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知って食べると効果的 乳製品とビフィズス菌の違いとは?

腸内環境を整えるために有用とされる「乳酸菌」と「ビフィズス菌」。
この2つの菌の違い、ご存じですか?

私たちの腸には300~1000種類ともいわれる微生物が存在し、さまざまな役割を果たしています。その微生物たちの千差万別の動きの様子は、まるでお花畑のように見えるため「腸内フローラ」と呼ばれています。

腸内フローラは、善玉菌と日和見菌、そして悪玉菌で構成されています。日和見菌とは、腸内環境の状態によって善玉菌にも悪玉菌にもなる中途半端な存在の菌。善玉菌が強いときは悪さをしませんが、悪玉菌が増えはじめると一気に悪玉菌に加勢するため、腸内バランスが崩れてしまいます。

乳酸菌もビフィズス菌も、善玉菌を増やし、腸内フローラの状態を整える手助けをしてくれますから、ぜひとも積極的に摂りたいところですが…。

乳酸菌とビフィズス菌の、腸内での役割の違いはどこにあるのでしょうか。
そして、ただヨーグルトを食べるだけで、腸内は整うのでしょうか…?

\\\ 本当のところを、専門医に聞いてきました ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

乳酸菌もビフィズス菌も、腸内環境のためにはとても大切な菌ですが、棲息場所と持っている役割が違います。

乳酸菌
【棲息場所】ヒトの小腸内、土壌や植物、つけものや乳製品などの発酵食品の中
【ヒトの大腸内の菌数】約1億個〜1000臆個
【酸素との関係】酸素があっても生息できる
【何をつくり出すか】乳酸

乳酸菌は、腸内を酸性にかたむけて腸内の腐敗を防止したり、腸のぜん動運動をサポートして便秘解消に役立っています。

また、腸の抵抗力を強めてO157などの食中毒を防いだり、免疫力をアップさせるなどの働きも知られています。腸だけではなく口内細菌に働きかけ、虫歯や歯周病・口臭の原因となる菌の増殖を防ぐという役目も持っています。

乳酸菌には、牛乳に繁殖してヨーグルトをつくる「動物性乳酸菌」と、野菜などを発酵させる「植物性乳酸菌」があり、どちらも私たちの食生活と密接なかかわりを持っています。

ビフィズス菌
【棲息場所】ヒトの大腸内
【ヒトの大腸内の菌数】約1兆個〜10兆個
【酸素との関係】酸素があると生育できない
【何をつくり出すか】乳酸と、酢酸

ビフィズス菌は人の腸内に一番多くある有用な菌で、腸内フローラの中心的存在でもあります。乳酸菌が「乳酸」をつくるのに対し、ビフィズス菌は乳酸だけではなく「酢酸」もつくります。ビフィズス菌のつくった酢酸は強い殺菌効果を持ち、悪玉菌を退治するため、腸内環境にとって重要な役割を果たしています。

ヨーグルトの選び方、食べ方は?

一般的なヨーグルトは、乳酸菌のサーモフィラス菌とブルガリア菌で発酵します。
ビフィズス菌入りヨーグルトは、それにさらにビフィズス菌を加えて発酵させたものです。そのため、乳酸菌だけよりもビフィズス菌入りの方が整腸作用が大きいといわれています。

ヨーグルトの中でビフィズス菌を生かしておくには高い技術が必要ですから、各メーカーはさまざまな商品を開発し、「ビフィズス菌入り」をアピールしています。

乳酸菌とビフィズス菌を摂るタイミングは、食後がよいとされています。特にビフィズス菌は胃酸に弱いため、胃酸が薄まって影響を受けにくい食後がベストでしょう。

食事でも補える有用菌たち

ヨーグルトに頼らなくても、乳酸菌とビフィズス菌は毎日の食事で補えます。

バランスの取れた食生活は腸内の善玉菌を増やします。特に乳酸菌は、和食の要でもある「醤油・味噌などの大豆発酵食品」に豊富に含まれていますし、ぬか漬けをはじめとする漬物は、乳酸菌の宝庫です。キムチ、納豆、チーズなども積極的に食べたい食品です。

またビフィズス菌は、オリゴ糖をエサにして腸内でどんどん増えるため、ゴボウ・玉ねぎ、大豆、バナナやトウモロコシなどの、オリゴ糖を多く含む食材がおすすめです。

サプリメント活用のすすめ

忙しくて食事が乱れがちという方は、サプリメントも活用しましょう。

乳酸菌とビフィズス菌は健康にとって重要な菌ですから、おなかの調子が悪いと気付いたときには、すでに腸内フローラのバランスが乱れている可能性もあります。

乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントはたくさん販売されていますが、適当な飲用にあまり意味はありません。近年では「シンバイオティクス」といって、腸内に有用な生きた善玉菌と、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維をバランスよく摂取する方法の効果も認められてきています。

シンバイオティクスは、医療の現場にも応用されています。気休めで飲み続けるよりは、専門医のアドバイスを受けて効率よく摂取することをおすすめします。

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