩したからといって、全員の血圧が下がるわけではないということと、塩分と高血圧の因果関係はいまだ明確ではないという2点をお伝えできるに過ぎません。
捉えかたで変わる「お味噌汁の功罪」
「塩分を気にしてお味噌汁を飲まない」
という方もいれば、
「お味噌は発酵食品で健康にいいから、積極的に飲む」
という方もいます。
どちらも健康に関して高い意識をもち、病気予防を考えていることに差はありません。しかし同じ「お味噌汁」に対して、真逆の考えを持っています。お味噌汁を「塩分のたっぷり入ったスープ」と見なすか、それとも「生きた菌の入っている発酵食品」と見なすか。どちらも正解であり、不正解でもあるでしょう。「正面から見たら白いけど、裏から見たら赤かった」などという事例は、世の中に溢れています。健康も多面的に考える必要があるでしょう。
食べ物の「多面性」に目を向けよう
食事は健康管理の基礎です。だからこそ不安を感じやすく、食材の一面しか見えなくなることもあるでしょう。
たとえば「白砂糖は悪」と思い込み、白砂糖の入らないカロリーオフ商品を食べて「健康になった」と思い込むケースです。白砂糖を避けても、代わりに人工甘味料や添加物を大量に摂ってしまったのであれば、健康にとってのプラスマイナスはゼロ、もしくはマイナスでしょう。カロリーの面ではメリットがあったように思えても、別の側面にはデメリットが潜んでいれば、意味はありません。
お味噌汁も同様です。発酵食品を食べるという意味ではプラスになりますから、減塩に関しては、他の食品でバランスを取った方がよいでしょう。お味噌を減らして市販のサプリメントを飲むくらいなら、塩分が入っていてもお味噌汁を飲んだ方が健康には役に立ちます。
塩の代わりに何が入っているの?
パッケージに大きく「減塩」と書いてある商品には、塩の代わりの何かが入っています。和食として歴史のある食べ物で「塩がたくさん入っているもの」、たとえば梅干しや漬け物、へしこ、醤油漬けなどでは、保存のために必要とされる量の塩が使われています。その塩を減らしたのならば、代わりに人工的な何かを添加しなくては、商品として成り立たないからです。
無添加の梅干しの原材料欄を見てみましょう。そこには「梅・塩」としか書かれていないはずです。しかし減塩の梅干しの原材料欄には、本当に多くの添加物の名前が並んでいます。どちらが健康によいと思いますか?その判断をするのは、あなた自身です。
賢い選択ができる消費者を目指す
もう一度お伝えしますが、普通のお味噌汁と、減塩のお味噌汁で、血圧に差が出る…などという医学的なエビデンスは存在しません。それはあくまでイメージです。
「じゃあ、結局なにを食べたって同じじゃないか」と、好き勝手に食事をしていると、最終的には自分の身体にツケが回ってきます。それを避けるためにも、食品の功罪を両面から眺めたうえで、「自分の選択」ができる消費者を目指してください。
「どうやったら自分の選択ができるようになるでしょうか」
さて、私がその答えをここでお伝えしたら、そのままお信じになりますか?