困ったときは?

眠れないのは、脳疲労のせい?

昔は、寝る前に布団の中でマンガや本を読んでいると「眼を悪くするから、やめなさい」と怒られたものでした。

しかし最近では、寝る直前までパソコンで仕事をしたり、ベッドに入ってからもスマホでゲームをする人が増えています。そのせいで熟睡できず、翌日に疲れを持ち越す人も多くいますが、その状態、とても危険です。疲れが取れないのは身体だけではありません。脳もめちゃくちゃ疲労していますよ!

睡眠導入剤を飲んでいる?確かに眠らないよりは薬に頼ってでも眠る方がよいでしょう。ただし薬は、緊急的に脳を休めるための、あくまで一時的なツールです。依存してはいけません。

脳を疲れさせる一番の要因は、心のストレスです。考えても仕方ないのに心から離れないようなストレスは、睡眠以前に人生を削り取ってしまいます。

「お疲れ脳」な現代人。
脳をもっと大切にするには、どうすればいいのでしょうか。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

脳が興奮している状態では、ゆっくり入眠できません。小学生が遠足前夜に眠れないのは、脳の興奮のせいです。強いプラスのストレスを感じ、脳が休まらない状態になっているのです。

寝る直前まで、バトルゲームをしているような場合も同様です。ゲーム中に感じるスリルや緊張感は「ワクワク」にもつながりますが、いざ入眠時にはその興奮がおさまりきらず、なかなか眠りにつけません。

不眠には自律神経も関係しています。眠るためには副交感神経を優位にして、リラックス状態に入る必要がありますが、脳が興奮していると交感神経が優位なままになってしまいます。これでは脳の疲れは取れません。

脳疲労の症状

脳疲労が慢性化すると、脳内での情報処理や伝達がうまくできず、身体に影響を及ぼします。

脳疲労の症状は、味覚から発覚するケースが多くあります。急に料理の味が分からなくなったり、美味しく感じなくなれば、脳の疲れが出ている可能性があるでしょう。それ以外にも便秘や睡眠障害が初期症状としてよくみられます。

脳疲労を放置すると、うつ病や認知症などにつながる恐れもあります。明確な病名が付かずとも、不安やイライラ、集中力の低下、ネガティブ思考などが続く場合は、脳がだいぶ疲れているのかも知れません。

脳疲労の原因

現代人の脳疲労の原因のほとんどはストレスです。それ以外では、パソコンやスマートフォンの普及もあるでしょう。常に入ってくる大量の情報を、脳が処理しきれなくなれば、当然ながら疲労は溜まります。

脳疲労には、大脳と間脳が関係しています。大脳は言語理解、食欲や睡眠などの本能、怒りなどを司っています。間脳は自律神経中枢や食欲中枢をコントロールしています。ストレスなど脳疲労を引き起こす環境に長くいると、大脳にある大脳新皮質や大脳辺縁系のバランスが崩れ、間脳にも影響を与えます。そのため、食欲や睡眠などに支障が出てしまうのです。

脳疲労に効く魔法の薬はない

質のよい睡眠をを取りたいのに、脳が疲れていて、眠れずにさらに脳が疲れてしまう…という悪循環は、早く断ち切らなくてはいけません。ただし脳疲労も身体の疲労と一緒で、魔法のように取れる薬などありませんから、日々の習慣を意識するしかありません。

サプリメントや食べ物などの、「効果がある」という断片的な情報に飛びついても、本質的な部分の解決にはなりません。世に出ている情報ひとつひとつには、当てはまる人も、そうではない人もいます。「あれもこれもしたのに、眠れるようにならない!」と、ますます自分を追い詰める方がいますが、逆効果でしょう。

心のざわつきがおさまれば、睡眠の質は上がる

本気で脳を休めてぐっすり眠りたいのならば、効果があるという情報に惑わされず、「心の問題」に注目すべきです。

眠りに限らず、病気や症状というものは、いくつもの要素が絡まり合い、人によって違った反応を起こします。それらの要素をチェックし、思い当たったものから排除しましょう。まずは「寝る前にスマホを見ない、ブルーライトをカットする」という行動です。

しかしそれで眠れるようになるほど、人間の体は単純ではないでしょう。脳の疲れの解決に、メンタル要因は決して無視できません。「これで万全」とは思わず、脳をざわつかせている原因に向き合い、解決してください。

身体症状に出ているなら、病院へ

寝る間もないほどの仕事に追われ、ストレスフルな毎日を送っていても、その仕事が終われば休暇が取れてぐっすり眠れるのであれば、その不眠は一時的なものです。そう心配することはありません。問題なのは、心の問題から目を背けてしまうことです。不眠は、心からのSOSでもあるからです。

もし脳疲労や不眠からくる身体症状で、生きるのが辛いほどになっているのであれば、それはもう治療の領域です。医師の診断を仰ぎ、適切な治療を受けることをおすすめします。

専門医に気になる症状を相談してみませんか?以下ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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