小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長　総合内科専門医 / 医学博士

まず、ドラッグストアでサプリメントを購入している女性に伝えたいのは、自炊した方が美しくなれるということです。

現代の若い女性にとって、最大の問題は食生活の乱れです。女性に限りませんが、毎日忙しい若い世代が時間もお金も節約するときは、まず食べ物から削る傾向があります。コンビニ弁当や外食に頼る生活も、根本的な栄養不足を招いています。

「1日に必要な栄養素が足りていません、だからサプリメントで補いましょう」という考え方も、間違いではありません。しかし安易にサプリメントに頼る前に、食生活の見直しをおすすめします。

危機的な20代女子の栄養状態

そのうえで、20代女子が飲むべきはマルチビタミンミネラルです。

厚生労働省が何年かに一度出している、栄養に関する国民調査があります。どの年代を見ても、日本人は押しなべて栄養状態が良くありませんが、一番最悪なのが20代女子というデータが出ています。

20代女子は、本来必要な栄養素で、足りているものが少ししかありません。たとえばパスタがメインのイタリアンは、ほとんどが炭水化物です。チェーン店で出される野菜は、よく洗われているためビタミンミネラルも減っています。

ビタミンやミネラルはお肉にも豊富に含まれます。身体はタンパク質でできていますから、サラダだけ食べるくらいなら、積極的に焼き肉を食べた方が美容の役に立つでしょう。

マルチビタミンミネラルは、「必要な栄養素が最低限入ってる安心パック」だと思ってください。20代女子はありとあらゆる栄養が足りていません。１種類ずつ補給してももはや追いつかない…という危険なラインにいると知ってください。

総合的な補給が必要なビタミンミネラル

本来、必須ビタミンミネラルは、すべて満たされていないといけません。1種類でも不足があっては、長期的に健康でいられないのです。

そのため健康維持のためには「ちょっと足す」ではなく、不足分を一気に補う必要があります。1種類だけのビタミンを摂っても、歯抜け部分があれば栄養状態は改善しないからです。

余談ですが、20代女子のデータで「足りているもの」の中にリンがあります。これは恐らくリンの入っている食品添加物のおかげです。またビタミン類の中でも、ビタミン12は足りています。ビタミン12は海藻に多く含まれますから、コンビニのおにぎりが効果を発揮しているのではないでしょうか。

栄養学の観点からサプリメントを選ぶ

大きな病気にかかり、栄養状態が生死を左右する場面になれば、誰しもが必死に栄養バランスを考えて生活するでしょう。そうではなく、あくまで予防的にサプリメントを飲むのであれば、専門医から全体バランスについて教えてもらいながら飲むことをおすすめします。

場合によっては、市販より栄養素の含有量の多い医療用サプリメントを処方してもらうという手もあります。

医療用サプリメントはあくまで「病気治療」を目的に作られていますから、無理をして飲む必要はありません。ドクターの見立てのもと、分量を調節し、ペース配分をして飲めばいいのです。

医療用サプリメントのメリットは、含有量の多さだけではなく、添加物などの余計なものが極限まで抑えられているところです。パッケージや広告文句に目をひかれる気持ちも分かりますが、まずは「栄養の偏りを正しく埋める」ことだけを考えて、適切なサプリメントを選んでください。

広告に惑わされずに、身体の土台を整える。これこそが、いつまでも美しく元気に生きるという、予防医学のコンセプトにつながります。