困ったときは?

アレルギーにも関係する、食べるときの「気持ち」と身体の反応

こんな経験はありませんか?

「このお酒を飲んだら酔っぱらうだろうな…とこわごわ飲んだら、やっぱり気持ち悪くなってしまった」
「牛乳を飲んだらおなかがゴロゴロするから嫌だな…と思いながらカフェオレを飲んで、やっぱりおなかが痛くなった」

そのようなことが続くと、「やっぱり私はお酒が飲めない」「牛乳が怖い」と、ネガティブな思い込みに走ってしまいがちです。

しかしお酒も牛乳も、ネガティブな思考で飲んでいれば、ネガティブな身体反応が出て当然です。

逆に、ポジティブな反応もあります。チョコレートを渡され「1粒500円もする高級品なんだよ」といわれたときは、妙に美味しく感じるはずです。さらにパッケージが豪華であれば、ますます美味しく感じるでしょう。

実際はコンビニで購入した100円のチョコレートであったとしても、「高級品は美味しいに違いない」というプラスの思い込みが、味わいに影響を与えるのです。

そんなものは精神論だ、と思いますか?しかし、飲食するときの気持ちが実際に身体に跳ね返ってくる現象は、そんなに不思議なことではありません。

\\\ そこのところ、専門医に聞いてみましょう ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

「プラシーボ効果」をご存知でしょうか。先ほどの牛乳の例とは逆に、単なるビタミン剤を「特効薬ですよ」と飲ませるだけで、病気が治る場合があります。

これはプラシーボ効果といわれるもので、医療の現場では、本当の薬効はないけれど、患者の気休めのために出す「偽薬」という意味で使われます。「人の気持ちは身体に跳ね返ってくる」というのは、医学的にも実証されているのです。
病気になったとき、信頼できる医師に「この薬で絶対に治ります」といってもらうだけで、生きる勇気が湧いてきた…本当に病気が治った…という話などは、本当にたくさんあります。

しかし同じ薬であっても、「あんなヤブ医者の出した薬なんて、効くわけがない」という気持ちで飲んでいたらどうでしょう。治る病気も、悪化してしまうのではないでしょうか。

メンタルと栄養の吸収率の関係

「背を伸ばしたい」と願う子どもが、「これを食べたら大きくなれる!」と信じて食事をした結果、本当にスクスク育った…という事例があります。このように「この栄養は自分にとってプラスになる」と信じる気持ちは、食材の力を最大限に増幅させ、自分の身体によい影響を与えます。

ポジティブな気持ちには、セロトニンなどの脳内ホルモンがかかわっています。食べるという前向きな行為と、自律神経を整え気持ちを明るくするホルモンの働きがうまく組み合わされば、胃液の分泌も進み、腸内の栄養吸収がスムーズになるのは、当然の結果です。

逆の事例もあります。「食事がのどを通らない」という言葉があるように、ストレスを感じながらの食事では胃液の分泌も悪くなり、その結果吐き気などを感じる人が増えるのは当たり前です。

気持ちはアレルギー症状にも影響する

ストレスからくる疾患や、フードアレルギーで生活に支障を抱える人が多い現代社会では、「食事と気持ち」の関連性は決して無視できません。こう書くと、「非科学的」と決めつけて、このような考え方を排除してしまう人もいますが、メンタルがアレルギー反応に及ぼす影響については、多くの科学的な知見があるのです。

たとえばフードアレルギーを持っている人は、自身のアレルゲンにとても敏感です。もちろんアレルゲンを忌避すべき状況もありますが、「これを食べたらいけない」という恐怖心やタブー感が、アレルギー症状をより悪化させているケースも多く見られるため、注意が必要です。

フードアレルギーに悩む人は、家族や友人など、大切な人・愛する人たちと一緒に楽しい気持ちで食事をすることを意識してみてください。ポジティブな気持ちで食べれば、アレルゲンの影響を受けにくくなると分かってきています。

食べたいものを食べれば、命も延びる

食事は健康の要です。しかし、身体にいいからと嫌いなものを無理やり食べるのはよくありません。また「この食材は危険」と決めつけて、特定の食材を極端に避けることにも、マイナスの影響の方が大きいということがあります。

なぜなら、上記のどちらにも「プラスの気持ち」が存在しないからです。

病院で末期を迎えている老人が「牛丼が食べたい」などといい出し、医学的には受け付けられないはずなのに、牛丼を食べたら元気になった…などというエピソードを聞いたことはないでしょうか。

「食べたい、これを食べたら幸せになる」という欲求を持ち、喜んで食べることは、生命維持にすら影響を与えるのです。

何を食べても過剰反応しない身体を目指す

私たちは、食べるものを自分で選べる、素晴らしい時代に生きています。しかし残念ながら、子どもの食べたいお菓子を極端に制限したり、本当は必要な栄養素が、イメージ操作によって「悪」とされているようなケースも多く見受けられます。

情報過多の世の中だからこそ、信頼できる情報を選びましょう。そして、ひとつの食材だけに依存せず、バランスよい食生活を送りましょう。
情報も食べ物も、極端に偏らないで、バランスよく取り入れる必要があるということです。

フードアレルギーや摂食障害に悩む方は、特に意識してみてください。「これを食べたら悪くなる」というネガティブイメージは、健康をもっと損ねます。大切なのは、何を食べても過剰反応しない、強い身体を目指すことです。

食事とは、生命維持のために必要な栄養素を体内に取り込む行為です。暗い気持ちで食べる日をなるべく減らし、「おいしい!」と笑いあい、身体にプラスの影響を与えるような食事で健康体を目指してください。

専門医に気になる症状を相談してみませんか?以下ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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