困ったときは?

生理不順の根本原因を探る!副腎疲労とDHEAの関係性

生理不順の原因のひとつにストレスがあることは、女性なら実感できるはず。しかし、精神的な不安やストレスが生理の周期を狂わせてしまうメカニズムまで、正しく理解できているでしょうか?

生理不順は女性ホルモンのバランスが崩れから起きますが、その崩れとは「体内で正しく女性ホルモンがつくられていない」状態を指します。

心身に大きなストレスがかかると、身体はそのストレスから自らを守ろうとしますが、そのとき分泌されるのがコルチゾールというホルモンです。抗ストレスホルモンとも呼ばれており、ストレスを感じたとき一気に分泌されます。

コルチゾールはストレスに対抗するだけではなく、肝臓で糖をつくり出し、脂肪を分解して代謝を促進し、免疫抑制をし…と、大きな役割を果たしています。

コルチゾールは朝に多く分泌され、夜には分泌量が減ることが分かっています。しかし過剰なストレスがかかったり、楽しいことであっても昼夜逆転の生活が続いたときに分泌バランスが狂い、生理不順につながっているようです。

何とか守りたいホルモンバランス。ストレスを減らすのはもちろん、バランス維持のための対策はできないでしょうか。生理不順は、女性にとって切実な問題だからです。

\\\ そこのところ、専門医に聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

ストレスに負けないためには、コルチゾールが十分に分泌されていることが大切ですが、そのためにはホルモンがつくられる副腎機能が正常に働いている必要があります。

副腎は、左右の腎臓の上部にひとつづつあるとても小さな臓器ですが、常にストレスとたたかい続けてくれています。しかしストレスに立ち向かう副腎にダメージを与えるのも、やはりストレスです。暴飲暴食、悩みで眠れない、イライラしてジャンクフードを食べ続ける…そのような生活を続けていると、副腎は疲労し、コルチゾールの分泌どころではなくなってしまいます。

副腎のもつ力は人それぞれですが、外的なストレスが多く真面目に対応しようと苦しむタイプの人ほど、副腎に疲れをためやすくなる傾向にあるようです。

マザーホルモンDHEAの働き

副腎では、コルチゾール以外にもさまざまな種類のホルモンがつくられています。
その中にDHEAというホルモンがあるのですが、これが生理不順に大きな影響を与えています。

副腎でつくられたDHEAは身体の中でさらに代謝され、女性ホルモンや男性ホルモンに変化します。50種類以上ものホルモンに変換されるDHEAは「マザーホルモン」とも呼ばれ、女性ホルモンのバランスを保つ上で重要なカギになる物質です。

しかし副腎機能が低下し始めると、コルチゾール分泌の維持のため、それ以外のホルモン分泌は減らされます。そのため副腎疲労の初期段階でDHEAは低下し、副腎疲労の他症状の前に、生理不順や生理痛、PMSなどの症状が出る場合があります。

一歩踏み込んだ婦人科治療を

生理不順の対症療法として低用量ピルを服用する方も多いですが、まずは生理を狂わせるほどの慢性的ストレスから脱すること、それからピルを服用しなくてもホルモンバランスを整える方法を考えることも大切です。

ただし婦人科の一般的な検査では、女性ホルモンのバランスの乱れまでは突き止められても、バランスの乱れの元であるDHEAの過多までは調べられないことが多いはずです。もし根本原因が副腎疲労であっても、そこにたどり着ける人は、まだ少ないのです。

もちろん生理不順の原因はDHEAだけではありませんが、副腎疲労と女性ホルモンの関係については、もっと知られてもいいと思います。

最近では、DHEAの数値を測り、不足分を補充する治療をする婦人科も出はじめました。生理不順やPMSで悩んでいる、ピルを飲んだりエストロゲンを補充するホルモン治療をしている、という方は、DHEAの働きにも注目することをおすすめします。

副腎疲労の程度は、コルチゾール検査で把握できる

「ストレスで生理不順が起きる」という現象には、ストレスに対抗するコルチゾールの分泌バランスが関係していることを述べました。コルチゾールもDHEAも副腎でつくられますから、副腎疲労の回復は、生理不順改善における重要な要素です。

副腎は自分の目では見えませんが、分泌されるコルチゾールの量を測り、副腎疲労の程度を把握する検査は存在します。「生理不順は体質だから仕方ない」と諦めず、根本的な原因を探ってみてはいかがでしょうか。

女性ホルモンのバランスは、今から妊娠・出産を予定している年代はもちろん、更年期障害に悩む年代にも無視できない健康課題だからです。

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