「知らんけどね。」

みんな大好き「鍋の素」、食品添加物の危険性は?

ゆき

むふふ…2週間、夕食を鍋にしてみたら、2キロやせたのよ〜

なつ

それはすごい!

ゆき

野菜たっぷり、お肉と魚を少々、締めの炭水化物は2日に1回にして、毎日食べればダイエットにいいってネットに書いてあったんだよね。本当に体重が減ったし、身体が温まるから自律神経にも優しいんだって!

なつ

バランスよく栄養が摂れるから、なかなかよさそう。私もやってみようかな。
水炊きにして、ちょっと高級なポン酢なんかで食べたら美味しそうね…。

ゆき

水炊き?そんな地味な味付けじゃ、2週間は続かないよ!

なつ

じゃあどんな味付けにしているの?

ゆき

豆乳でしょ、トマトでしょ、キムチに八丁味噌、鶏白湯、とんこつ、カレー…バラエティー豊富な鍋の素を買ってるよ。毎日違う味じゃないと飽きちゃうし、美味しいから、スープも全部飲み干しちゃう勢い!

なつ

ちょっとちょっと!毎日、市販の鍋の素を使うなんて、塩分と添加物の摂り過ぎじゃない??ダイエット以前に、健康的にどうなのかしら…!?

登場人物
ゆき
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
なつ
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。

鍋に具材と一緒に入れるだけの「鍋の素」。手軽で美味しい鍋ができることから、冬のスーパーにたくさん並ぶようになりました。最近では1人用や、キューブ型の商品なども人気です。

なつ

改めてスーパーに行ってみると、とってもたくさんの種類が並んでいるわね。おすすめ具材や、レシピが付いているものもあって、これは便利かも。でもやっぱり、市販の鍋の素は食品添加物が気になるわ…

鍋の素が「うまい!」理由

どうして「鍋の素」は美味しいのでしょうか。
それは意図的に「うま味」を凝縮して商品化されているからです。

水だけで煮込んだ鍋料理であっても、肉・魚からはイノシン酸、野菜からはグルタミン酸のように、素材から出るうま味成分がスープに溶け込みます。水炊きや出汁だけでつくる寄せ鍋でも「美味しい」と感じるのは、そのためです。

ただし料亭のような美味しい出汁を取るには、時間とコストがかかります。鍋の素は時間とコストをカットし、鍋に入れた瞬間に人の舌が「美味しい」と感じるうま味になるよう、絶妙に調理されています。

まずは原材料欄をチェック

鍋の素のうま味は、何からきているのでしょうか。
それはパッケージの裏側、原材料欄にヒントがあります

JAS法品質表示基準では、原材料名は「食品添加物以外の原材料」と「食品添加物」に分けられ、重量順に表示するよう定められています。鍋の素は基本的に調味料だけで構成されていますから、先頭に書かれているものほど、多く入っている…ということです。

たとえば、先頭の方に「水アメ」「砂糖」「果糖ブドウ糖液糖」などが記載されている商品が多くあります。このような商品では、野菜をいっぱい食べるより、糖分の摂り過ぎを心配しなければいけません。

スープには食品添加物がたっぷり入っている?

馴染みのある調味料だけではありません。酸味料、乳化剤、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工デンプン、キサンタン)…身体にどう影響があるか、よく分からない食品添加物で原材料欄が埋め尽くされていれば、少し警戒が必要です。

特に「濃厚さ」をアピールしている商品では食品添加物が多い傾向があります。商品そのものの味が濃いということは、本来はタンパク質から溶け出すうま味成分を、人工的なモノに置き換えて大量に入れていることに他なりません。今手に取った鍋の素、前述のイノシン酸やグルタミン酸の代わりに、たん白加水分解物やチキンエキスが入っていませんか?

豆乳、チーズなどの「とろみ」が美味しさを誘う系のスープには、鶏肉の脂肪やコラーゲン代わりに、乳化剤、食用植物油、増粘剤(キサンタン)などが入っていることも多いでしょう。

ゆき

美味しいからと鍋のスープを飲み干していたけど、添加物をぜんぶ身体の中に入れていた…ということになるのね…さすがにちょっと怖いかも!

