基礎知識

日本人の平均寿命が延びた5つの理由と、健康寿命とバランスを取ることの大切さ

歩く家族

「日本人は長生き」とはよくいわれますが、それはどうしてでしょうか。

食べるものがたくさんあるから?病院の設備が整っているから?
さまざまな要因がありますが、この記事ではその中から重要と思われる5つの理由と、かつてない長寿社会を幸せに生きるためのキーワード「健康寿命」について、解説してみたいと思います。

日本人の平均寿命は84.2歳!

まず、日本人がどれくらい長生きなのかを、WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計から見てみましょう。

1位:日本男女の平均寿命84.2歳
2位:スイス男女の平均寿命83.3歳
3位:スペイン男女の平均寿命83.1歳

日本は、前回の調査では83.7歳で、2位のスイスと僅差でした。
しかし今回は1歳近い差をつけ、堂々の1位となっています。

現代日本においては、60代・70代のシニア層はまだまだ元気。
最近は「人生100年時代」という言葉も定着し始め、長生きが当たり前になりつつあります。

では、寿命が短い国は、どれくらいの数字なのでしょうか。

181位:シェラレオネ男女の平均寿命53.1歳
182位:中央アフリカ共和国男女の平均寿命53.3歳
183位:レソト男女の平均寿命52.9歳

(出典:WHO世界保健統計2018年版に掲載されている男女の平均寿命統計より)

日本とは30歳ほども差があることに驚かれるのではないでしょうか。

しかし、織田信長が「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり」とうたったことで有名な、幸若舞『敦盛』の歌詞からもわかるように、日本にも「人生はたったの50年程度」という時代があったのです。

日本人の寿命が延びつつある理由

それでは、日本人の寿命がここまで延びているにはどのような理由があるのでしょうか。

その① 栄養状態が良くなった

もともと日本人が食べてきた和食には、脂肪分が少なく、穀物や海産物の摂取量が他国より多いというデータがあります。素朴でありながらも、味噌・豆腐などの大豆製品をふんだんに使った和食は、古来から日本人の身体によい影響を与えてきました。

「腹八分目」といわれるように、食べ過ぎず、粗食をよく噛んでいたことも健康につながっているといわれています。

そして、そこに現代的な食生活が加わったことで栄養バランスが良くなり、また食事の欧米化によってカロリー摂取量が増えたことなどが、日本人全体の寿命に関係していると考えられます。

その② 食材を保存できるようになった

栄養状態に付随する理由ですが、冷蔵庫と食品保存料の発展は、日本人の寿命に大きな影響を与えました。

日本人は保存食を作るのがとてもうまい民族です。
しかし各種の漬物や、昔ながらの加工物には塩がたっぷり使用されています。

ところが冷蔵庫や保存料の出現により、新鮮な食材を長く保存することができるようになり、塩分の摂取量が自然と減りました。
その結果、高血圧の人がだんだんと少なくなり、心臓病や脳血管疾患のリスクを減らせた…と推測ができるのです。

実際、戦後まもなくのデータでは、日本人の死因第1位はガンではなく脳血管疾患だったとのこと。そう考えると、食生活の変化が寿命に与える影響は、非常に大きいといえますね。

その③ 感染症が克服できた

抗生物質の発見による感染症の克服も、大きな要因です。

昔はあたりまえに命を失っていた結核も、今では治る病気。また、紀元前12世紀からその存在と脅威が記録されている天然痘も、ワクチンが発見されたことで根絶できたように、罹患したら死に至るような感染症はどんどん少なくなっています。

もちろん、インフルエンザや風疹など、毎年のように流行する感染症とはまだまだ戦いは続きそうです。しかし早めの適切な対処で悪化を防ぐことは、充分に可能になっています。

その④ 医療制度が整っている

診察中の医師

ときにデメリットばかりが取り上げられる日本の医療制度ですが、これほどに充実している国は少ないといっていいでしょう。
日本の保険制度は「国民皆保険制度」といい、社会保険料を支払い、「医療保険、介護保険、労災保険、雇用保険、年金保険」への加入が義務付けられています。

また、会社員には健康診断を受ける権利もあり、不安があれば任意での人間ドックや脳ドックなども受けやすい体制が整っています。

このように、病気を発見し、金銭的な不安を最小限にして治療が受けられる環境も、平均寿命を引き上げる大きな要因となっているのです。

その⑤運動や入浴などの良い生活習慣がある

勤勉でマジメとされる日本人。
生活の中で、身体を動かす機会が多いともいわれています。

これは、わざわざスポーツジムなどに行かなくても、仕事や家事などの日々の活動がこまめであるため、自然にトータルの運動量が多くなっているのではないか…ということです。

そして、日本人ならではの入浴の習慣も、全身の健康維持に役立っています。身体を清潔にする習慣があることは、公衆衛生上、とても大切です。この習慣は結果的に病気を防ぎ、心身ケアにうまく役立っているのではないでしょうか。

寿命は延びても、健康でないと意味はない

ここまで日本人が長寿な理由を見てきましたが、生きることに幸福感が見いだせなければ、長生きにも意味はなさそうです。

「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか。

これは、介護などで寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を指します。

厚生労働省の発表した2016年の健康寿命は、男性72.14歳、女性は74.79歳でした。

平均寿命と健康寿命には約10年ほどの差がありますが、この人生最後の10年を、健康に暮らせるかどうか…は、これからかつてない長寿社会を迎える私たちの、大きな課題です。

長寿社会の問題は、健康が解決する

近ごろでは高齢者のひとり暮らしが増え、孤独死という問題も生まれ始めています。
核家族が当たり前になり、ひとりでも生きていける社会になった反面、人生の最後をさみしく過ごす高齢者も増えているのです。

もちろん、ひとりで過ごす老後がダメということではありません。しかし「健康である」という土台がないと、思うような老後を過ごすことはできないでしょう。

また、食生活や運動などの生活習慣だけではなく、老後のメンタルヘルスも考える必要があります。

家族に限らず、会話のできるコミュニティに入っておく、またネットなどをうまく利用して情報を取る、趣味を充実させる…などができていれば、身体だけではなく心の健康にも一役買うことができるでしょう。

心身の健康があってはじめて、日本人は「平均寿命世界一」の素晴らしさを享受することができるのです。

まとめ

恵まれた国、日本。
すべての人が幸せに長生きができたら、どんなに素晴らしいでしょうか。
「日本人は長生き」という数値データも、ただ「そうなのか」と眺めるのではなく、自身の健康とシニアライフの充実について改めて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょう。

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