困ったときは?

皮膚で分かる内臓トラブル

皮膚は私たちの身体すべてを覆う、ラッピング紙のようなもの。だから常に美しくしておきたいし、老化でしわしわになるのを1秒でも遅らせたい!

そう願って毎日スキンケアに取り組んでいる方も多いはず。

しかし、もしあなたが皮膚の変化を「美容観点」でしか見ていないのであれば、それはちょっともったいないですよ。皮膚の変化は、病気や内臓の異変を発見するための重要なサインだからです。

かさついた、赤くなった、黄色くなった、班ができた、ニキビができた…皮膚トラブルは、私たちにたくさんの情報を与えてくれます。それは、皮膚は内臓と連携している「臓器」のひとつだからに他なりません。

今回は「皮膚は臓器」という考え方と、皮膚がどのように内臓の様子を知らせてくれているのかについて、知っていきたいと思います。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみました   ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

皮膚は、独自に考え、判断して機能する重要な臓器です。身体を覆い守るだけではなく、環境を感じ取り、身体のホメオスタシスを維持しています。
皮膚は日本人の成人の平均で約1.6m²の面積(約畳1枚分)、体重の約16%もの重量を占めています。これだけ大きな臓器は、他にはありません。
皮膚は内臓の鏡
皮膚は体内の状態を表す、鏡のような臓器でもあります。肝臓や大腸を自分で見ることはできませんが、それら内臓の調子は、皮膚に確実に出てきます。

たとえば肝臓病にかかると皮膚に黄疸が生じます。これはビリルビンという色素が血液中で増加したことの現れです。毛細血管が変化するため胸や背中にクモ状血管腫がみられたり、舌が赤くなったりもします。皮膚を見るだけで「肝臓機能がおかしい」ことがはっきり分かる事例です。

また腎臓病の急性期には眼の周りがむくみ、発汗機能低下、皮膚の乾燥、全身へ色素沈着が現れます。

糖尿病でも皮膚の血管変性が起こります。すねに茶色のシミができる、脂肪組織の炎症が原因となる黄色い斑が出る、顔が異常に赤くなるなどの症状があれば、糖尿病が疑われるでしょう。

東洋医学でも行われてきた皮膚観察

「皮膚は臓器の鏡」という言葉は、比喩でも何でもありません。本当に内臓の様子が映し出されるのです。ですから、皮膚の様子をよく観察して健康管理に活かすことは、セルフメディケーションの一環としても大切でしょう。

皮膚の変化観察による病気発見は、古くから東洋医学でも行われてきました。医療機器などが存在せず体内を見ることができない時代において、皮膚変化は重要な判断基準であったはずです。

皮膚は重要なデトックス臓器

病気を示す黄疸やむくみではなく、ニキビやアトピー性皮膚炎などの一般的な肌トラブルの場合はどうでしょうか。

肌荒れには外部要因と内部要因があります。刺激の強い化粧品で荒れた、アルコール消毒でかぶれたなど、皮膚に何かが付着して起きた肌荒れは外部要因に寄るものです。

対する内部要因は、体内のデトックス機能の低下といえるでしょう。

デトックス機能とは、健康な身体で汗やおしっこ、便、髪の毛や爪などから重金属や化学薬品を少しずつ排出する仕組みで、人間にもともと備わっている機能です。

しかしその排出ルートが詰まれば、体内には不要物が滞留します。そのとき身体は「緊急ルート」である皮膚から老廃物を排出します。つまり肌荒れは、体内で処理しきれなかった不要物の最後の姿ともいえるのです。

詰まりの解消には、腸内環境を整えることが重要です。腸は排出機能を司る重要なデトックス臓器です。便秘で肌荒れが起きるのは、皮膚が臓器として内臓と連携を取っている証拠です。

腸内環境の悪化が肌荒れを招く

肌荒れを改善するため、一生懸命に何かを塗っている方がいます。効果がないとはいい切れません。しかし肌荒れが内部要因から来ているものならば、塗って治ることはないでしょう。

腸の様子は見ることができませんが、便の調子や回数、そして皮膚の調子は自分で把握できるはずです。そもそも便秘は腸内に便が長期間滞留した状態です。身体にいい影響があるはずがありません。滞留した便は、発ガン物質やアンモニア硫化水素などの有害物質やガスを発生させます。便秘で便やガスが臭くなるのはそれら有害物質のせいです。さらに便秘状態では有害物質は腸壁から吸収され、血管中を巡ってしまいます。だから、身体の至るところの肌が荒れるのです。

皮膚の変化に敏感になろう

皮膚の変化に対し、単なる美容処置を行うのではなく、そもそもどうして変化したのかを考えましょう。慢性的な皮膚疾患のほとんどは、内的要因に原因を求めることができます。その上で、大きな病気が疑われるときは病院で診察を受けてください。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患など、原因がはっきりしない慢性的な皮膚疾患も、体内に原因を求めることができるでしょう。命にはかかわらなくともQOLには大きく影響しますから、まずは腸内環境に目を向けるところから始めてください。専門医のアドバイスが必要なら、一度ご相談ください。

専門医に気になる症状を相談してみませんか?以下ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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