腸内環境

腸内環境を健康にする「シンバイオティクス」とは?

特に難病を抱えていたり、命にかかわる病気にかかっていなくても、健康であることに興味を持つのは当然のことです。そして最近では、健康のベースとしての「腸内環境」に大きな注目が集まっており、その中でも「シンバイオティクス」という考え方が浸透してきています。そこで今回は、シンバイオティクスについてと、実行するためのポイントをお伝えします。

腸内環境を健康にするために必要なこと

腸内環境を健康に保つためには、「これ以上悪くしない」ことと、「さらに良くする」ことの両面からのアプローチが必要です。

【腸内環境をこれ以上悪化させない】

・ジャンクフードや添加物たっぷりの食事など、腸に負担をかける食事を避ける
・ストレスを無くす(腸内環境は精神的不安やイライラなどでも悪化します)

【腸内環境をさらに良くする】

・食生活を見直し、腸内環境改善に役に立つものを食べる
・適度な運動や、規則正しい生活を送り、自律神経のバランスを整える

シンバイオティクスは、後者の「腸内環境をさらに良くする」ための手段です。効率よく、そして効果的に、腸内環境を整えたい…と考えている方にはおすすめの健康法なのです。

シンバイオティクスとは?

 プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取すること、またはその両方を含む飲料や製剤などをシンバイオティクス(synbiotics)といいます。

初めて聞く言葉で、頭の中に「?」が浮かんだ方も、順番に説明していきますので、ゆっくり読み進めてください。

シンバイオティクスの「シン」とは、協力してという意味の接頭語である「Syn」。
「シンフォニー」の「シン」ですね。この言葉は、1995年に英国の微生物学者Gibsonによって提唱されたもので、まだ比較的新しい考え方と言えます。

これまでも、腸内環境を改善するために、様々な方法がすすめられてきました。

その中には、

・ヒトにとって有用な生きた善玉菌を摂取したり(プロバイオティクス)

・善玉菌のエサになるオリゴ糖・食物繊維を摂取したり(プレバイオティクス)

など、私たちがすでに知っているものも多くあります。

そして近年、そのプロバイオティクスとプレバイオティクスをバランスよく食べたり、あるいは双方を含む食事や機能性食品を摂取して腸内環境にアプローチし、さらなる効果を求めることが『シンバイオティクス』と呼ばれ、効果が証明され始めているのです。

シンバイオティクスは、医療の現場にも応用されています。

一例ですが、ガンの術後の感染性合併症に対する効果や、事故や感染症で全身に炎症が起き、重篤な状態で運ばれてくるSIRSの患者での効果も報告されており、今後ますます有効性が知られていくであろう考え方なのです。

それでは、シンバイオティクスに含まれる「プロバイオティクスとプレバイオティクス」について、詳しく説明していきましょう。

プロバイオティクスとは

プロバイオティクスの役割:有用菌を届ける
⇒善玉菌そのもの、または死んだ善玉菌が体内に数時間滞在することで、腸内環境を整える

よく使われるもの:乳酸菌・ビフィズス菌

プロバイオティクスは、「腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。

「おなかにいい」というイメージがあり、日常で摂取する機会が多いのは、乳酸菌・ビフィズス菌です。これらはサプリメントや飲料で積極的に摂っている人も多いのではないでしょうか。

ただし、何でもいいわけではなく、安全性が証明された株菌であることが重要です。

プレバイオティクスとは

プレバイオティクスの役割:有用菌を育てる

⇒有用菌である善玉菌を増殖させ、活性化して腸内環境を整えます。
消化・吸収されずに大腸まで到達し、そこで有用菌に利用されるものをいいます。

良く使われるもの:

オリゴ糖…腸内環境改善。ビフィズス菌などの有用菌のエサになる
不溶性食物繊維…便通改善。便のかさを増やし、腸壁を刺激して、ぜん動運動を促進させる
水溶性食物繊維…短鎖脂肪酸をつくりだす。保水作用により便を柔らかくし、腸のぜん動運動を活発化


プレバイオテクィクスに分類される食物繊維には不溶性と水溶性の2タイプがあります。

どちらにしても食物繊維は、その人が持っている腸内の善玉菌のエサになり、元気にする働きがあります。また近年の研究で、水溶性食物繊維は大腸まで消化されずに到達し、身体にとっていい影響を与えてくれる栄養素である「短鎖脂肪酸」に変わることが分かってきました。

短鎖脂肪酸とは

水溶性食物繊維が腸内で分解されてできる短鎖脂肪酸は、健康にとってプラスとなるはたらきをしてくれます。

短鎖脂肪酸のはたらき

  • 免疫力を向上させる
  • 血糖値上昇を抑制する
  • 悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす
  • 炎症を抑える物質を発生させる
  • 大腸内の有害菌増殖を抑える
  • 肥満を抑制する
  • 肝臓や筋肉・腎臓の栄養源として利用される

「単鎖脂肪酸」がこのような役割を持つことがわかってきたのは、1990年代になってからのことです。腸内で短鎖脂肪酸にしっかりはたらいてもらうためにも、食物繊維などのプレバイオティクスをたくさん摂り、腸内の善玉菌を増やすことが必要です。

そして短鎖脂肪酸がたくさんできればできるほど、腸内環境が整えられ、さまざまな疾患を起こすリスクが軽減するのです。

 シンバイオティクスを考えたときに摂取すべき食べ物

シンバイオティクスを生活に取り入れるためには、プロバイオティクスのものと、プレバイオティクスのものをバランスよく摂取することが必要ということが分かりました。

それでは実際に、何を食べればよいのかをみていきましょう。

プロバイオティクス

乳酸菌…ヨーグルト、酒かす、納豆
ビフィズス菌…ぬか漬け、味噌

プレバイオティクス

オリゴ糖…キャベツ、玉ねぎ、にんにく、ゴボウ
水溶性食物繊維…豆類、寒天、海藻類、
不溶性食物繊維…ブロッコリー、芋、きのこ類、とうもろこし、果物、バナナ、こんにゃく

どれも身近な食べ物ばかりですね。これなら、日常の食事に取り入れることができるのではないでしょうか。

ポイントは、どれかひとつを集中的に食べるのではなく、いろいろな食材をバランスよく食べることです。そうすることで腸内環境は整い、全身の健康により良い影響を与えてくれるのです。

なかなか食事で摂取できない人は、サプリメントで補完を

 シンバイオティクスは、決して大げさな治療ではなく、食生活の中で取り組んでいけることであると分かりました。しかしそうは言っても、毎食完璧に栄養素を摂ることができるとは限りません。

また、腸内の環境には個人差があります。自分にとってどの栄養が不足しているか・過剰なのかは、自己判断ではなかなか分からないこともあります。

そのため、シンバイオティクスを意識したサプリメントを利用するのもひとつの手です。サプリメントはあくまで補助的なものではありますが、腸内のベースを整えるためには、効率的だと言えるからです。

ただしサプリメントを利用するときも、自分勝手に選ぶのではなく、専門家のアドバイスに従うことをおすすめします。せっかく飲んだサプリがが、腸にとって不要だったり過剰だったりしてはもったいないからです。

まとめ

プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取し、おなかの健康を守るとともに身体本来の力を強める「シンバイオティクス」。言葉だけ聞くと難しそうに聞こえますが、腸内環境のためにとても良いことがお分かりいただけたかと思います。

医学はどんどん進化しています。シンバイオティクスの考え方を軸にして、心身ともに健康な状態をキープできるようにしてみてください。

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