先生に聞いてみた!
【先生に聞いてみた!】「全集中の呼吸」で知りたくなった、正しい呼吸とメンタルヘルス
全集中の呼吸!!!
ひゃっ!
流行りに乗ってきた。
ヨガ教室でね、めちゃくちゃ呼吸について指導されるんだけど…
なかなかうまくいかないから、炭治郎のまねをして呼吸の練習をしていたところ。
それがヨガの先生の意図するものかどうかは、謎だけど…。
でも確かに、ヨガと太極拳では呼吸を制することが重要っていうしね。
そうなの!
呼吸を意識し始めると、いかに自分の息が浅いかよく分かるようになってきました。
それはいいことね!
マインドフルネスでも、今の自分の呼吸や五感に集中することで、メンタルが整うっていわれています。俗にいう「いま、ここ、自分」ね。
それも、瞑想道場に行ったときに教わった気がする。
一般人がすぐに無になるなんて難しいけど、とにかく呼吸に集中して、雑念をなくすことが大切とのことです。
坐禅体験でも同じようなこといわれたなぁ〜。
それにしてもいろいろ行ってるわね…。
ほんと、流行っているって聞いたら飛びつくバイタリティに脱帽するわ。
ま、飽きるまでは炭次郎のまねしておく。
飽きたらやめるなら、全集中の常中は体得できないわよ!
美容と健康情報が大好きな会社員。
新しいものに飛びつきがちだが、たいてい3日坊主。
スイーツ、パン、パスタと演劇、ドラマが好き。
分からないことは調べたいライター。
いつも取材に飛び回っている。
お酒と旅行とファッションが好き。
漫画の中のことはともかく、鬼滅の刃の流行で多くの人が「深く呼吸をすることは、いいことだ」と認識したのは、ポジティブな気がします。ちょっと調べてみましょう。
呼吸は誰にでもできる健康法
呼吸が健康に役立つといわれる理由のひとつに、自律神経があります。
自律神経が乱れて不調を感じたことがある方はお分かりだと思いますが、自律神経は自分の意思ではコントロールできません。そして、一度バランスが崩れた自律神経は、修復することが非常に難しいとされています。
呼吸はその自律神経の乱れを整えます。ゆっくりした呼吸は心拍数をコントロールし、交感神経の興奮も鎮めるからです。さらに深呼吸は副交感神経を優位にして、セロトニンをたくさん分泌します。
「幸せホルモン」ともいわれるセロトニンは、メンタル不調やうつ病などを防ぐといわれています。実際、うつ病の方の呼吸は、驚くほど浅いというデータもあるようです。
スマホをよく使う方は注意
最近は1日中スマホを見ている方が増えていますが、前かがみの姿勢や、猫背になってはいませんか?
そのようなとき、肺活量は30%近くも落ちているといいます。結果、呼吸によって体内に入る酸素と吐き出される二酸化炭素の量のバランスが崩れ、眠気や頭痛、疲れなどが慢性症状として現れます。
わわわ…これはまさしく私のこと…。
自律神経が崩れるのは、呼吸ができていないせいかしら
腹式呼吸のすすめ
おすすめは腹式呼吸です。自然と深い呼吸となり、肺にたくさん空気が入ります。腹式呼吸を続けると代謝が上がることも分かっています。
息を吸ったとき、お腹ではなく胸が膨らんでいる方は、胸式呼吸(肋骨を広げて肺を膨らませる方法)になっていませんか?
はじめは難しいかもしれませんが、気が付いたときに数回でいいので、お腹を膨らませる腹式呼吸を練習してみましょう。
確かに炭治郎たちも、「全集中の呼吸 常中」を習得するまでは時間がかかっていたしね…すぐにできることではないかもね…。
たとえば吹奏楽部では、肺活量を上げるために腹式呼吸を叩きこまれます。楽器をやっている方が身近にいれば、コツを聞いてみてはどうでしょうか。
口ではなく、鼻で呼吸を
人間の呼吸は、口ではなく鼻ですることが自然です。鼻呼吸は、空気中に漂うホコリなどを避け、外気を適度な湿度にするという機能を持ちます。鼻から吸った空気がのどや肺にダメージを与えないよう、フィルターの役目を果たしてくれるのです。
口呼吸は口内やのどの乾燥を招き、ウイルスや細菌も取り込まれやすくなるため、インフルエンザや病気を招きやすくなります。口は食事をして栄養を取り込むための器官。正しい呼吸を意識するなら、必ず鼻から吸って吐くようにしてくださいね。
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
先生、漫画のキャラクターのように常時深い呼吸を続けることはできませんが、正しい呼吸はメンタルを整えるというのは本当でしょうか?
西洋医学的にいうと、呼吸法が健康に与える影響についてはコメントが難しいと思います。
唯一、メンタルヘルス領域には「自律神経訓練法」があります。身体の感覚や呼吸に意識を集中させて自律神経のバランスを整える方法ですね。
いつもは「エビデンス」が大切だという話をしていますが、それはあまりにもいい加減な健康法が多いからです。自律神経訓練法や呼吸法などは、エビデンスが示されなくても、人間としてとても大切なことだと思いますよ。
先生のこぼれ話…
正直をいえば、医学部生の時には「呼吸法」についてはまったく教わりませんでした。西洋医学では人体を生物学的に見ますから、「鼻で息をしようと、口で息をしようと、肺に入る空気に変わりがあるわけがない」という発想なんです。ましてや「腹式呼吸」で吸う息をお腹に溜めるなどはあくまで「例え話」であって、西洋医学的には本気にできることはありません。
胸式呼吸よりも腹式呼吸がいいとか、口呼吸よりも鼻呼吸の方がいいというのも、東洋医学や気功法、ヨーガなどの世界では当然でも、西洋医学的には「根拠がない」といわれることです。
「マインドフルネス」を取り入れておられる先生もいらっしゃいますね。ビックテックであるAmazonが、社員に「マインドフルネス」を推奨しているのは有名な話です。自分自身の呼吸に意識を集中すれば、余計な雑念が消え、集中力が高まり、頭の回転もよくなってアイデアが浮かびやすくなるといいます。
元々「マインドフルネス」というのは、仏教の呼吸法(ビパッサーナ呼吸)が基にとなった、お釈迦様が悟りを開いた呼吸法といわれています。西洋医学とは遠い話かも知れませんが、人は呼吸をしなくては生きていけませんから、意識をして損はないかも知れませんね。