基礎知識

「自己治癒力」を高める!川の下流で症状に悩むより、中流に目を向け根本治癒を

「自己治癒力」という言葉を聞いたことがありますか?
自己治癒力とは、私たちの身体にもともと備わっている「体のバランスを取り、自分で自分の病気を治す力」です。

私たちは、身体に不調を感じると病院へ行きます。そして症状に応じた処方薬を飲んだり、診断に従って生活習慣を変えたりしますが、それは主には「対症療法」と呼ばれる、自覚できる症状をなだめるために行われる治療法です。

たしかに病気の苦痛や悩みを減らし、QOLを高めるためには、そのような対症療法も効果的。感染症には抗生物質が必要ですし、鎮痛剤は痛みをおさえて生活を楽にしてくれますから。

しかし、体調不良の根本治療を考えるなら、対症療法に頼りっきりではいけません。

自己治癒力を高めて全身のバランスを取り、身体の根本を整えて、「症状が出にくい体質」をつくる必要があります。

 

病気になるプロセス

病気になったとき、その直接の原因は自分ではなかなか分かりにくいもの。

では、病気になるプロセスを川に例えてみましょう。

あなたが今、「疲れやすい」「頭が痛い」「胃腸の調子が悪く毎日がつらい」などの原因不明の慢性疾患に悩まされ、対症療法でしのいでいるのならば、それは「川の下流」にいる状態です。

下流にいると、どうしても視野が狭くなりがちです。
痛みや苦しみなど「目先の苦痛」しか目に入っていないからです。

しかし、顔を上げて中流に目を向けてみると、下流にいては気が付かない「自己治癒力」という力が身体を動かしていることに気付くはず。

「自己治癒力」がうまく働いていない状態では、いくら下流でもがいていても、症状の原因を治すことはできません。つまり「体調不良」「病気」という最終的な症状は、けっして単発で起きるものではなく、中流や、さらにその上流で起きている現象の結果として下流に現れてくるのです。

 

部分へのアプローチと、全体へのアプローチのバランスが大切

現代医学では、身体の「部分(臓器)」に意識が向けられ、肝臓・腎臓・心臓などの部分それぞれにアプローチしようという考え方が主流。そのため下流で起きている症状をこれ以上悪化させないよう、薬の処方や手術、食事制限などの対策が取られます。

それに対し、中流の自然治癒力は、身体の「部分」を支える土台です。

どこにあるかと聞かれても見えませんし、内臓のように取り出して触ることはできません。しかし自然治癒力は、風邪をひいたらウィルスを駆除し、ケガをしたら自然に治してくれます。ガンも同様。私たちの身体の中では、毎日3000個から6000個のガン細胞が生まれていますが、どうして全員がガンにならないかというと、自然治癒力として免疫細胞がガン細胞をやっつけてくれているからなのです。

その自然治癒力の要となる「免疫ネットワーク」をうまく作るためには、自律神経やホルモンバランスの総合的な連動が必要。それらは相互に密接につながり、部分部分では解明できないような回復力を備え、身体を機能させているのです。

万人に効く薬はない

ご存知のように、東洋医学ではよく漢方薬が使われます。
東洋医学では、私たちにはもともと病気を治す力が備わっており、それが何らかの原因で狂っているだけで、元に戻せば病気は治ると考えています。そのため、「病気の原因が何か」ではなく、身体バランスを元に戻すために漢方薬が処方されるのです。

しかし同じ漢方薬を飲んでも、すぐに治る人と治らない人がいます。西洋医学で処方される抗ガン剤や、高血圧・糖尿の薬も同様。薬でスッと治る人と、再発を繰り返す人がいますが、これこそ「各個人の自然治癒力」が関係しています。

大切なのは、「何がその人にとって必要なのか」。
ガンも風邪も肺炎も「病気」というくくりでは同じですが、その人の自然治癒力がどれくらい残っているのか、どのような治療が求められているかを見極め、薬を処方しなくては、治る病気も治りません。

川の上流は「腸内環境」、自己治癒力を上げるカギは腸にある

自己治癒力の低下には、ミトコンドリア機能が関係しています。ミトコンドリアとは、外から取り入れた栄養素をTCAサイクルに取り入れてエネルギーに変えていくという、重要な役割を担っている細胞内小器官です。

ミトコンドリアのバランスが崩れてエネルギーが減ると、身体の中にある60兆個の細胞が規則正しく働かなくなり、自己治癒力が落ち、病気にかかりやすくなります。

ミトコンドリアの働きを低下させる原因としては
① 腸管カンジダ菌症
② 重金属・環境汚染物質の蓄積
③ 腸内環境の悪化
があげられます。

はじめに、身体の不調を川の流れに例えました。その一番上流にあるのが、腸内環境です。

腸内環境の悪化が招くリーキーガット症候群

腸内環境悪化にはさまざまな原因がありますが、食生活・生活習慣の乱れに加え、精神的・肉体的な慢性的ストレスがあげられます。それらの悪化要因は、腸内の悪玉菌を増やし、善玉菌を減少させます。俗に言う「腸内細菌のバランスが崩れた」状態です。

悪玉菌が増え、腸内環境が悪化したことで引き起こされる病気にリーキーガット症候群があります。腸の粘膜が傷付くことによって、細胞と細胞の間に隙間ができ、不要物質が腸管から漏れ出してしまうのです。しかし、腸に隙間があっても内視鏡では確認できませんから、自覚症状もありませんし、一般的な検査では診断もできません。

そして、その本来あってはいけない腸管の隙間から、ペプチドやたんぱく質といった物質が血中に漏れてしまうことで、身体がそれを異物と認識し攻撃態勢を取ってしまいます。これが遅延型フードアレルギーです。

フードアレルギーと自己治癒力

食べてすぐにじんましんなどが出る即時型フードアレルギーと違い、遅延型フードアレルギーは反応が出るまで半日〜数日かかることもあります。そのため、原因を特定することが難しく、正しい診断をすることはなかなかに困難です。

遅延型フードアレルギーは、さまざまな病気を引き起こします。湿疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚に出るものから、高血圧・不整脈・糖尿病といった生活習慣病、慢性疲労症候群や学習障害、うつ病など、フードアレルギーが原因とは思えないような疾患の関連も指摘されているのです。

川の中流の「自己治癒力が下がった状態」とは、まさにこのような疾患の原因となります。
そのため、上流である腸内環境の状態を整え、中流の流れをきれいに保つことが必要なのです。

自己治癒力と身体の不調のまとめ

(上流)…原因の蓄積

精神的・肉体的ストレスが腸内環境を悪化させる
カンジダ菌が増殖する・腸管カンジダ菌症にかかる
重金属・環境汚染物質が蓄積される

(中流)…自己治癒力の低下

リーキーガット症候群が起きる
遅延型フードアレルギーが起きる

(下流)…慢性疾患

さまざまな(原因不明の)症状が引き起こされる

私たちに備わった自然治癒力というものは、決して不思議な力に左右されているわけではありません。
心身にストレスがかかり腸内環境が悪化したことがはじまりとなる、「川の水源地の汚染」がもともとの原因なのです。

それを理解することは、今の生活に支障を与えている慢性疾患の大元を知ること。そして人間の身体がもともと持っている「自分で自分を治す力」を取り戻すための第一歩です。

身体の不調に対し、「今日、とりあえず押さえつける」ということで処理をせず、根本的な改善のため、一番上流である腸内環境の改善から取り組んでみてはいかがでしょうか。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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