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「ガンの早期発見」部位別検査の必要性と、自己治癒力

体内にガン細胞が生まれることと、ガンになることとは大きく違います。私たちの身体には、ガン細胞が発生しても抑制・修復し、正常な状態に戻せる力が本来備わっているからです。

しかしガンの罹患率は、年々上がっています。医療の進歩によって生存率は高くなっていますが、治療の道は、決して楽なものではありません。

ガン検査の精度も上がり、早期発見できるようにはなっても、ガン患者が大きく減らないのはどうしてでしょうか。

それには、生活習慣の変化やストレスなどの現代的な要因がかかわっていると考えられるでしょう。食品添加物・化学物質・重金属など、人工的な汚染物質はガン増殖の要因になり得ますし、それらの環境要因は日本でも30〜40年前あたりからとても増えています。

私たちにできることは、できるだけ汚染物質を体内に入れないことと、ガンを早期発見すること。そうと分かれば、ガン検診を「めんどくさい」などといってはいられません。

ガンの早期発見のために、検査では何に気を付ければよいのでしょうか。
そして、ガンを未然に防ぐため、普段からできる対策はないのでしょうか。

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてみましょう! ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

「ガンになる」というと、体の中に急に悪性の細胞が発生し増殖するようなイメージをお持ちの方も多いかも知れません。しかし普通の健康な人でも、毎日3000個から6000個のガン細胞が発生しているといわれており、敢えていうならば、ガン細胞自体は特異なものではありません。

身体の「自己治癒力」が正しく働いている間は、これらのガン細胞は、免疫細胞によって破壊されます。つまり「ガン細胞ができた=ガンになった」という単純な図式ではないのです。

しかし、活性酸素などの身体に炎症を起こす物質が増えると「自己治癒力」は正常に機能せず、ガン細胞を退治できなくなります。

活性酸素というのは体中に「炎症」を起こす物質です。そして「炎症」がガンの原因であることも、最近の研究で分かってきています。

人間が元々持っている自己治癒力を高め、ガン細胞を一定以上に増やさないようにできれば、ガンに罹患する人を今よりは減らせるはずです。しかしこの考え方は、まだ一般的ではありません。ガンに関しては、検査での早期発見に頼るところが多いのが現状でしょう。

腫瘍マーカーは不完全?

「ガンの早期発見」を目的として、腫瘍マーカーが見境なく使用されていた時期がありました。しかし現在、腫瘍マーカーはガンの早期発見には意味がないとされ、使用頻度は減っています。

早期ガンの状態では、腫瘍マーカーは陰性を示すことが多くあります。腫瘍マーカーに引っかからず安心していたのに、そのうちに血便が出て、検査をしたら末期の大腸ガンだった…というケースも実際に起こっているため、信用性が低いとみなされているのです。

本当にガンを発見したいなら、腫瘍マーカーではなく、部位別にていねいに検査をする必要があります。

胃がんの早期発見率が上がった理由

今の日本で一番多いのは大腸ガンですが、7−8年前までは胃ガンが1位でした。

日本における胃ガンの早期発見率は、世界トップレベルです。現在は、数ミリの早期胃がんを見つけるのが当たり前になっています。また、早期の胃ガン(粘膜ガン)であれば、手術をしなくても内視鏡で完全切除ができる時代です。生存率も大きく向上しました。

胃がんの原因としてピロリ菌があることも一般的に知られるようになりました。胃ガンは数少ない「予防できるガン」のひとつです。定期的な胃カメラ検査を受け、ピロリ菌がいる場合には除菌を行うことで、胃ガンのリスクは大幅削減できるのです。

ただガンを恐れる時代から、発見・治療の可能性が広がった時代へと、短期間で変化していることがお分かりになるでしょう。

予防医学で、自己治癒力を高める

腫瘍マーカーの例からも分かるように、ただ単に「ガン検診検査を毎年受けているから大丈夫」という考え方は改めた方がよいでしょう。検査のメリット・デメリットと、効果を理解しておかなければ、結果に振り回され、最悪ガンを見逃してしまいます。面倒とは思いますが、早期発見を考えるなら、部位別にていねいに検査するしかないのです。

そして検査や治療より大切なのは、毎日の生活の中でガンにかかりにくい身体をつくることです。

これからは、早期発見・早期治療という考え方から、自分の身体に注意を向け、病気の原因要素を遠ざける生活が求められます。特に、体内に炎症を起こす活性酸素を減らすこと、そして自己治癒力を上げることが、予防医学としてのガン予防の要になります。

ガンに対して不安を感じている方は、まずは身体の状態を把握し、自己治癒力を高める方法を考えてみてはいかがでしょうか。

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