困ったときは?

休んでも休んでも、疲れが取れない人へ

「溜まった疲労」は、体調悪化だけではなく気力や思考低下も引き起こします。

一般的な肉体疲労は、睡眠や食事・休養である程度回復できます。精神的な疲労も、ストレス源から遠ざかってリラックス時間を取れば、エネルギーが補給されるでしょう。

しかし、休んでも休んでも取れない疲れがあります。「慢性疲労症候群」という症状をご存じでしょうか。身体を動かせないような疲労が6か月以上にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。

朝起きれずに遅刻が多く、病気ではないのに無気力で休みがちな家族や同僚は、もしかしたら慢性疲労症候群かも知れません。

自分には無縁…と考えている方も要注意です。慢性疲労症候群は、大きな病気に縁がなかった人がかかるケースが多いという特徴を持っています。

何をしても疲れの取れない状況に「さすがにおかしい」と思い、ホルモン異常や内臓疾患、脳・神経系の病気を疑って検査をするも異常が見つからないとき、慢性疲労症候群が疑われます。

忙しく働く社会人にとって他人ごとではない慢性疲労症候群。原因は何でしょうか。そして、治療法は確立されているのでしょうか。

\\\ そこのところ、専門医に聞いてみました  ///

教えて先生!

小西康弘Yasuhiro Konishi

医療法人全人会 理事長 / 小西統合医療内科 院長

2013年より 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医 / 医学博士

疲れを感じない人はいませんが、あまりにも日常的な感覚のため放置することがほとんどでしょう。そのため慢性疲労症候群の診断は、遅れるケースが多くあります。

慢性疲労症候群では、健康な方が風邪や気管支炎などを患い、その症状が長引いて発症する事例がよく見られます。単に疲れが続くだけではなく、不快な症状をともなうため、そこで対処を始める方が多いようです。風邪などウイルスに関係する症状が出ているときはさらに強い疲労を感じ、発熱や鼻水、リンパ節の痛みなどにも悩まされます。

慢性疲労症候群の原因はいまだ不明ですが、有力なのはストレスによる免疫低下説です。免疫低下で体内に潜伏していたウイルスが活性化すれば、身体が抵抗して免疫物質を分泌します。その箇条分泌が脳の働きに影響を及ぼし、いつも以上の疲労感や不快な症状を起こすのではないかと疑われています。

慢性疲労症候群の診断

慢性的な疲れに以下のような症状が加わっていたら、注意が必要です。

  • 記憶力、集中力の低下
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • のどの痛みや微熱などの風邪様症状
  • 首やわきの下のリンパ節の腫大や圧痛
  • 睡眠障害
  • 頭痛
  • 低血圧
  • 胃腸が敏感
  • 体の体温調節がうまくなく、暑いのも寒いのも苦手
  • 音や光に対して過敏
  • 抑うつ症状

慢性疲労症候群を診断確定できる検査は、今はありません。まずはよく似た症状の病気について調べ、当てはまらなかった場合にのみ診断が下されます。ただし慢性疲労症候群の知識を持たない医師や医療機関も多く、飛び込んだクリニックで正確な診断を受けることは難しいといえるでしょう。

軽度であっても休養だけでは治らない

軽度であれば時間経過で症状は軽減しますが、症状が完全になくなるまでは年単位を要し、すべての症状が消えるともいいきれません。そのため治療にはじっくり取り組む覚悟が必要です。

治療法は?

慢性疲労症候群の治療では、日常生活に支障を及ぼしている具体的な症状に対して対処的な治療が行われます。痛みには痛み止め、不眠には睡眠薬の処方などです。

メンタル症状が強い場合は、抗うつ剤や認知行動療法のプログラムも使われます。身体の免疫力を高め自律神経のバランスを整えるため、漢方薬を使った治療も広く行われています。ただしあくまで対症療法で、根本解決ではありません。

根本原因には身体の炎症が関係している

慢性疲労症候群の根本的な原因として、身体の炎症の関係が指摘されています。

ここでの「炎症」とは、炎症性サイトカインといわれる物質や、体内の活性酸素が増えている状態を指します。この研究結果から「抗酸化治療」や「抗炎症治療」が効果的である可能性も出てきました。

炎症性物質による細胞破壊を防ぐため、抗酸化作用をもつビタミンCやコエンザイムQ10などの栄養成分が有効であるという報告も見られます。

抱え込まずに専門医に相談を

ただし闇雲にサプリメントを取ることに意味はありません。医学的見地から栄養を扱い、炎症鎮圧の治療ができる医療機関を受診してください。

慢性疲労症候群は人にも理解されにくい、とても大変な病気です。医師の見解もさまざまなのでドクターショッピングを繰り返すケースも多くみられますが、改善の近道は臨床経験の豊富な専門医の元で治療を進めることです。抱え込まずに、一度ご相談ください。

専門医に気になる症状を相談してみませんか?以下ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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