カラダによいこと
オメガ3・6・9とは?油が向上させるデトックス機能
美容と健康を気にして、油分の多い食事を避けてはいませんか?
ひと口に「油」といっても、その性質はさまざま。種類によっては身体の役に立ち、デトックスやコレステロールの減少に効果的な油もあるようです。
極端に野菜ばかり食べている女性がいますが、美容のためには逆効果です。メイクを落とすとき、オイルが汚れを落とすように、油は体内の不要物を洗い流す役割も担っているからです。
どの種類の油をどれくらい摂取すればいいかを学び、美容と健康に役立てましょう。特にデトックスを考える方は、油が体内でどのように機能しているのかを理解すれば、毎日の食事に変化が生まれます。
油が身体に与える影響って、どのようなものでしょうか。
そして、どんな油を摂ったらいいのでしょうか。
\\\ 栄養学の専門医に、油の種類について聞いてきました ///
教えて先生!
小西康弘Yasuhiro Konishi
医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長
2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士
油は、細胞膜の材料です。水溶性の物質が細胞膜を通り抜けにくくするため、細胞膜は油分が多くなっているのです。そのため、あまり油が減ると細胞膜も弱くなり、身体の基盤がもろくなってしまいます。
また油はホルモンの原材料でもあります。女性ホルモン・男性ホルモンのバランスが崩れがちの方は、油不足かも知れません。
もちろん油の過剰摂取はいけません。しかし油は細胞膜やホルモンだけではなく、血液や神経細胞の構成材料でもありますから、油の質に気を付け、必要量を食事から摂取する必要があるでしょう。
食用油の分類
食用油は動物性油と、植物性油に分類されます。
【動物性油】
牛・豚・鶏など動物から取れる油。常温では、バターのように固体となる。
【植物性油】
菜種油やオリーブオイルなど、植物から取れる油。常温でも液体のまま。
油の性質はもっと細分化されます。身体機能を高めるための脂質摂取は、油の種類を理解し、適切に食べることから始まります。
飽和脂肪酸と、不飽和脂肪酸
動物性・植物性の分類にかかわらず、油は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
油(脂肪酸)の構造は、炭素が鎖のように連なった形状を取っています。1本だけの鎖でつながれているものが「飽和脂肪酸」、1か所以上が2本の鎖でつながれているものが「不飽和脂肪酸」とよばれています。
【飽和脂肪酸】
バター・ココナッツオイル・牛豚羊の脂身など
【不飽和脂肪酸】
オリーブオイルや大豆油、ナッツ類などの植物油、魚の油など
2種類のうち、摂り過ぎてはいけないのは「飽和脂肪酸」です。過剰摂取では高血圧やLDLコレステロールを増やすリスクが高まるといわれています。飽和脂肪酸は体内で作ることができるため、食べなくても不足はしません。逆に、食事からしっかり摂りたいのは「不飽和脂肪酸」です。
不飽和脂肪酸はオメガ3・6・9に分類される
不飽和脂肪酸は「オメガ3・6・9」に分類されます。
オメガ3はダイエットの味方にもなる
オメガ3は体内で作れないため、食事から補う必要があります。
そのため必須脂肪酸ともよばれ、健康において大きな役割を担っています。
【オメガ3の健康効果】
- 善玉コレステロールを増やし、循環器の健康をサポートする
- 認知症の発症リスクを下げる
- 肝脂肪を減らす、メタボを改善する
- うつ病など、メンタル系疾患の症状を改善する
- 胎児の脳の成長をサポートする
【オメガ3が多く含まれる食材】
- マグロ、サーモン、鯖、イワシなどの魚類
- クルミ、亜麻仁、チアシードなどのナッツや種
特に魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳の重さの約8%を占めるといわれており、「魚を食べると賢くなる」といわれる理由にもなっています。
オメガ6は摂取バランスに注意
オメガ3同様、食事から摂る必要があります。免疫システムに影響を与え、ホルモンバランスを整える役割を持っています。
【オメガ6の健康効果】
- 血中コレステロールを下げる
- 認知症の改善効果が期待できる
【オメガ6が多く含まれる食材】
- ゴマ油、コーン油、アーモンド油などの植物性油
- 枝豆、油揚げ、もめん豆腐などの大豆類
- 鶏モモ肉、豚ロースなどの肉類
ただしオメガ6は、多く摂り過ぎてはいけません。オメガ3の半分以下で十分といわれており、摂取バランスが崩れると、身体に悪影響を与える可能性もあります。
オメガ9は寿命をのばす?
オメガ3や6と違い、オメガ9は腸内で作られるため、必須脂肪酸ではありません。しかし、適切な摂取は寿命を延ばすともいわれており、重要な油であることに変わりはありません。
【オメガ9の健康効果】
- 中性脂肪、悪玉コレステロールを減少させる
- インシュリンの抵抗性を改善させる
- 胃腸を整え、便秘解消にも役立つ
- 活性酸素を減らし、身体の酸化を防いでくれる
【オメガ9が多く含まれる食材】
- カシューナッツ、ピーナッツ、アーモンド、クルミなどのナッツ類
- 牛モモ肉、豚モモ肉などの肉類
- オリーブオイル、ひまわり油などの植物性油
オメガ9は肉類にも多く含まれますが、食べ過ぎると飽和脂肪酸も一緒に摂れてしまいます。オメガ9のために食べたものが、生活習慣病の原因になれば本末転倒ですから、気を付けましょう。
栄養学の見地から
いい古された言葉ですが、やはり何事もバランスが一番です。特定の食材を避けたり、食べ過ぎることは、健康にも美容にもよくありません。
脂質に関しては、「どの油を口に入れるか」を自分で選択することが大切です。どんな油が使われているか分からない外食の揚げ物は控える、自炊時に使うオイルを厳選するなどの対策は、すぐにでもできるのではないでしょうか。
適切にオメガ3・6・9の不飽和脂肪酸を摂り、細胞を活性化させ、解毒力の高い身体を目指しましょう。