塩分量にも気を付けて

食品添加物だけではありません。鍋の素では、塩分量にも注意が必要です。

市販商品では、当然ながら、消費者の健康よりも「美味しくて、売れる」ことが優先されています。たまに食べる程度なら構いません。しかし鍋の素の塩分量に慣れてしまうと、鍋以外の食事でも濃い味を好むようになるため、生活習慣病のリスクが高まります。

無添加の商品をセレクトして!

ネガティブなことばかり書きましたが、最近は「無添加」「減塩」といった特徴をうたう鍋の素も増えてきました。商品が増えているということは「買う人がいる」ということ。健康志向の消費者が増えてきた証ではないでしょうか。

たとえば、とある無添加豆乳鍋の原材料欄は、このようになっています。

ダシ(かつお節、昆布、しいたけ)、豆乳(大豆:遺伝子組換えでない)、もち米飴、練りごま、しょうゆ、砂糖、鶏がらスープ、なたね油、食塩、米みそ、ごま、ごま油、でん粉、いわしエキス、しょうが、オニオンエキス、唐辛子

何となく見慣れた食材ばかりが並んでいますね。これなら少し安心できそうです。

なつ

なるほど、「わけのわからない添加物を体内に入れる」不安は少し解消できそう。だけど、違和感があるのは、どうしてだろう…?

鍋の素がなくても、馴染みの食材で美味しくできる

ちょっと考えてみれば分かりますが、上記の調味料、自炊する人であればほとんどがキッチンで揃うのではないでしょうか。わざわざ市販の素を購入しなくても、鍋の味を引き立てる「うま味」は自力で再現できます。

【市販の鍋の素を使わずに、うま味を引き出すコツ】

  • 出汁の中でもうま味成分が豊富な、昆布を多めに入れる
  • 牛肉や豚肉よりうま味が出やすい、鶏肉を使う

鶏肉にはコラーゲンが含まれており、スープにとろみも生まれるため、満足度が上がります。ちなみに鶏肉の中でも、一番うま味が溶け出しやすいのはミンチです。鍋に肉団子やつくねを入れるのは、理にかなっているようですね。

【食品添加物・塩分を控えるコツ】
・食べるときは、ポン酢や黒酢などを多めにして味をつける
・キムチや豆乳なども、添加物の少ない商品を手に入れて鍋に入れる
・そもそも、出汁のうま味があれば、塩っ家が少なくても舌は美味しさを感じる

この冬は、「なるべく添加物の少ない、かつ美味しい鍋」に挑戦してみてはいかがでしょうか。

ゆき

すぐに実行できるかどうかは不安だけど、今度から購入前に原材料欄を見るクセはつけてみようかな!

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

なつ

先生、鍋のスープとして飲む食品添加物は、量が多そうで何だか怖いのですが…。市販の鍋の素はまったく使わない方がよいのでしょうか?

せんせー

スーパーに買い物に行くと、この手の「手軽に美味しい食事」ができる商品がたくさん並んでいますね。まさに、現代社会は「コンビニエント社会」だと思います。ただし便利で快適になった分、本文で触れられているような「盲点」に引っかかってしまいがちだと思います。

別の棚を見ると、やたらと「除菌製品」が並んでいたり、別の棚には「芳香剤入りの洗剤」が所狭しと並んでいます。「そこまで除菌せなあかんの?」「洗剤にそんな匂いをつけてどうなるの?」私などのようなおっさんは、そう思ってしまいますが、各社は少しでも売れる商品開発をしようとしのぎを削っているようです。

一方で、週刊誌で「これだけ危険な添加物」のような特集が組まれることが多いのは、そういう特集を組むと週刊誌がよく売れるからなのでしょう。便利な反面、なんとなく不安を感じている消費者が多いのだと思います。

どちらも「消費者心理」を読む戦いであるといってもよさそうですが、「賢い消費者」になるためには本当にこのような商品が必要なのかを、改めて考えてみる必要があるかもしれません。

最終的には、もっともっと「シンプルな生活」がいいのではないかと、私は思います。きっと「賢い消費者になるために必要な13のヒント」といった本を書けば、私もベストセラー作家になれるかもね。ま、知らんけどね。

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